工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

【漫画】ジャンケットバンク10 感想

【前:第九巻】【第一巻】【次:第十一巻】
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

鏡に答えはない

情報

作者:田中一行

試し読み:ジャンケットバンク 10

ざっくりあらすじ

村雨&獅子神が挑むのは、刑事コンビと戦うタッグバトル。命を賭けて電撃を競っていく『ライフ・イズ・オークショニア』の開幕である。

感想などなど

真経津 VS 天童のゲーム『ブルー・テンパランス』は、傾きの変動を大きくすることによる気圧差で殺害するというエグい勝ち方であった。100以上の差があると天秤が落ちて窒息死するというルールを知っていたからこそ、適度に真経津を加圧し続けるという策略を取った天童だったが、それが結果としてこの敗北を引き寄せたといえる。

それにしても真経津さんのタフネスは異常である。自分で脚にナイフを突き立て、気圧変動で身体はズタボロだというのに、それを気取られぬように、天童の策によって苦しんでいるということを演出し、一瞬で殺した。

……しかしながら天童さんは死んでいないのだが。いや、なんで死んでないんだ……?

神であると自称する天童が、最後の瞬間には神様に祈るというのも、真経津の勝ち方という名の構成力がなせる技なのだろう。とにかく御手洗君の大好きな真経津さんが勝ったのだから、これは喜んでくれ。御手洗くん。

しかし御手洗くんこと超高級電卓の表情は暗い。𠮷兆班で揉むに揉まれ、感情を奪われ、ただゲームにギャンブラーを連れて行くだけの機械に成り下がり、仕事仕事仕事仕事。ブラック企業もびっくりのブラックさである。

それによりキャリアを荒稼ぎ、空前のバブルとなった銀行。この状況を利用しない手はないと宇佐美は動き、特別交流戦としてタッグバトルが行われることとなった。戦うのはみなさんお馴染み真経津に負けた 村雨&獅子神 VS 現役刑事コンビ 時雨&山吹。

挑むゲームは『ライフ・イズ・オークショニア』

 

名前の通り、命を競りに出して「ライフダイヤ」をチームで3つ集めることを目標としたゲームである。

それぞれのメンバーには1から4の数字が書かれた競売札が与えられる。オークションであるため、最も大きい数字を出した者が勝つ(重複した数字は無効として次に大きな数字を出した者が勝つ)。使用した札は遺棄され、次のオークションへ移行する。

オークションで競り勝った者は、その数字の大きさに応じた強さの電撃を身体に流すことで、命を支払っていただく。この電撃の強さは蓄積されていき、16を超えた場合は絶命する可能性が高い。

つまり凡人が思いつくゲームで勝つための条件は以下の通り。

  • できるだけ小さな数字で競り勝つ。もしも4で4回競り勝ってしまった場合、自分が死んでしまうから、4で勝つことはできるだけ避けたい。
  • 大きい数字は敵と重複させて無効にして消費したい。最も大きい数字4は、出す際には競り勝たずに消費するためには無効化ルールを利用する他ない。

また、このゲームには詰みのような状態がある。蓄積した電撃の強さが15になってしまったとしよう。すると1で競り勝ったとしても、16の電撃を喰らって死んでしまう。この状況になるより前に、チームとして「ライフダイヤ」を3つ集める必要がある。15でないにしても、14であれば2以上で競り勝ってはいけないし、13であれば3以上で競り勝ってはいけないという制限が付与されていく。

そういった先のことも踏まえたオークションをしないといけない。シンプルに見えておくが深いゲームとなっている。

この第十巻の見所は、何と言っても獅子神さんの成長であろう。他のメンバーは獅子神さんよりも圧倒的に格上の中、何とかして食らいつこうとする様は読んでいてハラハラする。ギャンブラーの中でも数少ない良心としての存在も悪くないが、格上に食らいついていく姿もかっこいい。

獅子神さんファンにはたまらないゲームであった。

【前:第九巻】【第一巻】【次:第十一巻】
作品リスト