工大生のメモ帳

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電波的な彼女 ~愚か者の選択~ 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→電波的な彼女 感想 - 工大生のメモ帳

愚かな選択をせし者達

情報

作者:片山憲太郎

イラスト:山本ヤマト

ざっくりあらすじ

 柔沢ジュウは街で出会った迷子の幼女・鏡味桜が、その日別れた後に最近新聞を賑わせている眼球のみを奪う凶悪犯 ”えぐり魔” の餌食にされたことを偶然知る。責任を感じたジュウは、犯人を捕まえることを決意する。

感想などなど

友人が狂っていた。

ありがちと言えばありがちな、衝撃の展開を見せてくれた第一巻。今回はどんな衝撃的展開で楽しませてくれるのか、と期待に胸膨らませつつ読み進めていく。

今回は、そんな期待を軽々超える展開を見せてくれた。

幼い子供の眼球を奪うという ”えぐり魔” の事件を追いかける話となる。

眼球をえぐる・・・・・・という字面だけでも、大分きつい事件だというのに、狙われるのは子供ばかり。時間帯も場所もバラバラで、目撃者はゼロ。犯人の目星は全くついていないという現状。

眼球を抉るという作業は簡単にはできないでしょう。例え相手が子供といえど、捕まえて押さえつけ、眼球を抉るという作業を、誰にも目撃されることなく行うことが果たしてできるのでしょうか。

どれほど狡猾で賢い犯人なのか。一巻のただ狂った適当な犯人とは違います。今回の犯人は見つからないよう、捕まらないよう最善の手を打ってきているようです。

そして何より問題なのは、「何故眼球を抉るのか」ということでしょう。

もう一度書きますが、眼球を抉るという作業は簡単ではありません。殺すだけの方はよっぽど簡単にできるはずです。

それでも犯人は眼球を抉っています。理由は何なのでしょうか。ちょっと狂った人の考えを模倣してみましょう。

眼球をコレクションするため? 抉るという作業が楽しいから?  抉るというよりも、幼ないという点が重要なのでしょうか?・・・・・・あぁ、よく分かりません。

単純な殺人ならばまだ考えやすいものです。怨恨だったり、嫉妬だったり、お金のためであったりと理由は考えられます。

しかし連続凶悪事件ともなれば、話は別です。怨恨? 嫉妬? お金のため? どれも考えにくいです。

人が何故殺人を犯さないのか。考えたことがありますでしょうか? 殺したいほど憎い相手がいたとしても大抵の場合、「殺してはいけない」と何かしらのストッパーがかかり殺さないという行動をとります。そのストッパーとは、殺した場合の利益と見つかった場合の損を秤に乗せて考えた結果かもしれませんし、自分の良心であったり、殺すという行為に対する恐怖かもしれません。

ただ眼球を抉るという行為は、殺人行為にはなりません(実際、被害者は皆生きている)。しかし、その行為に至るまでにそれらのストッパーが働いているはずです。

眼球を抉っていることがばれれば、社会的地位は失われ、被害者からは怨まれることでしょう。これまで通りの生活が送れなくなるはずです。

しかし犯人は目を抉るという行為を続けている。つまり「眼球を抉るという行為による利益」が尋常ではないということを意味する・・・・・・ということになるではないだろうか。

ここまで考えたところで犯人も目的や理由が分かってしまったという人はほぼほぼいないことだろう。分かってしまったらもうそれだけで、何か人として大切なものを失っているのかもしれない。

 

主人公が何よりもかっこいい。

外見の話をしているのではない。行動や心の問題だ。

まず犯人を追いかけようと決意するのは、自分が偶然であった迷子の幼女を見失ってしまったためである。彼は彼女の親ではないのだし、読んでもらえれば分かるが、彼は最善を尽くしていた。

それでも彼は責任を果たすために、犯人を捕まえることを決意する。そんな決意だけならば誰でもできるが、彼は実際に行動に移す。まぁ、頭が残念なので、できることに限りはあるものの、彼が犯人を捕まえるために必死にあがいていたということに変わりはない。

ここでさらに残念なことがある。今回の犯人は常識の範囲で簡単に理解できる相手ではなく、彼は常識の範囲でしか想像できない一般人。その時点で、もう彼には勝ち目はなかったのだ。

 

ここで少しタイトルに注目して頂きたい。

~愚か者の選択~

さて本作の愚か者とは誰のことを指すのでしょうか。

犯人? まさかの被害者? もしかして主人公達一行?

その愚か者が何か選択をしたらしい。その選択によって、愚か者になってしまったのだろうか?

そんなタイトルであったということを頭に入れながら、読み進めていくとより一層本作を楽しめるはずだ。狂気に満ちた世界と結末をどうぞ。

電波的な彼女―愚か者の選択 (集英社スーパーダッシュ文庫)

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