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【アニメ】「ブギーポップは笑わない」第十五話【感想・解説】

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2019年冬アニメリスト

 

まず最初に

「歪曲王」による事件が徐々に盛り上がって参りました。何も分からなかった事件の全容が分かるようにな……ってないですね。まだまだ謎は多く、多くの人が考察を重ねている段階でしょう。

……と言っても自分の周りで誰一人としてこの作品を見ていないので語れないのは悲しいです。まぁ、原作未読だとほとんど意味が分からないと思うので、それも仕方ないかなと思うのですが。

ラノベにおいて、「笑わない」「VSイマジネーター」「歪曲王」の流れは完璧過ぎると思っているので、その面白さが伝わって貰えればと思います。

今回は二人の心の歪みに関する過去が明かされていきます。舞台があまり動かず、現在と過去が交互に挟まれる複雑な内容であるため、その点を理解しながらアニメを見ていきましょう。

用語・人物解説

橋坂 静香

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
  • 過去に寺月恭一郎と3回ほど肉体関係があった。丁度その頃、誰かとの子供を授かり、寺月恭一郎に迫る。
  • 結果として大金を得て、子供(=真)を産んだ。
  • 寺月恭一郎に「結婚しておけば良かった」と思わせたいがために頑張っていたらしい。
道元 咲子

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
  • 11歳の頃、親友を事故で失った。詳しくは後述。
  • その時の心の残りが彼女にとっての心の歪みだったのだろう。
  • 彼女がブギーポップを求めていた理由も今回判明する。彼女の心が理解できる人間は多いのではないだろうか。
羽原 健太郎

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
  • 頭脳明晰、イケメン、口も達者。
  • 霧間凪に一目惚れした男である。現在に至るまで告白はできていない。
  • 彼が活躍する個人的に好きな話はこちら(不可抗力のラビット・ラン)。是非読んで欲しい。

注目すべきポイント

橋坂静香の話

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

まずはシングルマザーである橋坂静香の話から始まっていく。赤い服の時点では過去の回想だということを理解し、ここで分かることを、アニメでは描かれていない情報も入れつつ、一つずつまとめていく。

  • 橋坂静香と寺月恭一郎には肉体関係があった。

寺月恭一郎は百人を超す女性と関係があったことが原作では言及されている。理由としては「政略結婚のため」だと言われていたが、真相は分からない。

  • 橋坂静香の両親との関係性は決して良くない。

母に嫌われていた、と彼女は語る。子育てしてから分かること、というものも多いのだろう。父親からは好かれていて、大切に扱われていたようだが、娘としては嫌だったようだ。

  • 寺月恭一郎にとって、このようなことは日常茶飯事。

百人を越える女性と肉体関係があったならば、裁判沙汰になるようなことになったとしても何も不思議ではない。おそらく「妊娠したから」と詰め寄った女性だったり、結婚を望む女性に脅された過去もあっただろう。

しかし、裁判沙汰になったことはこれまで一度もないらしい。その理由は、アニメで描かれた一連の会話を聞けば、察せられた人もいたのではないだろうか。

週刊誌に情報を売ると言う静香に対して「君の生命が危ない」と冷静に告げる寺月恭一郎……寺月恭一郎は統和機構によって作られた合成人間であるという情報……これらから、彼の妨げになるような人間は消されたのではないかと推測できる。

  • 自分が消されることを察していた寺月恭一郎。

寺月恭一郎が統和機構に疑われていたことは、「夜明けのブギーポップ」を見ていた人ならば分かって貰えるだろう。自分が合成人間によって捜査されていたことを分かっていたのではないだろうか。六年後と具体的な数字が出てきた理由が分からないが。

とにかく、彼の推測はおおよそ的中し殺されることとなる。ここで覚えておきたいのは、

「ただでは殺されない」

という彼の台詞だ。つまり彼は自分が死んだ後、『統和機構に対して妨害となるような ”何か” 』を残していたのではないか? という推測が立つ。果たして、その ”何か” とは何なのだろうか。

……さて、ここまでは過去の回想だ。ここからは現在の話に移る。

歪曲王と名乗る寺月恭一郎と言葉を交わす橋坂静香。彼女は「ただでは殺されない」という台詞を覚えていたため、この状況も寺月恭一郎が狙ったものではと考えた。その問いに対して、漠然とした答えしか返さない歪曲王。

