工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

なれる!SE15 疾風怒濤?社内競合 感想

【前:第十四巻】【第一巻】【次:第十六巻
作品リスト

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

負けたくないから

情報

作者:夏海公司

イラスト:Ixy

ざっくりあらすじ

総務部に「うちに来ないか?」と誘われた桜坂工兵。そのことで頭を悩ませるも、仕事仕事の連続に忙殺される日々を送る。そんな仕事の一つに、室見と藤島の上司二人が抱える業務とかち合ってしまうものがあり……

感想などなど

仕事を続けていると新たなことに挑戦しなければならないことが多々ある。理由はいくつか挙げられる。

代表的なものとしては昇進により管理職になったことによる業務体系が変わっていくことだろうか。これまで技術者としてバリバリ働いていたのに、いつの間にか人の上に立って指示を飛ばしていたというのは、長年業界にいる人にとっての必然ではなかろうか。

また別の例としては、部署移動により仕事がまるっと変わってしまうことも考えられる。エンジニアが小説家になる可能性もあるということは、この「なれる!SE」の作者が証明してくれている。例としては、あまりに極端であったが。

本作の桜坂工兵も部署移動による挑戦できるという選択肢が与えられた。なんと総務部の人からヘッドハンティングされたのだ。「ぜひとも来てくれないか?」と。

挑戦にはポジティブなものとネガティブなものがあろように感じる。借金で首が回らなくなった人が、なけなしの金を片手に向かう競馬場は例えとしてはネガティブすぎだろうか。かくいう我らの桜坂工兵はポジティブな挑戦をするだけの権利があら得られた。

元々、桜坂工兵は文系の人間である。第一巻、SEとは何ぞや? から始まったシリーズだったことが、今更ながら思い出された。つまりは本来あるべき鞘に戻るとも言い換えられるかもしれない。

きっと、彼は総務部に行っても上手くやっていける。誰もがそう思うことであろう。

ブログ主もヘッドハンディングされるものならされてみたい。しかし残念なことに人に自慢できるだけの技能というものを持ち合わせていない。現実とは非常なのだ。

 

さて、唐突ではあったものの桜坂工兵は選択を迫られる。このままSEとして働き続けるか、はたまた総務部で働くか。

ヘッドハンティングされるに至って経緯というのも、なかなかに豪華な理由である。どうやら近々スルガシステムは上場を検討しているらしい。弱小ベンチャーかと思いきや大躍進である。それに辺り、総務部のメンバーを色々と新しくしておきたいということで、白羽の矢がたったのが桜坂工兵であったというわけだ。

そしてその上場に関する情報はオフレコ。株式の変動に関する情報を勝手に公開することは法律に抵触するので、ガチの犯罪者になってしまう。ヘッドハンディングされたという事実は、誰にも相談できないということを意味する。

つまりは一人で考えて決めなければいけない。真剣に考えて考えて考えて……それでも仕事がやって来るので、考える暇もなく仕事に忙殺される日々を過ごしていく。

 

これまで室見立華とともに様々な依頼をこなしてきた。しかし、今回の仕事ではそんな頼れる上司である立華と争うことになる。

工兵が一人向かった業務を一言でいうなれば、提案である。とある企業から「うちの○○を××に売り込んで欲しい」という依頼に対して、売り込めるようなプレゼンを考えて行う。他にも細々としている法律関係があるのだが、とりあえずストーリーを理解するだけならば無視しても構わない。

そのとある企業が売り込む先と、スルガシステムがこれから売り込む先が合致してしまったことにより、工兵と立華の対決が幕を開けることとなった。

しかし、このままでは勝ち目などないことは明らか。センスはあるといっても、工兵には明らかに知識が不足していた。それを補うような形で、まさかまさかアルマダ・次郎丸が仲間に加わることになる。

分かっていたことではあるが、次郎丸は超絶有能である。工兵にはない業界の知識、エンジニアとしての知識というものが豊富にある。立華に負けずとも劣らずのワーカーホリックも兼ね備え(まぁ、工兵も負けていないが)、無駄を徹底的に排除した業務体制といのは、読んでいてほれぼれとするレベルだ。

こうして二人で作り上げられていく案件資料。「これは勝てる」読者ですらそう思った。

 

結論から言おう。

「立華が化け物すぎた」

これに尽きる。技術者としての力というものを、まざまざと見せつけられた。そして続きは第十六巻へ……ここで終わるんかい! 読ませろや続き! という勢いで第十六巻を読むことになったのはブログ主だけではないと信じている。

これから本シリーズを読み進める方へ……十五巻と十六巻は一緒に買おう。約束してくれ。これまでの敵が終結するというのはテンプレだが燃えるということを教えてもらえるから……。

【前:第十四巻】【第一巻】【次:第十六巻
作品リスト