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【漫画】熱帯魚は雪に焦がれる2 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

いっそ蛙になれたら

情報

作者:萩埜まこと

試し読み:熱帯魚は雪に焦がれる 2

ざっくりあらすじ

水族館部による一般公開は大盛況で終わった。しかし小夏は先輩に何かできないかと思い悩み、対する小雪も彼女との距離感を推し量れずにいた。二人のもどかしい関係はまだまだ続く……。

感想などなど

もどかしすぎる……この第二巻を読んでの感想はこれに尽きる。「蛙になりたい」という変化球過ぎる告白から(伝わってないのは幸いと言うべきか……?)、誰もいない部屋で抱きつきという奇妙な段階を踏んで仲を深めていく小雪と小夏の両名。

互いに相手のことを想っていることは端から見ても明らかで、そのことについて小雪は父親から弄られているくらいだ。その弄りに対し、ムッとした表情を浮かべる小雪が可愛かったりするが、その表情を見せられる相手が父親意外にも出てくるまで、一体どれくらい時間がかかるのやら。

小雪は電話番号一つ聞き出すのにも、かなりの時間を要すことになる。読めば分かるが、かなり面倒な思考をしているということも痛い程に伝わってくる。もう小夏に向けている視線が恋する乙女なのだ。

「小夏の連絡先を聞きたい!」「小夏と夏祭りを一緒に回りたい!」「あっ、でも小夏は別の子と回るんだ……」と表情が二転三転していく慌ただしい様を、ニヤニヤしながら眺めるのがこの漫画の楽しみ方なのだろうか。

まぁ、それは間違いではないと思う。

ただそこだけではないと声を大にして言いたい。

 

小夏が帆波先輩(=小雪)に向けている感情は、軽いようで実は重い。帆波先輩のことを知りたい、理解したいという欲求が強いのではと推測する。それは家族と離れて暮らすことになった寂しさを紛らわせるためという単純な理由ではないだろう。

二人の出会いは、帆波先輩が小夏に話しかけたことがきっかけである。しかし先輩と接してる内に、どうにも帆波先輩はあまり自分から話しかけるような性格ではないことが分かる。彼女自身、水族館を見に来てくれた人にはあまり話しかけないようにしていると語っている。

だとすれば、どうして先輩は小夏に話しかけたのか?

その疑問は同じ時間を過ごしていく内に、「どうして自分を見つけてくれたのか?」という問いに変わっていく。寂しく冷たかった日常から、明るく華やかな日常に手を差し伸べて引っ張り上げてくれた理由を、「自分を選んでくれた理由」を知りたいと彼女は思ってしまったのだ。

そんな可愛い後輩の問いに、帆波先輩は答えてくれるかは神のみぞ知る。

 

二人の関係は本当にもどかしい。二人を除く周囲の人達は、異様なまでに察しが良いのだが……特に小雪のおじいちゃんの人を見る目は確かだ。流石は教師を長年しているだけはある。思春期の思考回路を良く理解している。

ただそのもどかしさがあったとしても、少しずつ距離が詰まっていっていることだけは確かだ。二人は連絡先を交換できたし、夏祭りを一緒に行く約束も取り付けた。返信に戸惑う小雪の可愛い姿も見ることができたし、楓という察し能力最強の女子高生の力添えもあって、歩み寄り方も学習してきたように感じる。

ここから先、どのように二人の仲が深まっていくのか気になる場所で終わってしまった。先輩として……いや、小雪として小夏とどう向き合っていくのか。その解答が第三巻で出るのか……出ない気がするけどなぁ、どうなんだろうなぁ……といった感じで第三巻以降も一気に買ってしまったブログ主であった。皆さんも同じ道を辿ってみてはいかがだろうか。

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