工大生のメモ帳

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魔女の旅々5 感想

【前:第四巻】【第一巻】【次:第六巻
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

魔女。そう、私です。

情報

作者:白石定規

イラスト:あずーる

ざっくりあらすじ

灰の魔女・イレイナが世界を旅する物語。

「とある魔女の過去語り」「地下街フリージア:クチナシの伝書鳩」「地下街フリージア:籠の中のプルメリア」「二人の師匠」「かわいいは正義」「新婚旅行と幸せの百合の花」「幸せの黄色い花」「とある少女の未来語り」「二人の弟子」

感想などなど

どうにも最近成長し、あまりイキラナクなったかと思いきや普通にイキっているイレイナの旅は、まだまだ続くようです。

 

「とある魔女の過去語り」

過去語りというオシャレな言い回しをしていますが、これはイレイナがこれまで辿った国での思い出を、とある女の子に語っているだけのお話です。いわゆる後になって読み返してみれば意味が分かる奴です。まぁ、別に深い意味のない些細なプロローグです。読み飛ばしでも別に困りません。

 

「地下街フリージア:クチナシの伝書鳩」

文通の国とも呼ばれる地下街フリージアでは、見渡す限りの空間に伝書鳩が飛び交って、皆が皆手紙でやり取りをしているような国でした。どうやら王女様のパレード的な奴が、近ごろ行われるらしく街は活気に溢れています。そのせいか、安い宿は全て埋まっており、最高級の宿の一室しか泊まることが叶いませんでしたが。

お陰様で財布の中身はすっからかんで、仕方なしにバイトを探すことにしました。適当に仕事を求める手紙を出してみれば、たくさんの求人が舞い込んできました。その中で気になったのが、大量に飛び交っている伝書鳩たちの管理です。行ってみればたった一人の魔法使いの女の子・クチナシが、超絶ブラックな体制で働いていたのです。

二人になったことで、多少は改善された気もしますが、それでもやはりブラックであるということに変わりはなく、臭い帽子をかぶらされ、鳩たちにフンをかけられ、嘴で突っつかれて血が滴るクチナシ。

イレイナもそんな仕事場で働くわけですが、どうにも色々とキナ臭い。まず雇い主は毎日のように酒を色々な人達と飲むことを仕事としていました。さらに臭い帽子がどうにも怪しい。ただの帽子かと思いきや、説明書があるというのです。

説明書を確認してみると……ブラック企業の社長が手が出るほど欲しくなる機能が満載でした。こうして社畜って作られるんですね。ブログ主も何か怪しいものを盛られている可能性が……?

 

「地下街フリージア:籠の中のプルメリア」

王女様の命を奪ってしまうぞ、という予告状が届いたそうです。差出人は大怪盗アヤメ。犯罪をして金を稼いだ悪者などから金品を盗み、貧乏人に配る義賊として、そこそこ有名な怪盗として有名でした。

しかし、そんな義賊が王女の命を奪うというのは、どうにも違和感しかありません。とはいっても予告状が来ているというのは事実ですし、王女はイレイナに対して大怪盗アヤメを探し出すよう秘密裏に依頼を出したのです。

しかし、無能な国王は大怪盗アヤメが王女を狙っているという話を大々的に報じさせ、しかも魔女イレイナとの大怪盗アヤメの闘いというように煽りまで入れるという徹底ぶり。

これにより新聞記者を代表として多くの野次馬がやって来るようになって、調査は難航。はてさて黒幕は誰なんでしょう?

 

「二人の師匠」

サヤの師匠である夜闇の魔女・シーラと、イレイナの師匠である星屑の魔女・フランの二人が、弟子だったころの話。どうやら二人とも「ニナの冒険譚」の作者である魔女ニナの弟子だったようですね。

そんな二人は自由の街クノーツでは、魔法を使える者達を狩る骨董堂なる組織が暗躍しおりました。その骨董堂を倒して欲しい、という依頼が魔女ニナの元に舞い込みました。しかしニナは二人の弟子であるシーラとフランにその依頼の解決を譲り、しかも三日以内というルールまで課したのです。

元々あまり仲の良くなかったシーラとフランは、互いに言い合い喧嘩をしながら依頼に挑み、しかしそんな互いに妨害しあう状況で依頼を上手く進めることができるはずもなく時間だけが刻一刻と過ぎ去っていくのです。

それにしても魔法使いと戦える人間がいるとは……驚きである。

 

「かわいいは正義」

かわいいは正義、イレイナはかわいい、つまりイレイナは正義。三段論法はこうやって覚えましょう。

 

「新婚旅行と幸せの百合の花」

打って変わってアヴィリアとアムネシアの二人の話に。それぞれ第四巻の信仰の街エストでイレイナに助けてもらった姉妹です。記憶を取り戻し、一日で記憶が消えることもなくなったアムネシアはどうにも新鮮です。姉大好きアヴィリアのツンデレも、こうしてみると可愛いですね。

そんな二人は「幸せの百合の花」なるものを求めて、花の都にやってきました。目的は観光……と言いたいところですが、有名な「幸せの百合の花」を見つけて売りさばくことで資金調達しようという考えのようです。

そんな街で出会ったのは、新婚旅行をしているというショコラとロザミアの二人。どうやら結婚して幸せの絶頂だったにも関わらず、ショコラが別の女性と親しくしたことでロザミアが嫉妬。険悪な仲となってしまったようです。

そんな二人の騒動に巻き込まれていく姉妹。微笑ましい結末でした。

 

「幸せの黄色い花」

幸せというのは難しいものです。このブログを見に来たあなたは幸せでしょうか? そっと胸に手を当てて、考えてみてください。この作品では、「幸せの黄色い花」を手に入れて、とても幸せになった男が登場します。高笑いする彼は、とても幸せそうに見えます。

さて、そこから視点が切り替わり、別の男の話を聞いてみると、どうにもその「幸せの黄色い花」を手に入れたはずの男は、とてつもない不幸な男であるということが分かります。

そんな相対する意見を持つ二人の男は、互いに互いの不幸を望んでいるような気がするというのがまた、どうにも皮肉ですね。

 

「とある少女の未来語り」

未来を予言する少女が出没し、悪い予言ばかりを言い残していくという国にやってきました。ここで「とある魔女の過去語り」と繋がっていくのですが、それはとりあえずおいておくとして。

良いニュースと悪いニュースがある、どちらが先に聞きたい?

ブログ主的には悪いニュースから聞いておきたいところですが、まぁ、その辺りの感性は人それぞれ。どちらかと言えば、悪いニュースはあまり聞きたくないという人が多いのではないでしょうか?

例えば「明日死ぬ」と言われて嬉しい人がいますか? いないですよね。「よっしゃ、明日死ねるぜ!」ってポジティブになれる人がいるならば、頭のネジが三本位吹っ飛んでます。体も頭も病気です。

国のお偉い方は、そんな悪い予言ばかりを残す者をどうにか見つけ出そうとしているようです。見つけてどうするのかは、定かではありませんが。

 

「二人の弟子」

またまたやってきました自由の街クノーツでは、骨董堂が復活し元気に活動しておりました。そこにやって来たのはイレイナとサヤで、またまた気づかぬ内に戦いが始まってしまいました。

というか戦っていたというより、普通に過ごしていたら何か壊滅していたというか……サヤの妹ミナもやって来て、さらに状況は混沌を極めていきます。それにしてもこの世界って百合が咲き誇ってますよね。男女の恋愛は苦難の道ばかりで、男か女かどっちか死んでますし。

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