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【漫画】シメジ シミュレーション02 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

絶望と仲良く

情報

作者:つくみず

試し読み:シメジ シミュレーション 02

ざっくりあらすじ

中学生の頃に引き籠もっていたら、頭からシメジ二本が生えてきた月島しじま。生まれつき頭に目玉焼きが乗っている山下まじめ。二人のほのぼの高校生活。

感想などなど

日常とファンタジーとSFが地続きになっている……月島しじまが作り出した機械、それによって入り込んでしまった不思議世界、そこで友達になった二人。

この作品において、日常物か、はたまたSFなのかといったジャンル分けは、恐ろしく不毛であろう。ただ世界観にどっぷり浸り、作中の人物達の言葉に耳を傾けることが大切で、それが楽しめない者にとって、この漫画は苦痛でしかないと思う。

なにせこの漫画には明確なストーリーがない。世界を救うわけでもないし、大きな目標がある訳でもない。ただ単純なる「二人のほのぼの高校生活」に過ぎないこの漫画に、あなたは何を求めているのか。

少なくともブログ主は、この漫画の各所で印象に残る台詞やシーンが、大きな楽しみの一つとしている。この記事を書きながら、そういったコマを思い浮かべ、どうやって言語化しようかを考えている。ストーリーがないのに、そういったことができるという異常性を、皆さんには理解して欲しい。

この漫画をこれから読むという方も、必ず印象に残る台詞やシーンがあることをお約束しよう。

 

散々ストーリーがないと書いてきたが、第一巻では『月島しじまと山下まじめが友達になるまで』という一貫したテーマのようなものがあった。姉の機械によって迷い込んだ奇妙な世界で、「私と友達になって」「いいよ」という不器用な会話をした二人の非日常が混在した日常が、この第二巻でも継続している。

第二巻でのテーマをあえて付けるならば、『個性の解放』だろうか。

頭にしめじが生えている、頭に卵焼きが乗っている……散々に個性を解放している人間が多いこの漫画。第二巻では頭にサメが刺さっている子(個人的にお気に入りである)、頭に本が乗っている子、首にタコが巻き付いている子(妹であるらしい)、常にスケッチブックを持ち歩いている子などなど個性的な面々が多い。

それら生徒に個性は留まらず、穴掘り部の顧問である「もがわ先生」も負けてはいない。穴掘り部顧問という時点で、中々にエピソードトークには困らなそうであるが、放課後には酒を飲み、ただひたすらに穴を掘っているというのは、やはり変人というカテゴリに相応しいように感じる。

その穴掘りに対する熱量は、この第二巻において狂気の域に達する。

なんと、この穴がブラジルにまで到達したのである!

 

……地球の中心にはマントルがあり、数千度だかの熱を帯びている。もしも穴を掘っていてマグマにぶち当たったら、それ則ち死である。そんなシリアス展開はこのシメジシミュレーションにおいてはないので安心して欲しい。

だが、彼らが穴掘り部の掘った穴が、あらゆる物理法則を無視した結果を生んだことだけは否定できない。

なにせ、この穴掘りには月島しじまの姉までもが途中から参戦する。その一環で、永久機関という人類の夢を開発してしまったというのだから驚きだ。その永久機関により掘り進められる地球の日本とブラジルを直通させる穴の完成と同時に、これまでの日常から非日常へとシームレスに繋がっていく感覚……あぁ、最高。

ラストのもがわ先生の作品が狂おしいくらい好きである。

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