工大生のメモ帳

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魔女の旅々7 感想

【前:第六巻】【第一巻】【次:第八巻
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

魔女。そう、私です。

情報

作者:白石定規

イラスト:あずーる

ざっくりあらすじ

灰の魔女・イレイナが世界を旅する物語。

「昔々、あるところに」「嘘まみれのシャロン様」「目には見えないもの」「石膏像と魔女たちの話」「美人だけの村」「わかり合えない人とケモノの物語」「星霜の旅々:田舎に厳しい都会の秋」「星霜の旅々:悠久の刻」「星霜の旅々:花咲く記憶」「星霜の旅々:おともだち」

感想などなど

「昔々、あるところに」

とある国の古本屋で、おばあさんの昔話を聞いたイレイナ。そこで全てを聞いた彼女が、これからどのようなことをするのか……そこが重要なのです。

 

「嘘まみれのシャロン様」

嘘をついたら、その嘘を隠すために嘘をつき、という無限ループ。そんな負のループに巻き込まれ、もう逃げ出すことのできなくなったシャロンという少女がいました。彼女がついた嘘というのは、「自分は魔女です」というもの。

魔女というものは、いわば最強の称号のようなものであり、多くの人にとって憧れの存在。魔法は全く扱えず、特技は裁縫というシャロンは、魔女への憧れが強すぎたが故にローブと帽子を作り、見た目だけは立派な魔女として旅をしていたのです。

そして訪れたとある国にて、魔女と勘違いされてしまった訳ですが、得意な裁縫で解決していくことで魔女として名を上げていくことになります。魔法使えないのに。この子、普通に有能なのでは?

そんな彼女に次に舞い込んだ依頼は、近隣の森に潜む盗賊団を討伐してほしい……というものでした。裁縫が得意な彼女は、魔女の格好をして森へと向かい、遠目に本拠地を眺めるだけで立ち往生。

そこを通りかかる一人の本物の魔女がいました。そう、イレイナです。

 

「目には見えないもの」

無味無臭の猛毒を作ることが得意な目が見えない男の魔法使いと、目を見た者を石にしてしまう女の魔法使いがいました。二人はともに戦争で猛威を振るい、多くの者を殺しました。二人は言わば英雄な訳ですが、戦争が終わったとなれば、ただの危険人物。国を追い出され、森の外れにある寂れた村に、ただ二人ぼっちで暮らしていました。

そこに訪れた灰の魔女・イレイナ。彼女は国から上記の事実を聞き、二人を国へと連れ戻すように命令を受けた上でやって来ていました。

しかし二人と出会って、真実を聞いた彼女は行動を開始します。旅人らしく。

 

「石膏像と魔女たちの話」

とある国にイレイナの姿を象った石膏像がありました。犯人はイレイナ大好きっ子サヤさんです。イレイナに似た物があれば、全てサヤさんが黒幕なのではないでしょうか。

そういえばイレイナのフィギアが出るそうですね。写真を見てみましたが、相当にクオリティが高いようです。サヤさんなら何が起ころうと入手しようとするだろうな……そういえばつい最近ストーカーが増えたから……これは争奪戦ですね。

 

「美人だけの村」

ハーレムは男の夢です。否定しないで下さい。自身の欲に正直に応えて下さい。

この村には男は一人しかいません。その男というのは、大人になって外に出ることが許された女性が探してきたのだと言います。そうして村に来てからは、半年の間は村にいることが許され、毎晩毎晩、女性を選り取り見取りの抱き放題。

そんな男にとっての天国ですが、もう一度書きますが、ここにいることが許された期間は半年です。「半年だけだとしても入りたい」という方、ここは文字通りの天国なので是非とも入ってみて下さい。死ぬほどの快楽が待っていますよ。

ちなみにブログ主は遠慮しておきます。まだ死ぬほどの快楽は受けたくありませんので。

 

「わかり合えない人とケモノの物語」

この物語は、むかーしむかし、四百年もの昔、周辺国を存在しているだけで滅ぼしかけた古竜と、森で孤独に生きていた魔女の紡いだ関係を、たまたま真実を知ったイレイナが、二人の過去をなぞりつつ、巻き込まれていくものとなります。

古竜はどうして周辺各国を滅ぼしかけたのか?

魔女は何を思ってその古竜を封印したのか?

そして……四百年の時を経て、封印から解き放たれた竜が何を求めるのか?

ラストシーンのイラスト含め、綺麗に締められた物語でした。

 

「星霜の旅々:田舎に厳しい都会の秋」

「星霜の旅々:悠久の刻」

「星霜の旅々:花咲く記憶」

「星霜の旅々:おともだち」

話が別れてはいますが、最後には全てが繋がって、イレイナも大活躍する物語です。主人公は都会で魔法使いに救われたことから、田舎で必死に魔法を勉強して、都会に対して悪感情しか持っていなかった両親も説得し、やっとの思いで都会の魔法学校へとやって来たアルテ。先生からの補習を受けつつ、退学の危機に瀕しながらも、今日も必死に通学していました。

そんな中、頭上に降ってきた懐中時計。それをイジって見ると、なんと、過去へと飛んでしまった! そこから度々時間を移動し、成績を上げて退学の危機から逃れ、毎日を楽しく過ごすことができるようになりました。

いつしか懐中時計が何故手元にあるのかを考えるのも忘れ、ただただ便利なそれを活用し、時間を何度も何度も時間移動を繰り返しました。そのため、バイトも勉学も順調に進み、田舎育ちであるが故に友達もできそうになりました。

その友達になりかけの同級生は、都会育ちで貴族の出、名はリナリナといいます。毎日のように図書室に来ては勉強し、成績はトップクラス。実力だって申し分ありません。教師からも人目も二目も置かれる存在。

アルテとしては本当に順風満帆でした。退学せずに卒業できれば、夢の魔法使い。そこから魔女になる可能性だってあります。リナリナという都会の子の友達ができれば、それはそれは嬉しいことだったでしょう。

しかし、リナリナがアルテに告げた一言は悲痛でした。

「懐中時計を返して」

どうやら頭上から降ってきた懐中時計は、元々はリナリナのものだったようなのです。

そこから始まる、これまで時間移動を繰り返してきたことにより発生した諸問題を解決していく時間旅行。こういったタイムリープ系作品にありがちな伏線回収による感動もあり、二人の友情物語もあり、締めに相応しい物語でした。

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