工大生のメモ帳

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無職転生 ~異世界行ったら本気出す~ 5 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

転生したら、まともな人生を

情報

作者:理不尽な孫の手

イラスト:シロタカ

ざっくりあらすじ

神聖国・ミリシオンに辿り付いたルーデウスとエリスとルイジェルド。そこにはルーデウスの父・パウロがいた。感動の再会となるはずが、すれ違いにより家族であるはずの二人の関係性に亀裂が入ってしまう。

感想などなど

家族は一番身近な他人という言葉がある。

この言葉を言った者が、どのような思いを込めているのかは定かではないが、この作品を読んでふと思い浮かんだ言葉の一つである。ルーデウスとパウロは血の繋がった家族だが、だからといって互いのことを理解できるなど幻想であった。

まぁ、まず再開の仕方が最悪であったことは否めない。

ルーデウスはパンツを被っていて、パウロは酒の匂いを漂わせ、隣に巨乳美女を侍らせて(るように見えた)、互いに互いが「なにしてんだ? こいつ」状態である。共に苦労した自身の過去と、相手の楽しそうな現在を比べて、外から見ると下らない言い合いを始めるのだ。

「お前がこの一年ちょっとの間、遊び歩いてたってことは、よくわかった」

とイライラした声色で言うパウロ。

「じゃあ、浮気し放題ってわけだ。ずいぶんとエロい格好させちゃってまあ。こりゃ、新しい弟か妹ができる日も近いですかね」

とパウロの隣にいる美女を見ながら言ってのけるルーデウス。

互いに言われたくない所を詰められて、最後に手が出て殴り合いになるのはすぐであった。昔はあれほど強かったパウロも、予見眼を手に入れたルーデウスに呆気なく馬乗りにされ、殴る殴る殴る殴る……涙とか血とか色々な体液でぐちゃぐちゃになっていく。

どちらが悪いということもないだろう。その後、パウロの回想に移り、彼が住んでいた家もワープに巻き込まれ、妻や娘達とも離ればなれになってしまったこと、ルーデウス含め皆を探すために奮闘していたことなどが語られる。

ルーデウスもだが、パウロもまた苦労したのだ。

こうして喜ぶべき再会は、最悪な形となってしまった。

 

そんな最悪な再会イベントが起きたことを知っての反応は十人十色であった。

エリアは怒りパウロに一発入れてやると意気込んで、ルイジェルドはそんなエリアを止めて敢えて関わらない道を選んだ。パウロの知り合いであるギースは、パウロに対して優しくも厳しい言葉を投げかけた。

最悪な再会だったかもしれないし、二人の間にはもう修復できないような亀裂が入ったかもしれない。それでもまだ生きている。というかいつ死ぬか分からない。これから先もいなくなった者達をパウロは探すだろう、ルーデウスだって大陸へ戻ったり、スペルト族のために奮闘したりするのだろう。

仲直りするとすれば今しかない。ともに今のままでは駄目だという意識だけはあるのだ。それだけが救いだった。

 

家族というものを改めて考えさせられるようなエピソードを終えると、エリアとルイジェルドとルーデウスの三人の旅は、目的地へと着実に近づきつつあった。魔大陸は越えたが、安心できることは何一つない。ルイジェルドがスペルド族であるが故の苦悩は、中央大陸に近づけば近づくほど増すと言っても過言ではないのだ。

差別意識というよりは、ここから先は宗教との戦いになる。どうやらスペルド族は倒さなければいけない、というような教えがあるらしい。時に命よりも重くなる宗教を否定しねじ曲げることなど不可能。スペルド族の生きづらさというのを、改めて実感できる。

ルーデウスは優秀で天才かもしれない。しかし、一人ではここまで来ることなど絶対にできなかった。多くの人の助けでここまで来たのだ。

そしてこれから先も……。

また多くの人に救われつつ、物語はまだまだ続いていく。感動と笑いに満ちた第五巻であった。

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