工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

【漫画】スローループ3 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻

※ネタバレをしないように書いています。

釣りで繋がる姉妹

情報

作者:うちのまいこ

試し読み:スローループ 3巻

ざっくりあらすじ

再婚したものの結婚式を開いていなかった両親のために、料理を振舞うことを企画した小春とひより、それを受けた両親は……。その他、二葉に付き添って川釣りに参加した藍子と男子たちのドタバタなどを描いたエピソードなど盛りだくさんの第三巻。

感想などなど

再婚といえど、今後の人生を左右する結婚である。そこに優劣はないはずだ。

だがどうだろう。小春とひよりの両親は結婚式をしていないらしい(親戚が集まって軽い食事会はあったそうだが)。ひよりの「ウェディング姿を見たい!」というセリフには読者も小春も同意であろう。

まぁ、金もかかるし。挙式にはそれなりの準備と時間を要する。再婚ということもあって、そこまで式という形にこだわりがなかったのかもしれない。

それでは寂しいと、川釣りの最中に思い立った小春とひより。これから川で釣れた魚を持ち帰り、料理を作って振舞う回を企画した。となると、まずは魚を釣り上げなければ話にならない。最初は遠くに糸を飛ばすこともできなかった小春も、練習を重ねたことで、段々と様になってきた。そんな彼女の成長に盛大な拍手を送りたい。

そうして無事に催されることとなった結婚四か月と三日を祝う会。何とも中途半端な日数であるが、思い出したが吉日という言葉もある。二人の可愛らしい娘たちに、花や料理を振舞ってもらうことの幸せを噛み締めるべきであろう。

そんな家族の幸せな姿に、少しばかりウルッと来てしまったのは、歳を取りすぎてしまったかもしれない。

 

その次には、第二巻での遊園地デートを経て、これまで以上に仲良しになっている二葉と藍子の様子が描かれていく。こちらもまた微笑ましい。というか、藍子が思っていた以上に二葉のことが好きすぎるのだ。

釣りという女の子らしくない遊びを封印して、藍子と一緒にいる道を選びかけた二葉。そんな彼女の好きなものを知りたい、一緒にしたいと言ってくれた藍子。そんな二人のお遊びは、なんやかんやあってクラスの男子も参戦しての大物釣り大会になったのだが、その過程は読んで確認していただこう。

竹を拾ってきて、それを加工し糸を結び付けて作った釣り竿。エサはそこら辺にいるヤドカリや貝を潰して使う。なるほど……二葉ちゃんはかなりヤンチャな子供のようだ。それに付き添って、一緒に魚を釣って晩御飯のおかずを提供してくれた藍子も、なかなかのヤンチャさということは読者の心にしまっておこう。

 

さてさて。両親の結婚式の話も一段落し、小春とひよりは恋ちゃんの父親に誘われて、海でのシイラ釣りに参加することになった。シイラというのは漢字では鱪(魚編に「暑」)と書き、暖かい海を回遊する魚である。

こいつを釣り上げるのは、かなーり大変な労力がいるようだ。まずは船で海に出て、ポイントに付いたら小魚の群れに見えるように散水し、シイラが寄って来るように生きた小魚をまく。ロッドを操作し、小魚が動いているように見せかける技術も必要となってくる。

「そこまでしてなお疑似餌で釣ろうとするとは……釣り人ってやっぱり変だな」というひよりの心のセリフに、激しく同意した読者は、ブログ主だけではないだろう。そんな変人である小春は、その意地を最後まで貫き通し、シイラに挑み続けることになる。最初にワクワクしている表情が、真剣な面持ちとなってシイラを釣ろうとする姿勢に、釣り人の魂を垣間見た。

難しいって楽しい……なるほど。釣り人はこれを楽しんでいるのか。そんなことが分かるエピソードであった。

 

全体的に小春とひよりに代表されるような、人間関係に重きを置いたエピソードが展開され、釣りを通して仲を深めていく微笑ましい光景が描かれていく。個人的には第三巻の第一話である結婚式の話が好きだ。

これからも彼女達には釣りに打ち込んでもらいたい。いや、勝手に釣り中毒に嵌って、恋ちゃんに「こいつらめ……」と冷たい目で見られ続けるのだろう。

第三巻、微笑ましい巻であった。

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