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転生したら剣でした12 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

剣として生きていく

情報

作者:棚架ユウ

イラスト:るろを

試し読み:転生したら剣でした 12

ざっくりあらすじ

街の人々に取り憑いて暴れ回った神剣ファナティクスの刀身を破壊したが、残されたファナティクスの欠片がベルメリアを暴走させてしまう。国王のいる王城へと向けて、破壊の限りを尽くす彼女を止められる者はいるのか?

感想などなど

背中に剣が突き刺さった人間が、街を破壊して回るという新手のホラーだった第十一巻。強者達が死んでいく様の絶望感は、なかなか味わえるものではない。

同族喰いというスキルにより、敵を倒す度に師匠が強化されていくという描写が、敵も神剣であるということを教えてくれるということを教えてくれる。今回の敵は神剣ファナティクス……既に失われたとされていた神剣であるが、どうやら残っていたようだ。

その刀身はボロボロであったが、復活しようという剣の意思が、今回の騒動を引き起こし、一国を滅ぼそうというギリギリまで迫った。その戦いの苛烈さは、第十一巻とは比較にならない。

なにせ後半のフランは寝ていただけである。強くなったとはいえ、フランには付いていけないレベルの戦闘が繰り広げられたことを意味している。フラン以上に強い者達の多くが死に、多くが命を削った戦場……生き残ったフランは「強くなりたい」と最後に口にする。

この戦場で死んでいった者達くらい強くなるには、どれほどの鍛錬を積み、レベルを上げる必要があるのか。色々と考えさせられる第十二巻の感想を語っていきたい。

 

神剣ファナティクスを倒したところで終わった第十一巻……とはいえ実際は倒し切れていないし、ベルメリアは行方不明という冒頭。とりあえず当初の目的であったガルスの捜索を始めることにしたフランは、ギルドマスター・エリアンテの紹介で盗賊ギルドへと向かう。

この盗賊ギルドとのファーストコンタクトが最低なのだ。

フランを出迎えたのは、はげ頭の武闘派盗賊・フィストに、結婚詐欺師のネオスト。毒物の扱いに長けた娼婦・ピンク。フランを一目見て、冷や汗をかいているフィストは、彼女の実力を正確に計っているために大人しい。しかし、ネオストにピンクは、フランという小娘のことを完全に舐めてかかっている。

実際、フランの手にかかれば全員が瞬殺なのだが、そんなこと分からないネオストの女を落とすテクニックとスキルが発動し、何をされているか分からないフランは顔をしかめる。師匠とフィストと共に、ハラハラとした空気を眺めるしかない読者。

そんな盗賊ギルドからの交渉(?)を経て、ガルスや敵の情報をもらいつつ、ついでに盗賊ギルドの最高戦力・エイワースの協力を得られることとなった。このエイワースは73歳という老齢でありながら、最前線に立って戦える実力者だ。

はっきり言ってフランよりも遙かに強い。

敵である神剣ファナティクスに使役された者は、魔術を打ち消すスキルを使ってくる。フランは剣を使えるためある程度戦えたが、エイワースは魔法使い。相性は最悪であるにも関わらず、その戦闘を楽しんでいるようであった。

人体実験を趣味としている倫理観が終わっていること以外は、頼りになる最高のじいさんなのだが……この戦況を左右するのは、このじいさんに委ねられているのだから怖い。

 

最初に書いた通り、フランは後半のほとんどを眠っている。何故眠ってしまったかは読んで確認してもらうとして、主人公不在の後半を読めば分かる。彼女がここにいたら死んでいた……と。

これまで厳しい戦場はいくらでもあった。それを乗り越えてきたのだから、今回も余裕だという楽観は通用しない。戦いを止めるために、単身で最前線へと向かった師匠が見た光景は、多くの人が行き交う王国の姿は残っていなかった。

その惨状を、師匠は何とかすることができるのか。

そしてフランの伸び代に期待するしかないこれからの展開に、期待してしまう第十二巻であった。

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