工大生のメモ帳

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ワールドエンドの探索指南2 感想

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作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

終末世界の歩き方

情報

作者:夏海公司

イラスト:ぼや野

ざっくりあらすじ

〈学園〉を脱出しミシハラを目指すタイキとヤヒロ。しかし、進むに連れて凶暴さを増すミサキの出現や物資の消耗に二人だけの探索への限界を感じ始める。そんな中、旧い前線基地の〈工場〉が近いと知り、補給のために向かうことに。そこで待ち受けていたのは、別拠点〈教会〉の遠征隊メンバーの一人、ツクシだった。

感想などなど

第一巻の記事にて、『予測の全てを裏切っていく』と書いたが、第一巻を読んだ人はその意味を分かって貰えたのではないだろうか。ネタバレはしないように書いたつもりだが、新鮮な気持ちで驚きを感じることができたならば幸いだ。

冒頭からして、メインかと思った人物があっさりと死に、主人公がタイキへと変わっていく。ダンジョン探索ものかと思いきや、世界の謎に迫っていくSF的展開と、内に敵を見いだして戦っていく。

これはゲームではない、ライトノベルだ。ダンジョンの存在は、世界を構成する要素の一つに過ぎない。ゲームでは想像に補うしかない要素も、小説では描ききらなければいけない。

第一巻を通して、タイキとヤヒロには目的が出来た。〈学園〉の幹部達が目指していたとされるミシハラを目指すという目的が。これまでは仲間達を犠牲にしてきたが、今度は二人で歩んでいく。

しかし二人でというのはかなり無茶があるというのは、探索初心者である読者にも分かる。学園が定めたルールの一つである『必ず六人で探索すること』というものは、強盗は六人ですべきと同じように、それなりに長い時間と経験を重ねた結果見いだした最適解だったのだろう。

〈学園〉の昔は想像で補うしかないが、最初は本気で犠牲もなくミシハラへ到達すべきだったのかもしれない。〈学園〉内ではイベントごととして肝試しなとあったらしい回想を見るに、〈学園〉幹部=悪という等式を受け入れられないブログ主もいる。

そんな〈学園〉の置いて行った元前線基地の工場に辿り付いた二人――タイキとヤヒロ。〈学園〉の過去と、ミシハラへ向かうために立ち塞がるであろう困難と向き合うことになる第二巻。長い長い前置きだったが、内容に言及していこう。

 

二人で、しかも戻ることは許されない――いや、戻ったところで問題はないのだが、なんかかっこ悪い――というこの旅。問題は大きく二つ。

一つはミサキが二人で倒すのは厳しいということ。第一巻の冒頭のように集団で襲われでもしようものなら逃げられない。新しい場所に進むということは、情報だって不足してくる。分析が得意と言えど、不測の事態は発生するものだ。

二つは物資の不足。これまでは物資を補給できる戻る場所があった。貢献度に応じたポイントで物資を買うこともできた。無人の街で物資を購入できるスーパーがあるはずもなく、どこぞのホラゲ-のように商人が危険地帯にポツンと立っていることもない……立ってたら敵だと疑うべきであろう。

とりあえず物資の問題を解決すべく、元前線基地であった工場へと向かった。

以前は〈工場〉と名付けられた場所にて拠点を形成していたらしいが、何やら問題が発生して急いで逃亡し、現在の〈学園〉に拠点を設けたということらしい。その問題の内容に関してはとりあえず置いておくとして、そうとうに急いで逃亡したらしく物資など大量に残っているだろう……と分析した。

しかし、やはり不測の事態というものは発生する。

なんと別拠点〈教会〉の遠征隊……の一人であるツクシが待ち受けていたのである。どうやら別メンバーは拠点に戻っているらしく、また戻ってくるまでの間の護衛を受け持っているようだ。

一人で拠点護衛を任される辺り、有能かと思いきや、どうにも煮え切らない余裕ない態度や遠征隊として持つべき知識が不足しているよう感じられる。センサーを駆使して警報装置を作成したり、風呂を作り上げる辺り、ただの無能ということはないだろうが。

彼女と敵対することなく、〈工場〉の物資を手に入れようと作戦を考える二人。

そこで注目したのは、ツクシの奇妙な点である。

やはり一人で護衛拠点を任されるというのは普通じゃない。見張りというのは、一人が寝ている間に見てくれる人が必要なように、二人でやらなければ意味はないだろう。最後に遠征隊メンバーと会話したのは一ヶ月以上前だというのもおかしい。

また、彼女は〈工場〉の奥へと二人を入れないような言動をとる。奥地を探索すれば、より多くの物資を確保できる。二人にとってもツクシにとっても、それはメリットしかないと言える。理由として「奥は入っちゃ駄目と言われてる」と言うが、それにも限度というものがあるだろう。

どうにも彼女は奥に何があるのか知っているような気がしてならない。その上で、入ることを拒んでいるような感じが……。

口の達者なタイキと、無茶苦茶なヤヒロの二人に無理矢理な形で〈工場〉の奥地へと進むことになる三人。そこで見ることになるのは地獄だった。ブログ主はバイオハザードの映画初代を思い浮かべた(気付けばアクション映画になっちゃった……悲しい)。

ここで思い出して欲しいのは、〈工場〉は何か問題が発生して捨てられた拠点であるという点だ。逃げ出さなければいけないような問題とは何か? ここではかつて何が発生していたのか?

再び予測を裏切られることになるだろうことを約束する。

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