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チート薬師のスローライフ〜異世界に作ろうドラッグストア〜(5) 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

キリオドラッグ、開店です!

情報

作者:ケンノジ

イラスト:松うに

試し読み:チート薬師のスローライフ〜異世界に作ろうドラッグストア〜 5 (ブレイブ文庫)

ざっくりあらすじ

防災訓練と称して、町興しイベントを開催したり、不治の病までも治す万能薬を開発したりと、今日も人々の悩みを解消するために奮闘するキリオドラッグの日常。 

感想などなど

数々の出会いを経て、登場しないキャラも多数でてきたしまうくらいには巻数が進んでいる『チート薬師のスローライフ』。懐かし(?)のあのキャラが出てきたり、また今後も関わってきそうな新キャラも登場したりと、慌ただしさは変わらない。

まずキリオ達が出くわした問題は、ノエラ火災未遂事件である。ミナが少しの時間だけ、料理の番をノエラに任せてしまったことが原因である。壁に火の手が上がり、それなりにトラウマになりそうな勢いだったらしい。大量の油を料理に使っては危ないということを、一つのトラウマと共にノエラは学んだ。

ここでキリオも少しばかり危機感を覚える。この家には火災に対する備えが何もない……と。そもそもコンロというような火力を調整する器具もないため、火災が起こる危険というのは、かなり高いというのにだ。

そこで彼はとある薬を開発。

【ノットファイア:塗るだけで防炎加工! 物を燃えにくくして火災を未然に防ぐ】

これを塗るだけで壁を燃やしてもススがついて汚れるだけ。いつぞやの電撃を防ぐ薬のように、火炎魔法も防ぐことができるというのは、魔王のエルジには内緒である。

しかし、ただ燃えなくするだけでは火災に対する意識は足りない。ということで、次に開発したのは消火液である。見た目は、初見のミナが「エッチなお汁」と評したドロドロとした白濁液でありながら、その実力はかなりのもの。

燃えていた炎も一瞬で鎮火してしまう。その消火液を射出する装置まで、道具屋の力を借りることで作成。

その名もイレイサー。

見た目はただの水鉄砲である。

 

その水鉄砲、中身を消火液から水に変えれば、見た目にも問題ない遊び道具に早変わり。ということで、街の全面協力で水鉄砲による打ち合い大会が幕を開けた。領主であるバルガス伯爵、魔王のエルジまで参加。

ここで懐かしのエルフ兄妹が登場する。ヒロイン面していながら、どうして出てこないんですかね。この二人は。

そんなメンバーの中に、キリオドラッグからはキリオ、ノエラ、ビビ、エイレンの四人が参戦。強者が集っている中、キリオドラッグが勝ち上がっていけるのか?

まぁ、勝ったところで景品の一つだって貰えないのだが。

楽しそうならば良し。

 

さて、現代日本には不治の病というものがある。治療したくても、その方法が確立されていないため、ただ死を待つしかない。もしくは進行を遅らせることしかできないからこそ、不治の病と言われている。

この世界における医療技術は、日本ほど高くはない。そのため、不治の病とされる病気もたくさんあることだろう。医師に匙を投げられ、死を待つ患者というものが、この世界にはたくさんいることだろう。

だからといって医師を責めることはできない。医師だって神ではないのだ。治せない病気もある。小さな失敗で失われる命を相手に仕事をしている医師を、ブログ主は尊敬だってしている。

そんな医師の世界をひっくり返す大発明を、キリオはしてしまった。

万能薬の開発である。それを作るに至った理由が、たまたまキリオドラッグのリクエスト箱に、母親が不治の病にかかった娘からの手紙が入っていたから。そんな顔も名前も知らない相手のために、彼は不治の病の開発に取りかかった。

材料さえあればどんな薬でも開発することができるキリオにとって、万能薬作成の大きな壁となったのが、一角獣の角の採取である。この一角獣というのが、限られた場所にしかいない珍しい幻獣であった。

それを捕まえて角を手に入れるのは、あらゆる薬を作ることができるキリオにとっては楽なのだろう。しかし、彼は一角獣との交渉で角をわけてもらうことにした。

そのために獣との会話ができるようになる薬もある。獣が好む餌も作っている。これまでの集大成的な一仕事を、キリオは成し遂げることができるのか。

これからもキリオドラッグは発展を続けるであろう。そんな理由が詰まった一冊であった。

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