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【漫画】賭ケグルイ双5 感想

【前:第四巻】【第一巻】【次:第六巻

※ネタバレをしないように書いています。

賭ケグルイ前史

情報

原作:河本ほむら

作画:斎木桂

試し読み:賭ケグルイ双 5巻

ざっくりあらすじ

クラスメイトとのゲームを制した早乙女芽亜里は、文芸部の賭場に戻ってきた。新たに「ダウトポーカー」のゲームを開催し、少しずつだが稼ぎを上げていく。しかし、このままで勝者になれるのかと芽亜里は悩み始める。そんな彼女の前に風紀委員長・聚楽が現れ、話を持ち掛けてくるが――。

感想などなど

クラスメイト全員を味方につけた愛浦心とのゲーム「テストバトルゲーム」で完勝した早乙女芽亜里。賞金(と雑務係の職)を手に入れ、ついでにクラスメイト全員にスカッとする言葉をたたきつけてやった。

彼女の言葉に言い返せる者はいなかった。どんな額のギャンブルだって受けるという彼女の挑戦状に、応えるギャンブラーはいなかった。彼女には誰もがおじけづく勝負強さがあった。

そんな芽亜里の前に現れ、「自分の代わりに善咲会と戦ってくれないか?」とお願いしてくる者がいた。これまで幾度となく芽亜里に絡んでは楽しんでいた風紀委員長・聚楽である。

生徒会との戦いを本格的に始めようと動き出す善咲会を恐れた彼女は、頼りになるものに守ってもらおうと考えたようだ。まぁ、百パーセント嘘だろう。彼女のギャンブルの強さは本物で、誰かに守ってもらう必要などないし、性格上それを望まないであろう。

しかし……考えてみれば彼女がゲームをしている姿は見たことがない。なんとなく強そうなオーラばかり放って、状況を全て見透かしているような感じを見せているだけの可能性も……なくはない。

そんな風紀委員長・聚楽の強さが、この第五巻では明かされる。

 

「テストバトルゲーム」とかいうスカッとするゲームも終わり、早乙女芽亜里は賭場の経営に戻っていく。この前の三すくみを利用した「魔法のダイスゲーム」は、壬生臣のマーチンゲール法で潰された。

あれはいわば客とディーラーとの勝負であり、賭場の儲けが大きくなるような仕組みになっているが、潰される可能性は少なからずあった。今回はそのような反省を生かし、客同士が戦うゲーム「ダウトポーカー」を考案した。

手札はプレイヤーそれぞれに5枚、チェンジは1回。ベッティングをして降りたプレイヤー以外で勝負。ここまでは一般的なポーカーと同じだ。ここから先が普通と異なる。

勝負するプレイヤーは親から順番に手札の役を宣言する。たとえば「10のワンペア」とか「ブタ(=役なし)」とか「ロイヤルストレートフラッシュ」とか、なんでも好きに宣言していい。ここで重要なのは「嘘をついてもいい」ということだ。実際は「ワンペア」で、「フルハウス」と宣言してもいいのだ。

そして宣言後は、親から順番にダウトするか否かを指定できる。ダウトとは、ベットしている額と同額を支払うことで、特定のプレイヤーの手札を後悔させる権利であり、一周すれば勝負が始まる。

勝負の際にはダウトされたプレイヤーは公開しているカードの役で勝負を行い、ダウトされていないプレイヤーは、最初に宣言した役で勝負を行う。ダウトで嘘を見抜かれた場合はブタ、どんなに良い役だったとしても負けとなる。

つまりプレイヤーの実際の役が「ワンペア」だったとして、「フルハウス」と嘘を宣言。ダウトで指定されれば、「ワンペア」でも「フルハウス」でもなく「ブタ」となり絶対に負け。ダウトされなければ嘘で宣言した「フルハウス」で勝負することができるという訳だ。

ベットしている額と同額を支払ってでも、ダウトをするか否かが勝負のカギを握り、自分は嘘を宣言するか否かも重要になってくる。相手の嘘を見抜けるか、自分の嘘が見抜かれないか。嘘をつくにしてもどのような役にするか。かなり奥が深い内容となっている。

自分達でギャンブルをしているわけではなく、あくまで客同士のギャンブル。賭場の収益は場所代のみで、収益はなかなか伸びない。三人だけの賭場経営も楽しそうではあるが、このままでいいのかという自問自答が、芽亜里の中で行われる。

そんなとき、賭場に現れたのが風紀委員長・聚楽だった。

 

本来は客同士のギャンブルなのだが、強すぎる風紀委員長・聚楽がずっと居座り続けることで客足が遠のき、賭場にいる客は彼女一人となってしまった。そして引きずり出された早乙女芽亜里は、彼女と一対一の「ダウトポーカー」をすることになってしまう。

「ダウトポーカー」……先ほども説明した通り、相手の嘘を見抜けるか否かが勝負の分かれ目となるこのゲーム。風紀委員長・聚楽は素人達を相手とはいえ、全勝して客足を遠のかせるほどだ。彼女の独壇場とも思えるほどに、ゲームを支配し、勝ちを手繰り寄せていく。

最初はあまり絶望感はなかった。しかし徐々にそのヤバさが垣間見え始め、気づいた時にはすでに遅い。まるでジワジワと相手を苦しめる毒物を使っているかのような女であった。

さて、早乙女芽亜里は勝てるのだろうか。緊張の一戦であった。

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