工大生のメモ帳

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コップクラフト5 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

二つの世界と二つの正義

情報

作者:賀東招二

イラスト:村田蓮爾

ざっくりあらすじ 

かつてケイと共にセマーニ世界で平和維持軍として従軍していた男が怪死した。その後、彼と同じような殺され方をした死体が次々と発見される。その奇妙な殺され方から、同一人物の犯行ではないかとの見方が強まる。

感想などなど

今回は前回のギャグ回とは打って変わって、シリアスよりの話となっている。事件の内容も異世界色が強い。なにせ殺害方法が『透明な狼による虐殺』である。意味が分からないかもしれないが、これ以上の説明はできない。

冒頭では第一被害者が殺されるシーンなのだが、姿が見えぬ狼に生きたまま貪られていく様が描かれている。手首が折れ、耳が千切られ、眼球を引き抜かれ……とかなりグロい。その前のセ〇クスシーンも含めると、刺激が強い冒頭だと言える。

とりあえず、野生に透明な狼なぞいないだろう。今回の殺人事件に風紀課は関係がないはずだが、ケイとティラナが参考人(容疑者としてではない)として呼ばれた。この殺人事件でセマーニの謎技術が使われた可能性諸々を考慮したようだ。

そして、そんな疑いは正しかったらしい。死体を見たティラナはそこに匂いを感じた。つまり何かしらの魔法が使われて、被害者は殺されたのだ。

ここで考えないといけないのは、『何故被害者が殺されたのか?』である。

 

被害者は元々、セマーニに乗り込み、セマーニ人相手に戦った軍人だった。軍人として生き残るため、セマーニ人を殺してきたことだろう。それの恨みだろうか?

しかし、軍人は彼一人という訳ではない。生き残りは世界各国に数多くいる。

忘れられているかも知れないが、ケイ・マトバも元は軍人であり、セマーニ人を殺してきた人間である。今はそんなセマーニ人を相棒に抱え、警官として正義を執行している。

軍人の中から一人を選んだとしても理由が分からない。というか、軍人だから選んだとも限らなかった。という訳で、捜査は行き詰まる……

と、そんな矢先のことだ。ケイ・マトバが透明な狼の襲撃を受ける。猛スピードで爆走するケイの車に軽々と追いつき体当たりしてくる狼。その巨体は二メートルはあろうかと思うほどであり、もしティラナがいなかれば無残な死体となっていたことだろう。

しかし、全く被害を受けなかったという訳ではない。ティラナは全治一週間の怪我を負う(普通ならばもっと治るまで時間がかかる)。この程度で済んで良かったと思うべきだろうか。

そこで気が休まるということもなく。二人目の被害者が現れ、同様に元軍人であることが判明する。

……これはどうやら軍人を狙っているということで間違いなさそうだ。しかもケイの周囲で関わりを持ったことがある軍人に限定している。

ケイは考える。何故、彼らが狙われたのか。次に狙われるのは誰なのか……を。

 

過去は変えられないものだ。それはどうしようもない。軍人として戦って来た過去は、例え忘れようとしても忘れられるものでもない。

過去にどんな恨みを買っていたのかも分からない。自分がよかれと思ってしたことが、誰かにとっては恨まれるようなことだったということも、往々にしてある。また、それは勘違いという可能性もあるが、相手に自分がどう思われていたなんて分かりようがない。

ケイは思い出さなければいけない。例えどんなに些細なことであったとしても。それが事件解決の糸口になるやも知れないのだ。

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