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【漫画】鬼滅の刃22 感想

【前:第二十一巻】【第一巻】【次:第二十三巻
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※ネタバレをしないように書いています。

絶望を断つ刃となれ

情報

作者:吾峠呼世晴

試し読み:鬼滅の刃 22

ざっくりあらすじ

夜明けまで一時間――生き残った柱達で猛攻を仕掛けるが、無惨もそれを上回る猛攻で応える。無惨を倒すことはできるか!?

感想などなど

無惨と鬼殺隊の総力戦がいよいよ始まってしまった。タイムリミットは一時間。夜明けまで無惨をここに留め続けることができれば、長い長い歴史と犠牲を積み重ねた鬼と人の戦いが終わる。

それにしたって犠牲が多すぎる。上弦の鬼との戦闘で無一郎に不死川の弟、胡蝶は死に、前巻で炭治郎は倒れてしまった。歴代最強とも呼ぶ声高き柱達といえど、無惨相手には厳しかった。

無惨の武器は身体から幾つも出てきている触手であろう。人を相手する時の感覚と大きく異なっており、その触手の数も速度もかわすのがやっと。岩柱・悲鳴嶼さんでさえ押される強さに、首を斬ることなど夢のまた夢。もしも奇蹟が起きて首に刃が届いたとしても死なない。身体に刃が届いても、傷は瞬時に癒えてしまう。

絶望……勝つにはやはり、朝日が出るまで耐え忍ぶしかないのだと分かる。

そこに追い打ちをかけるように、柱達が一撃で潰されていく様を読んでいかなければいかなくなる。一番最初に倒れるのは恋柱・甘露寺だ。悲鳴嶼さんの盾にだってなる覚悟で臨んだ彼女はもう動けない。「死なないで伊黒さん」と叫ぶ彼女の悲痛さと、その言葉に背中で応えることしかできない蛇柱・伊黒。

鬼がいなければ二人はきっと、一緒に生きていく別の人生を歩めたかもしれない。

次に倒れるのは……なんと柱全員。目にも見えぬ一撃で、その場にいたはずの柱全員が吹っ飛んでしまった。遅れて駆けつけた善逸、伊之助、カナヲもその場に倒れた。もう刀を持って戦える者は誰もいない。

ただでさえ絶望的な状況がさらに絶望へ……。

 

そんな窮地になって無惨の前に現れたのが炭治郎である。無惨の細胞によって、顔は酷く腫れ上がり、鬼のような腫瘍が頭部にできている。「どちらが鬼か分からないな」と無惨は言う。

そうして始まる日の呼吸を継いだ炭治郎と無惨との戦い――それでもやはり勝てるビジョンが見えないくらいには絶望的な状況だ。自らの力で刃を赤くし、透明な世界に入って攻撃をいなし、夢の中で見た日の呼吸の型を使っても尚、それでも届かないのが無惨の首だ。

柱も皆が倒れている。この場は一人で切り抜けなければいけない。

日の呼吸の十二の型の全てが、無惨を攻撃する。幾つもの切り傷を付けるが、それも瞬時に回復されてしまう。心臓が、肺が痛いという炭治郎の心の声が、戦況の過酷さを物語る。日の呼吸で追い詰めているように見えても、その実態は厳しいと言わざるを得ない。

しかし、少しずつ希望も見えてきた。

まず禰津子が復活した。無惨に狙われると想定されていた日光を克服した鬼・禰津子は、人間に戻る薬を服用し眠らされていた。そんな場所から飛び出した彼女が向かう先はどこか。全ての記憶を取り戻した彼女が、これから先の物語でどのような役割を担うのか楽しみである。

無惨は戦いながら自分の身体に違和感を覚えていた。どうしてこの程度の剣士にトドメを刺し切れていないのか。その答えは珠世の薬が持っていた。彼女は無惨に、人に戻す薬しか盛っていないというようなことを言っていたが、実際は違ったのだ。無惨は老化の薬を盛られていたのだ。その効果により最低でも九千年は老いている、らしい。それでもこの強さ。もしもこの薬がなかったらと考えると恐ろしい。

かつて無惨が緑壱との戦闘で受けた傷。その傷は未だに癒やすことができずに残っていたのだ。これまで散々、絶望を煽るような文言を書き連ねてきたが、自分の傷を隠す余裕がなくなってきた無惨。鬼殺隊の猛攻は確実に、無惨を追い詰めている。

誰がいつ死んでもおかしくない戦争、その戦いもいよいよ次巻で完結と考えると、これまでの犠牲や人々の想いが色々と思い返される。そういった感想は次巻の感想で書き殴らせていただこう。

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