※ネタバレをしないように書いています。
魔法使いになりたい!
情報
作者:金田陽介
試し読み:黒猫と魔女の教室(2)
ざっくりあらすじ
念願だった魔法学校・王立ディアナ校への入学を果たし、憧れの魔法使い・クロードのガウンに所属することが決まったスピカ。成績の振るわない者は退学させられる厳しい学校で無事に進級できるのか?
感想などなど
生まれついた星座の特性に応じた魔法『しか』使えないという設定の世界。乙女座であるスピカは、植物操作系しか使えないということなのだが、彼女は再生魔法という特別な魔法が使えるらしい。
それにより黒猫と化したクロードを元に戻すことができるという訳だ。ただし、スピカが未熟すぎるが故、尻の穴にキスをすることで一時的にしか戻せないというもどかしい状況だ。
これにより毎日、朝になると黒猫の尻にキスをしているスピカ。なんとも酷い絵面だ。人に戻ったクロードがイケメンなのが、せめてもの救いか?
クロードが完全に人の姿に戻るには、スピカを超優秀な魔法使いにするしかない。超優秀といっても、具体的な目標が分からない。そこで提示されるのが、魔法使いのランク付けである等級という制度だ。
王宮が年に一度、この等級を決める試験を行っている。最初は四等級から始まり、次に三等級、二等級と進み、最終的には全体の0.05%としかいないという一等級の試験を受けることができる。
卒業までに一等級に上がる……これがスピカの目標であり、そのためにクロードは師事していくこととなる。しかしながら、学生の内に一等級まで上がることができた者は、歴代で一人しかいないというのだから、その目標の高さが伺える。
さて、その手始めに学年成績一位を目指すことになるのだが、これですら難しい。その程度では一等級なんて夢のまた夢なのだが、スピカの学園生活は前途多難である。
クロードだって楽ではない。二年前、邪教徒の襲撃を受けた際、生徒達を守ろうとせずに逃げ出した腰抜けと揶揄されている今、彼が教師として復帰することを良しとしている者は少ない。
そんな彼を教師として復帰させる代わりに、校長先生はとある条件を出した。
彼が受け持っているガウン(一般でいうところのクラス)の十二名の生徒には、曲者ばかりを集めた。そこから誰一人として退学者を出させず、無事に卒業させること。第一巻ではまだその難しさは分からなかったが、第二巻からクロードの前途多難さ、闇深さが垣間見えることとなる。
スピカの魔法の才能はない。
第一巻にて、ゴーレムを捕縛したスピカの技を見て、「もしやスピカに才能があるのでは?」と思った方は反省して欲しい。世界は広く、スピカの付け焼き刃的技術なんて誰でも使えるのだ。
特にクロードが率いているガウン(一般でいうところのクラス)のメンバーは、才能だけ見てもかなりずば抜けているように思える。
例えばスピカの幼馴染み・アリアは、クロード曰く『センスの塊』だ。水瓶座である彼女は、水を操り別の形に変えるというシンプルな魔法を駆使し、巨大な大砲や巨大な手といった発想を生かした技で好成績を収め続ける。
学校で学ぶのは魔法だけではない。一日中眠って授業なんて聞いていないのに、どんな問題にも瞬時に答えてしまうユゥ・アリーズ。授業に出ずとも、クロードを魔法で騙くらかしたカストル・ジェルミ。授業に捕縛した鹿を持参したり、備品を破壊し尽くすレオ・レグルス……などなどスピカなど足下にも及ばない者達ばかり。
それに食らいつこうと奮闘するスピカが可愛い。ラブコメというよりは、スピカの成長を見守る親のような気持ちで読むべき漫画なのかもしれない。
「寄宿学校のジュリエットよりエッチかもしれない」
そう思って寄宿学校のジュリエットを読み返したが、どっちもどっちだった。
しかしシチュエーションの特異さでいえば、本作に軍配が上がる。魔法により巨大になったイオのパンチラとか、巨尻に押しつぶされるという一部ファンに受けそうな一幕は、魔法があるからこそ。媚薬により頬を赤らめる女生徒達など、ファンタジー世界ならではといえるのではないだろうか。
ちなみに自分はスピカのメイド服が好き。