※ネタバレをしないように書いています。
男(モブ)に厳しい世の中です。
情報
作者:三嶋与夢
イラスト:孟達
試し読み:乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 2
ざっくりあらすじ
王子達との戦いで、何故か陞爵してしまったリオン。賭けで大損した学生や、女性陣からは尋常ではないくらい嫌われてしまった彼は、婚活に精を出すことにするが、彼の思惑とは裏腹に状況は歪んでいく。
感想などなど
恋に恋する馬鹿王子共をぼっこぼこにしたリオン。王子を相手取っているとは思えない毒舌に、騎士道精神は欠片もないチートアイテムを駆使しての戦闘は、最早どちらが悪役か分からないものであった。
最終的にはゲームでは悪役令嬢だったアンジェを助けるような形となり、王子達はその盤石だった地位が危ぶまれることとなった。トドメを刺したのはリオンだろうが、遅かれ早かれ、王子達ハーレムを築いているマリエによって落ちていたように思う。
それに地位が危ぶまれたといっても、少しお灸を据えられたという程度の話である。おそらく親から怒られはしたのだろう。しかしそれ以上に、恋に恋する馬鹿具合は良い感じに加速しているように感じるのは気のせいだろうか。
そんな馬鹿達をボコったことで、とてつもなく嫌われてしまったリオンではあるが、陞爵(読みはしょうしゃく。爵位が上がること)したことで学園での扱いも少し上がった。それは喜ばしいことではないか、と言いたいところではあるが、爵位が上がったことで婚活が面倒になるという大きな弊害がある。
第一巻で嫌というほど分かったと思う。爵位が高ければ高いほど、女性の性格がヤバくなる。男は自身のステータスとしか思わない、恋に恋する王子達がむしろ可愛いと思えるようなモンスターぶりである。
……あれ、もしかしてこの世界って地獄か?
だったらヒロインと結婚すればいいじゃない。幸いなことに平民の出であり、ゲームでは主人公だったオリビアは、王子達には全く靡かず、リオンと一緒に勉強したりダンジョンに潜ったりするような仲である。このままゴールインしたって良いのではと、ゲームのストーリーを知らない我々読者はそう考える。
しかし、リオンの胸中は穏やかではない。ゲームでは王子達と主人公の恋路が上手くいかない、つまりはバットエンドだと国が滅びるのだ。学園での恋路に世界の命運が懸かっているとは、一体どんなセカイ系だと突っ込みたくなる。
つまり、リオンとしてはオリビアと王子達の誰かで恋を成就させて欲しい。しかし王子達は馬鹿だ。それにみんなマリエに夢中である。もう状況は無茶苦茶だ。
そんな状況下で催されることとなった学園祭。
リオンは紅茶と菓子を提供する喫茶店を開き、金を稼ごうと画策する。リオンが紅茶にかける熱の入れようを見るに、この喫茶店にかける熱量も相応のものになることが想定された。
しかし、そんなリオンの喫茶店の横で、あの馬鹿王子達がマリエにそそのかされて喫茶店……というよりは執事喫茶を開こうとしていた。しかも平民ではまず手が出ない、貴族にとってもお茶一杯とすれば出し渋るような強気な値段設定で挑んでいる。この世界に、ぼったくりバーという概念はないのかもしれない。
とはいってもこれは平和な闘争だ。流血沙汰、またうっかり爵位が上がってしまうような状況には……繋がるんだな、これが。
爵位が上がったこと、ダンジョンでロストアイテムを手に入れたこと、公爵令嬢アンジェに気に入られていること……王子に喧嘩をふっかけて毒舌を吐いたこと以外に、リオンが嫌われる要素は多大にある。
そんな彼を蹴落としてやろうと画策する人間が、現れないはずがないのだ。
そんな輩が罠を仕掛けるとすれば……そう、彼が断れないような仕事を押しつけて潰すとか、大勢の前で恥をかかせるとか、それはそれはたくさん思いつく。そんな凡人が思いつくような罠が、これからたくさんリオンに降りかかることになる。
そういう面倒事が嫌で、爵位が上がることは嫌がったというのに。そんな嫌がらせを全てかわしていくリオン。なにせ彼にはチートアイテム【ルクシオン】がついている。これのお陰で、大抵の問題はどうにかなる。
なかったらと考えるとゾッとするような事件の数々。とくとご覧あれ。