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涼宮ハルヒの溜息 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

語り継がれる伝説

情報

作者:谷川流

イラスト:いとうのいぢ

試し読み:涼宮ハルヒの溜息

ざっくりあらすじ

文化祭に向けて映画を撮ることとなった『世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団』こと通称SOS団。今回ばかりは厄介なことは起きない……と思いきや、周囲を巻き込んで滅茶苦茶なことが起きまくる。

感想などなど

ちょっと不思議な日常系と銘打ち、第一巻「涼宮ハルヒの憂鬱」だけでも満足感の大きい本シリーズの第二巻である。第一巻を読んだ者ならば、第二巻に対する期待度の高さが分かっていただけるだろう。

第一巻から、キョンは涼宮ハルヒに対して、全てのネタバレをしたらしい。

長門有希は宇宙人であり、朝比奈みくるは未来人であり、小泉一樹は超能力者である、と。つまりは涼宮ハルヒが望んで止まない状況であったということが明るみになった訳だが、涼宮ハルヒはそんな訳ないと否定する。

適当に勧誘した相手が、宇宙人に未来人に超能力者と揃うような偶然があるはずない。そのどれも、こちらが探して見つけ出し、首元を掴んで引っ張り出さなければいけないような相手だと彼女は語る。

なるほど、そういった最低限度の一般人的な感性(?)は持ち合わせている訳だ……あまりにも最低限度過ぎたけれども。

さて、そんな彼女との日常はまだまだ続いていく。時節的には文化祭が近づいているようだ。

 

文化祭とは文化的な催しを、学生達が主体で企画し発表する場である。文化部が輝くことのできる数少ない舞台であり、おそらくSOS団の占拠している文芸部などは、同人誌などを頒布するのが正しいのだろう。

ちなみに朝比奈みくるのクラスは喫茶店をするらしく、彼女はウェイトレスの格好で接客をしてくれるのだという。是非とも足を運びたいところだ。

小泉のクラスは演劇であるらしく、古典作品をするか、はたまたオリジナルでやるのかで論争が起き、クラスが二分しているらしい。学力だけが似通った男女が集められる学校という環境らしい喧嘩である。

長門有希は占いをするらしい。それは最早、予言なのではという突っ込みは、キョンが立派にしてくれている。こちらも足を運んでみたいものだ。

さて、問題の中心人物である涼宮ハルヒが団長を務めるSOS団では何をするのか?

あらすじでも書いた通り、映画撮影である。

 

映画撮影に必要なものは何か?

キョンは熱意だとか何だとか語っていたが、実のところは違う。

金と時間である。熱意はなくとも映画はできる。面白さは保障しないが。

SOS団には残念ながら、その両方が――さらに付け加えるならば熱量も足りない。むしろ足りているものを探す方が難しいのではないか。しかしながら、それを力業で解決した者がいる。

涼宮ハルヒである。

朝比奈みくるを主演女優に据え、商店街を回り、スポンサーになってくれる店を集めた。そしてカメラやモデルガンといった備品を揃え、金という問題を解決してしまった。恐ろしい。

そして時間……こればかりは増やしようがない。時間内でできる作品の最大限を目指すことを考えるべきだろう。

撮影が計画通りに進むことなどあり得ない。演技が監督(涼宮ハルヒ)の思い通りにいかなければ撮影が止まる。脚本家(涼宮ハルヒ)の書いている脚本が、途中で書き換わることなど当たり前。そもそも脚本はなく、涼宮ハルヒの脳内にあるのだから、周囲の者達はその考えを推測しながら演技しなければいけない。

みくるは魔法少女として、長門有希はその敵として、小泉は何か後ろでニコニコしている。なんだこの映画は。カラスが白くなっていたり、ビームが本当に発射されたり、ハルヒの改変能力までも炸裂し、もう滅茶苦茶である。

日常と改変による不思議が、良い塩梅に混じり合った日常物として、大変に面白い作品であった。ちなみにハルヒ達が作った映画が、面白かったかどうかは読んでからのお楽しみである。

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