※ネタバレをしないように書いています。
ウマ娘達の物語
情報
原作:Cygames
漫画:S. 濃すぎ
試し読み:STARTING GATE! ―ウマ娘プリティーダービー― (5)
ざっくりあらすじ
学園の外へと駆けて行ってしまったダイワスカーレットを追いかけるウオッカ。二人が辿り付く場所とは――。一方、シンボリルドルフに見ていて欲しいトウカイテイオーは、「トレセン学園1周マラソン」を企画する。
感想などなど
ダイワスカーレットとウオッカの喧嘩はいつものことだが、今回は少しばかり根が深かったようだ。選抜戦で勝ち上がったウオッカと負けたスカーレット、敗者は勝者に勝算の言葉を贈り、次の戦いに向けてのエールを送った。それを受けて、勝者が選んだ選択は棄権という道だった。
同情されたくなかったと語るスカーレットと、同情されたかったのか? と語るウオッカのどうしようもないすれ違いから、青春の匂いがする。結局、スカーレットは夜の街に駆け出して行ってしまい、それを追いかけてウオッカも外に飛び出してしまった。
そんな気になる場面で終わり、第五巻はウオッカ視点で描かれる回想となる。
全くもって方向性の違う両者が、いかにして親友となったか。
そこにはウオッカからダイワスカーレットに対する、熱い想いがあった。
ウオッカはトレセン学園に入学し、同室は言わずもがなダイワスカーレットであった。入学して早々、ダイワスカーレットは勉学・走りにおいてトップを独走するような優秀なウマ娘であったようだ。
その才能を、ウオッカはかなり斜に構えて評価していた。生まれながらの才能にあぐらを掻いている。同室にいながら、彼女が勉強している様をほとんど見たことがない。走りだって自分の方が努力している。
そんなダイワスカーレットの鼻をへし折ってやる。勉強ではどうしようもないかもしれないが、走りで彼女を見返してやる! 自分がちょっと努力すればすぐに勝てるようになる! というように。
そしてウオッカとスカーレットが競い合う初めての模擬レース。そこでウオッカはギリギリのレースを制し勝利。スカーレットに「何か特別なトレーニングとかしてる?」と聞かれ、「ぜんぜーん何もしてねーぜ! お前だってそうだろ?」と返すウオッカ。実際は影で努力している訳だが、それをひた隠しにしている。
努力知らずの優等生、努力を怠らない自分とは正反対の彼女に勝つことができた。
次も難なく勝てるだろう、というウオッカの予想に反して、次のレースではダイワスカーレットに敗北する。頑張りが足りなかったのか?
彼女は努力なんてしない優等生タイプのくせに、努力した自分が負けるなんて。
そんなウオッカのスカーレットに対する印象が崩れていくのは、ウオッカが辛勝したレースの直後である。練習場で熱を出して倒れているスカーレットを発見したのだ。どうやら日頃の疲れが溜まっていたようだ。
スカーレットはウオッカが見ていないところで、ウオッカ以上の練習をしていたのだ。それはレースだけに留まらず、ウオッカが寝静まったころに勉強までしていたようだ。
つまり、スカーレットもまた努力を惜しまない娘なのである。
しかも、一度負けたという悔しさをバネに、自分の体が壊れるくらいにまで限界まで努力してしまうような阿呆だ。
「今の努力は全部最後に勝つためだもの いくらつらくたって構わないわ」
と語るスカーレット。心のどこかで嘗めていたスカーレットの本気を知り、自分の心の甘さを知らしめられたウオッカが、スカーレットに対して向ける感情を、何と呼称すべきか分からない。
とにかく、ウオッカが知っている彼女は、最後に勝つためならばどんな悔しさも飲み込むような強い奴なのだ。そんな彼女の心が折れる姿などみたくないのだ。
今回の騒動をスカーレットとウオッカの喧嘩というように書いたが、ただの可愛い痴話げんかである。微笑ましく見守っておこう。
もう一つ、微笑ましく見守るべき関係性がある。シンボリルドルフとトウカイテイオーの両名である。史実では父と子である二人は、ウマ娘世界では仲の良い先輩と後輩のように描かれている。
トウカイテイオーは構って構ってとついて回り、そんな彼女に何だかんだで甘々なシンボリルドルフ。しかし、最近はシンボリルドルフのトウカイテイオーに対する態度が、どうにも冷たいらしい。
……いつも通りに見えるのはここだけの話だが、トウカイテイオーからしてみれば色々とニュアンスが異なるのかもしれない。そんなトウカイテイオーはシンボリルドルフに褒めて貰いたいがために、「トレセン学園1周マラソン」を企画する。その行動力は褒めてしかるべきかもしれないが、生徒会長であるシンボリルドルフとしては、生徒の勝手な企画発案に意を発し、断るべきで事案ある。
しかし、シンボリルドルフは甘々である。
なんとトウカイテイオー発「トレセン学園1周マラソン」を始めることにしたのだ。どうせならG1とか……といいたいところだが。
ふぅむ、やっぱり子供は可愛いんですかね? お父さ……いや、ウマ ”娘” だからお母さんですか。みんな可愛い第五巻、ネイチャにマヤノにマーベラスも登場し、ファンにはたまらない漫画でした。