道元咲子の話

ここで場面は変わり、道元咲子の歪みの話となっていく。この一連のシーンで分かることをまとめていこう。

  • 日奈子は既に死んでいる。

日奈子は既に死んでいることを、日奈子自身が語ってくれる。11歳の頃、家族全員が事故によって死ぬ痛ましい事件によって。

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

そんな彼女が成長した姿として歪曲王は産まれてきた。ここで理解して欲しいのは、明らかに記憶している姿のままで日奈子が現れていないということだ。

  • 日奈子が死ぬ前に、咲子は暴言を吐いた。

「……あんたみたいなガリガリは男の人に相手にされないで、そのまま死んじゃうのよ!」となかなか子供らしからぬ暴言を咲子は日奈子に吐いたらしい。

これこそが彼女にとっての歪みが現れた原因であり、彼女が再び日奈子に会いたいと思っていた理由であろう。

想像して欲しい。仲の良かった友人との死別の別れ、最後の思い出が暴言だとしよう。いつまでも、悪い意味で忘れられなくなるはずだ。

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会
  • 最低な自分をブギーポップに殺して欲しい。

日奈子に嫉妬し暴言を吐いたことを悔やみ続けてきた咲子。自分を醜い存在とまで表現した彼女は、死神と噂されるブギーポップに縋った。

しかし、ここでもう少し踏み込んで考えてみよう。ブギーポップは「一番美しい状態で殺してくれる」と噂されていたはずだ。彼女の言う動機とすれ違っているように思えないだろうか?

  • 歪曲王の目的

歪曲王は「その心の中から消し去りたいもの」を「黄金に変えなければいけない」と言った。はっきり言って意味不明だが、いずれ意味は分かって貰えるだろう。とにかく、このフレームは覚えておこう。まぁ、度々登場することになるだろうが。

羽原健太郎の話

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

さて、次は羽原健太郎の過去話である。他作品でも霧間凪の相棒として活躍してくれる彼と凪の出会いが描かれている。簡単に流れに沿ってまとめていこう。

  • 危ないバイトをする羽原健太郎。

大企業の下請けから情報を盗み出し売却するというバイトに勤しむ羽原健太郎は、ウイルスに感染し、機器を処分する羽目になる。アニメではハッキングツールを入手して利用していたことになっているが、原作では自らの手で一から十までやっている。

パソコンも携帯も故買屋で購入し、使い捨てを利用する徹底ぶりだ。おそらく凪との出会いがなければ、今後もその道で喰っていけたと思われる。

  • 警察によるガサ入れが行われる。

警察も決して無能ではない。原作では故買屋から出てきたところを警察に呼び止められている。あの近辺を警戒していたのだろう。

  • 霧間凪の掌で踊らされていた。

ここで霧間凪が行ったことを説明しよう。

凪は故買関係のネットワークを潰すために、ハッキングソフトに細工をして、逆ハッキングされた際に警察に全員捕まるように仕組んでいたのだ。

羽原健太郎は大したことはしていなかったために見逃したらしい。

……ふむ、流石は正義の味方。企業の情報を盗むような犯罪者も彼女にとっては許せないようだ。

そんな彼女に一目惚れした羽原健太郎。今後、彼女のために奮闘することとなるが、それはまた別の話だ。

羽原健太郎の推理

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

ここでは羽原健太郎の推理を簡単にまとめておきたい。

彼はこの世界を『自身の記憶を元に作られた世界』だと考えているようだ。無から有は生み出せないということなのだろうか。そんな彼の推理を否定するかのように早乙女正美が現れる。しかし、何処かですれ違ったことがある男だとすれば、彼の推測は否定されない。

さて、夢のような世界だとすると、本体はどこで何をしているのか、という問題にぶち当たる。最後に自身の記憶が残っているムーンテンプルに体は転がっていると推測するのは当然と言えば当然である。

ゾーラギの出現

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

ゾーラギという名の怪獣が出現する。かなりむちゃくちゃな造形だが、果たして誰の心の歪みなのだろうか。街を踏み荒らし、人を見つければ追いかけて来るゾーラギから逃げるようにムーンテンプルに向かう真と健太郎。

物理法則を無視した動きをする怪獣の動きから、この世界が常識では計り知れないことが分かって貰えただろう。そして、この怪獣に殺された人間はどうなるのだろうか?

ムーンテンプルに戻った羽原健太郎は自身を蹴り飛ばし、現実に復帰する。田中志郎と共に、意識を失った人々が転がっていた。

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(c)上遠野浩平/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/ブギーポップは笑わない製作委員会

最後に

かなり解説が難しい内容だった。皆さんの理解は深まっただろうか。

キャラの少なさと動きの少ない展開により、字数はいつもより2000字ほど少ない記事となってしまった。無理矢理埋めることも不可能ではないが、あまり余分な情報を与えすぎても混乱してしまうだろう。これだけ丁寧にアニメ化されていても、描き切れていない情報はあるのだな……というのが、ブログ主の感想だ。

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