工大生のメモ帳

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電波女と青春男3 感想

【前:第二巻】【第一巻】【次:第四巻】
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

地球は狙われている

情報

作者:入間人間

イラスト:ブリキ

ざっくりあらすじ

夏休み。前川さんに誘われて、草野球に興じるようになった丹羽真と、彼に付いて行って野球に打ち込む藤和エリオ。熱い日差しの下で、宇宙服を着た女の子と出会う。電波を発する彼女をいなしつつ、青春ポイントを失ったり増やしたりと、慌ただしい一夏の青春が過ぎ去っていく。

感想などなど

努力を捨てた者達が、努力している者に抱く感情は何だろう。

何も思わない人もいれば、努力している者を下に見る者だっているかもしれない。畏怖、尊敬、嫉妬など表現するために用いることのできる言葉はたくさんある。本作の主人公である丹羽真は、絶賛努力を捨て去ってしまった人間であって、それは彼自身、認めている事実らしかった。

そんな彼とは違い、才能は発揮できずともバスケに打ち込む者がいた。自転車に乗る際には必ずヘルメットを被り、藤和エリオのことがどうにも苦手な女子高生・リューシさんである。

はっきり言ってしまうと、彼女のバスケ練習の成果はあまり出ていないらしい。しかし、それでも努力し続けることができるのは才能だ……少なくともブログ主はそう思うし、突如として現れた地球産の宇宙服を身につけた自称宇宙人のヤシロも、そう言っている。

そんな努力家リューシさんに対して、努力できなかった丹羽真は何を思うか? 彼の心境の変化その他諸々に着目しつつ、読むと面白いかもしれない。

 

それはさておき。舞台は夏休みである。

グラウンドは熱く熱せられ、アスファルトの上では陽炎が立ち上るような、絶好の草野球日和である。どうやらこの街では町内会同士(どうやら色々別れているらしい)で草野球が催され、毎年のように雌雄を決しているらしい。それに丹羽真も誘われて、野球と聞いてエリオも参加した。

ちなみに彼女の知っている野球の知識は乏しい。とりあえずボールを遠くに飛ばせばいいと思っているらしい。なるほど、間違ってはいない。

そんな野球の試合――といっても本番はもう少し先で、これはあくまで練習試合――には、見るからに奇抜な格好をした少女がいた。

なんと宇宙服の格好である。エリオの宇宙服に負けずとも劣らずな姿と言えるだろう。

彼女は語る。「自分は宇宙人だ」と。宇宙人なのに、地球人が宇宙に行くときの姿である宇宙服を身に纏い、声をわざわざ片言にして宇宙人らしさを演じながら語られると、どうにも説得力に欠ける。

まぁ、我々は宇宙人に会ったことがないので、彼女が地球人か宇宙人かの判断はできないのだが、それはまた別のお話。

 

この第三巻は丹羽真という高校生が、自分の過去や周囲の人達と向き合う話だと思う。リューシさんとの関係しかり、エリオとの関係しかり、これまで否定し続けた青春とは程遠い電波しかり。

一夏の出来事とは言え、草野球に勝ちたいと思う理由ができた。

美しき青春の一ページを彩る夏祭りを、誰と過ごすのかを選ぶ必要に迫られた。

美しき星空の下で、彼の中の世界を一変させるような衝撃的なイベントにより、幕を閉じていく。第三巻の青春ポイントは、最後プラスに転じたのだろうか。怪しいが一生忘れることはできない思い出になったことだけは否定させない。

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