※ネタバレをしないように書いています。
転生したら、まともな人生を
情報
作者:理不尽な孫の手
イラスト:シロタカ
試し読み:無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 9
ざっくりあらすじ
ひょんなことからフィッツ先輩が性別を偽っていることを知ってしまったルーデウス。そのことに気付かないフリをしようとしたが、フィッツの胸中は穏やかではなかった。
感想などなど
ルーデウスと同じく無詠唱魔法を操るフィッツ先輩の正体は、実はルーデウスが魔法を教えたシルフィエットだというのは、第八巻を読んだものならば分かるであろう。大災害によって姫のいる城に飛ばされた彼女は、そのまま姫に仕える護衛として相応の地位を得たらしい。
かつてシルフィエットと同じ大学に行きたいがために、わがままお嬢様エリスの元に家庭教師として送り込まれたのが遠い昔のことのようだ。その願いは、遠い時を超えて本人の意思とは無関係に叶えられたのは御神体に祈りを捧げ続けたことによる影響かもしれない。ロキシーさまさまである。
シルフィエットはその身体の細さ故に、また男顔負けの魔法の強さ故に、姫様の命で男のフリをしている故に、女性だと気付かれることはなかったようだ。ルーデウスもまた、そうして騙された者の一人である。
ルーデウスはそんなフィッツ先輩の性別を偶然にも知ってしまう(ついでにアソコが立ってしまう)。シルフィエットだとは分からないようだが、自身の不能改善の兆しが見えたこともあり、悶々とした日々を過ごすこととなるが、その話は一旦おいておこう。
この第九巻のメインはそこだけではない。
なんとルーデウスと同じように、日本からこの世界に飛ばされた者が現れたのだ。
特別生サイレント・セブンスター。学校にやって来て早々、学食のメニューを改善し、前世にあったカレーによく似たケリースープなるメニューを考案。制服なるものを作らせることで、雑多な種族が集まった野蛮な学校というイメージを払拭することに成功。黒板と呼ばれる物まで考案したらしい。
天才である。
見覚えがあるけれど。
そして現在は転移魔術について研究しているらしい。しかも真っ白な仮面をつけて生活している……真っ白な仮面? どこかで見覚えが……思い出せない方は六巻を読み直し、オルステッドと遭遇して死にかけた辺りを見て欲しい。オルステッドの隣には真っ白の仮面をつけた者がいたはずである。
なんとそいつ、ルーデウスと同じ転生者だったのだ。正確には死んでから来たのではなく、そのまま死なないままでやってきた転移者と呼ぶべきだろうか。その真っ白の仮面の向こうには、前世では見慣れた日本人の顔があった。
彼女は日本に戻るために転移について研究しているらしい。なるほど、地球での生活を捨てたルーデウスとは正反対だ。
ルーデウスの大学での生活も佳境を迎えた。元々、転移について研究していれば不能が治るヒントも同時に得られるという人神の助言を信じてここまで来た。だが残念なことに不能はまだまだ健在……そんな矢先、たまたまフィッツ先輩の身体に触れてしまい、女性だと気付いてしまう(ついでに股間が反応する)。
そしてルーデウスは悩む。このままフィッツ先輩にお願いすれば(何を?)、不能は治るかもしれない。だがフィッツ先輩は自身の性別を隠して生活している。理由は定かではないが、よほどの背景があるのだろう。
彼はフィッツ先輩の秘密を心にしまっておくことに決めた。
それをよしとしない者がいた。シルフィエットの上司である姫君やその護衛達である。彼・彼女たちはシルフィエットに問う。このままでいいのか? 後悔しないのか? と。それに対してシルフィエットの出した答えは……。
これほどまでに思われて幸せ者め。その幸せを今のうちに噛み締めておけよ、ルーデウス。