工大生のメモ帳

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電波的な彼女 ~幸福ゲーム~ 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→電波的な彼女 感想 - 工大生のメモ帳

私は幸せになりたい。

情報

作者:片山憲太郎

イラスト:山本ヤマト

ざっくりあらすじ

無差別ないじめに巻き込まれたジュウ。どうせいつか飽きるだろと放っておいたが、次第にエスカレートしていく。そんな中、雨の妹である光も被害にあっていることを知り、ついに犯人捜しを開始する。

感想などなど

電波的な彼女も最終巻に突入。今まで通り魔に抉り魔というかなりエグい事件でしたが、今回は大分マイルドになっています。これは「電波的な彼女」に毒されてしまったのでしょうか。

簡単に言ってしまえば「集団的かつ計画的いじめ」。直接的に殺すという訳ではないので、立件も簡単にできない。警察も取り合ってくれないでしょう。学校が非協力なのは物語の定番です。

それにジュウは(自称)不良です。「いじめられてるんだぁ」と誰かに泣きつくのは、プライドが許しません。まぁ、相手も飽きるだろうと放っておいたのですが、嫌がらせはエスカレートしていきます。

悪戯電話に、尾びれ背びれのついた噂がクラスをざわつかせ、郵便ポストには猫の死骸が突っ込まれる。

最後はもはや刑事事件。他人に嫌がらせをするために、ここまでできるのははっきり言って異常です。

それに、いじめが発生する理由はたくさんあるでしょうが、基本的に自分より弱い立場にするものです。学校で知らない人はいない不良を、好き好んでいじめようとする人はいないでしょう。

それでも現にいじめは起きています。何か裏があるのではないか、と思わずにはいられません。

 

自分一人にかけられる嫌がらせ程度ならば、ジュウも無視するつもりでした。しかし、事態は彼一人で収まるものでなかったのではなく、ジュウの部下(?)である雨の妹・光も、そんな嫌がらせの被害者に選ばれていたのです。そのいじめの内容が、これまた酷い。

簡単に説明すれば「デマを流して、恋路の邪魔をした」とでも言いましょうか。この嫌がらせのたちが悪い点は、好きな相手に嫌われたことだけでは、すぐに嫌がらせだとは気づかないところです。「自分が彼に何かしてしまったのではないか?」と心に疑問だけが残り続けます。相手に理由を尋ねようにも、関係性は気まずくなっているので、それもできない。

光がジュウにこの話をしなければ、永遠に事実は分からないままだったでしょう。ジュウは彼女に恩を返すため、犯人を捕まえることを決意します。

 

今の所、いやがらせを受けているのはジュウと光の二人・・・・・・と思っていたのですが、調査を進めていくと、もっと多くの人が嫌がらせを受けていることが判明します。つまり、無作為に選択された人に対して嫌がらせをしているのです。

さて、何か人の手で事件が起きたならば、そこには理由があるはずです。その事件が組織的であれば、なおさらです。組織を束ねるためには、組織内で共通した目的があるはずですから。

では犯人グループの目的を少し考えてみましょう。

まず嫌がらせによって何が起こるか? ・・・・・・うーむ、ストレス解消? 復讐?

そこには何か ”利益” が産まれるはずです。抉り魔が眼球を売り飛ばして、お金を得たように、形は違えど自分たちが得する仕組みが。

結論を言ってしまうと「普通に生きてたらたどり着かない真理」とでも言いましょうか。ある意味宗教みたいな者です。誰もが幸せになりたいと望み、そんな心の隙間を埋めてくれるような答えを求めているのです。

 

主人公のかっこよさが際立った話でした。

本当にイケメンです。他人のために自分にできる最大限のことをする。そこに自分の身可愛さによる甘えはなく、全力にぶつかっていく様が本当にかっこいい。これは惚れるのも仕方ないなぁ・・・・・・。

光や雨など女性キャラも魅力的に描かれています。まぁ、大半ちょっと狂ってますけど、それもご愛敬ということで。

終わり方は「この一冊」としては、綺麗に終わっているのですが、「シリーズとして」どうかと聞かれれば微妙なところです。

もっと狂った世界観を楽しんでいたかった・・・・・・。もう続きが絶望的なのが、悲しいところです。

電波的な彼女 ~幸福ゲーム~ (スーパーダッシュ文庫)

電波的な彼女 ~幸福ゲーム~ (スーパーダッシュ文庫)

 

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