工大生のメモ帳

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【漫画】メイドさんは食べるだけ(3) 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻

※ネタバレをしないように書いています。

メイドさんの食事風景

情報

作者:前屋進

試し読み:メイドさんは食べるだけ (3)

ざっくりあらすじ

英国でお屋敷のメイドとして働いていたスズメは、倒壊したお屋敷が直るまでの約一年間を日本で過ごすことになる。そんな彼女の日本でのおいしい日常。

感想などなど

「ソフトクリーム」

美しい花には毒がある。例えばアジサイ……とか。

梅雨を代表する花と言っても過言ではないアジサイ。スズメはパンフレットに書かれた『雨に濡れた紫陽花(=アジサイ)は必見』という言葉に感化され、雨の中、見に行くことにしたようだ。

しかしその道中に雨は止み、たまたま発見した紫陽花ソフトクリームに舌鼓を打つ。最初にも書いたように、紫陽花には毒があるので食べてはいけない。紫陽花の色をしたソフトクリーム、ブルーベリー味といったところか。

そしてたどり着いた紫陽花の花園。その中央にいるメイドさん……美しい一コマであった。

 

「梅酒」

梅酒はスルスル飲んでしまう。健康に良いと作中で言及されているが、何事もほどほどに……自分が飲むとすればスーパー、コンビニで売っている梅酒くらいしか知らないが、スズメやリコッタの元メイド長である叔母さんは、家で梅酒を漬けているらしい。

作り方は非常に簡単。

ヘタを取って洗った梅と氷砂糖を、消毒した保存瓶に交互に入れる。上からホワイトリカー(焼酎の一種)を注いで、半年ほど漬ければ完成だ。完成したのはこちらです、ということで出された梅酒がこれまた美味そうで。

夏らしい涼しげな酸味がたまらない。

ちなみに個人的におすすめのシーンは、元メイド長のおばさんに対し「私の中ではメイド長はずっとメイド長ですわ」と言うリコッタだ。良い子やなぁ……と。

 

「麦茶」

カフェインの入っていないお茶として、麦茶はとても重宝している。個人的に、冷蔵庫には水出しの麦茶を常備し、いつでも飲めるようにしているくらいだ。特に暑い夏には欠かせない。

このエピソードは、おばあさまの依頼をこなして帰宅中、渡された魔法瓶に入っている麦茶を嗜むだけである。魔法瓶に入った氷が奏でる音を、「優しい鈴みたいな音」「宝物みたいな音」と表現するスズメの感受性が好きだ。

本当にただそれだけなのにオシャレで可愛らしい回だった。

 

「クレープ」

第二巻で熱中症のスズメを助けた高校生・遠藤そらと、彼にお礼がしたいスズメが、二人でクレープを食べに行く回。微笑ましさが八割、クレープの食レポで一割、クレープ雑学が一割くらいで構成されている。

クレープ雑学として、クレープはフランス語で「絹のような」という意味があることを学んだ。相変わらず適切な語彙チョイスセンスで、的確にクレープの味を表現してくれるスズメ。良い笑顔で食べてくれるものだから、彼女との食事はきっと楽しいものなのだろう。

 

「卵かけご飯」

猫とメイドの組み合わせは寿命を伸ばす効果がある。

この回は卵かけご飯を食べるスズメを、猫が眺めているだけの回である。珍しくスズメの食レポはない。猫が眺めているだけなので。

付け合わせに卵かけご飯の雑学が書かれている。卵かけご飯は明治初期にとある記者が食べ始めたのがきっかけらしい。サルモネラ菌などが怖くて、TKG(卵かけご飯のこと)はしてこなかったが、調べてみると専門店や専用の醤油などあることが分かった。

どうせやるなら最高のTKGを食べたい。色々と手心加えてみるのも悪くないのではないだろうか。

 

「かき氷」

リコッタとスズメがプールに行く……と思いきや定休日だったので川に行く話。その道すがらでかき氷(イチゴ味)を食べる二人の姿が、夏らしさ全快である。イチゴシロップで赤くなった舌を互いに見せ合い、良い笑顔で笑い合うシーンなんか最高過ぎる。

川に着けば、リコッタは中に着込んだ水着姿になり、スズメはスカートをたくし上げて水に入っていく。最後の一コマ、入道雲を背景に、水に濡れた二人のシーンは最高かよっ!

 

「チーズケーキ」

なんでも恋愛話にするメイド好き男子高校生と、スズメにときめく男子高校生の二人が、メイドさんが働いているカフェにチーズケーキを食べに行く話。つまりスズメはお休みである。

メイド好き男子高校生とはいい話ができそうだ、と個人的に思った回である。是非とも語り合おう。

 

「うなぎ」

コンビニでバイトをしていた頃、高い値段のウナギの弁当が良く余っていた。わざわざコンビニでウナギを買って食べようという物好きがいなかったのか。大学の近くで金策に苦労する大学生が来ることの多いコンビニだったからかもしれない。

廃棄の弁当として、よく持って帰って食べていた。自分にとって、ウナギとはコンビニの味である。本場の店で食べたことはない。最近は絶滅危惧種で値段がさらに上がったこともあり、わざわざ食べに行こうという気力も沸かない。

ウナギの入ったあの高価そうな箱……憧れがないといえば嘘になる。スズメはいつものおばあさん宅に呼ばれ、あのウナギの箱を初めて見た。その時の反応は、「玉手箱ですよね⁉」という予想の斜め上を行くものであった。まぁ、そういうところが好きでこの漫画を見続けているのだが。

相変わらずのオシャレな食レポも健在。こういうのを見ると金出して喰いたくなるんだよなぁ……。

 

「冷や奴」

冷や奴の美味しさは、豆腐よりも薬味が担っている部分の多い気がする。

ミョウガに大葉、ショウガを刻み豆腐の上に散りばめる。そして醤油を垂らす。そのシンプルな味付けでありながら、美味しいというのは不思議なものだ。暑い日にはぴったりの一幕であった。

 

「お祭り(前・後編)」

夏祭りの焼きそばは、大した量もない癖に、それにしては高い癖に、買ってしまうし美味いと思う。あの夏祭りの高揚感に当てられて、空気感に酔わされてしまったのかもしれない。

夏祭りくらいでしか見たことのない綿飴やリンゴ飴も、夏祭りだからこそ美味しいと思うのかもしれない。あの不思議な屋台の世界に、スズメと小松とリコッタの三人で乗り込んでいく。

いつものメイド服ではなく、浴衣に身を包んだスズメはずいぶんと可愛らしい。しかし彼女はたった一人迷子になってしまう。そんな彼女を助けたのは、熱中症の時と同じく、あの男子だった。

一夏の美しい想い出であった。

 

「お風呂そうじ」

メイドさんはお掃除するだけ……いや、本当にそれだけ。これ以上も以下もなく。ただ楽しそうに掃除するんだよなぁ。これが人生の楽しみ方なのかもしれない。

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