工大生のメモ帳

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狼と香辛料Ⅵ 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→狼と香辛料 感想 - 九工大生のメモ帳

惚れた時点で負け。

情報

作者:支倉凍砂

イラスト:文倉十

ざっくりあらすじ

エーブを追いかけるために、川を下ることを選択したロレンス一行。その道中で、厄介事に巻き込まれている少年・コルと出会い、図らずとも助けることになる。

感想などなど

エーブに騙されたことを知り、ナイフで傷を付けられてまでして、手に入れることとなった店として改築可能な宿を手に入れたロレンス。しかし、彼は『店を持つという夢』を捨ててまで、ホロを助けにいきました。

そこからのロレンスの告白は、かなり痺れるものがありました。是非ともアニメで見たいシーンです。三期やらないかなぁ……まぁ、やらないだろうなぁ。

これまでホロとロレンスは二人で旅をしてきて、数多くの困難を乗り越えてきました。ロレンスが商人としての人生が終わりかけたり、宗教問題によって処刑させられかけたりなどなど。どれもこれも二人でなければ乗り越えられない問題であり、二人の仲も確実に進展していく過程が描かれていました。それはもう、もどかしい程です。

そんな関係性が大きく進展した第五巻(狼と香辛料Ⅴ 感想)は、『狼と香辛料』という作品において重要なターニングポイントを迎えたように思います。

さて、思いを告げた二人はこれからどうなっていくのか? 期待に胸は膨らみます。これまでも散々いちゃいちゃしていたのに、これ以上となるとどうなってしまうんだか。

 

エーブという(ホロが言うには)女狐は、大量の現金を入手し、現金でしか買うことのできない毛皮を大量購入しました(詳しい説明は五巻を要購入)。その毛皮を持ってすぐさま移動し売却するために、船を使って川を使ったのだろうとロレンスは推測しました。

では「わっちらも」ということで、ホロとロレンスも船を用いて川を下ることに……。

そんなことを打ち合わせる際のホロが、ぶち切れてるんですよね。

「ほれ、さっさと歩かぬか!」とロレンスをせかし、「ぬしはわっちを迎えに来たときも歩いて来たのかや!」と歩くロレンスに怒り、たむろする邪魔な通行人に「邪魔じゃ!」と一喝。

何とも可愛らしいといいますか、ロレンスのために色々と考えているホロがいじらしいといいますか。告白された時に泣いたホロのシーンからずっと口角が上がりっぱなしです。

そんな二人の関係性において一つ重要となるのは、「ロレンスがホロに告白した」という事実です。「惚れた方が負け」とは上手く言ったものです。二人の会話で、ホロにその点をつつかれ、いちゃいちゃする二人を見ることができます。

”これまで” と ”これから” で変わっていく関係性と会話の移り変わり。何とも楽しいものです。こういう繰り返し読んで気づきがある作品は良いですよね。

 

少年・コルが新キャラクターとして登場します。

この少年は中々に特殊な存在で、教会法学を学ぶ学生でありながら、出身は北の異教徒の村だと言います。異教徒は教会の勢力によって度々潰されている話は何度もでてきました。ホロが教会に連れて行かれた第一巻の話が分かりやすいでしょう。

当然コルの住む村にも教会の人間が布教という形でやって来ました。北の寒い大地ということで無理矢理責め立てられるということはありませんでしたが、もし、もう少し南に村があったら、結果は分かりませんでした。

では、そんな教会から差別を受けるはずのコルが、教会のことを学びに行くのか?

結論からいいましょう。彼の目的は村を守ることです。敵の内に入り、敵の内部から味方を守る……という説明で分かって貰えれば幸いです。少年でありながら、頭よすぎません?

……まぁ、そんな彼も世に蔓延る悪意というものを知らなかったこと、あらゆることに対して経験値が足りないこと……など、まだまだ問題は山積みです。結果として今回は詐欺(あらすじにて示した厄介事)にあった訳ですが、これからの成長が楽しみです。

ホロがコルに構って、ロレンスが軽ーく嫉妬する様がこれまた楽しい。

 

進展としてはほとんどなかったように思います。「エーブとの決着をつけるのかな?」と思えば、エーブは姿すら見せません。「ホロとロレンスの仲が進展するのかな?」と思えば、ロレンスがホロに弄られて終わりました。

しかし、ホロとロレンスの会話が好き。二人の関わりが見れるだけで満足。という方ならばこれ以上ないくらい楽しい一冊でした。