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【漫画】ウマ娘シンデレラグレイ7 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

オグリキャップの物語

情報

作者:久住太陽

試し読み:ウマ娘 シンデレラグレイ 7

ざっくりあらすじ

ジャパンカップがついに決着。次のレースは長距離の有馬記念。オグリキャップも出走することに決めるが、ジャパンカップの一戦で自信を喪失しており……。

感想などなど

ジャパンカップの激闘を描いた第六巻。最終コーナーを曲がり、先頭集団にいるのはアメリカから来た刺客・オベイユアマスター、白い稲妻・タマモクロス、笠松から来た怪物・オグリキャップの三人。

オベイユアマスターがジャパンカップに望むために被った道化師の仮面、積み重ねた情報戦の全てが発揮された。タマモクロスはゾーンに至り、怪物は二人に食らいつく。そんな激闘のジャパンカップで一着に輝き、ライブのセンターを飾ったのはオベイユアマスターであった。

道化師の仮面を外し、タマモクロスに対する敬意を口にするオベイユアマスターの表情はあまりに美しい。道化師の爛漫とした笑みも好きだが、こっちの表情の方が好きかもしれない。

レース後のみんなの表情は、全てを出し切ったというように晴れやかだ。十二着だったゴールドシチーは最後まで美しいし、ニュージーランドから来たエラズリープライドは「ジャパンカップ制覇はニュージーランドの夢だ」「いつか必ずこの夢を叶える者が現れると」と次の世代への希望を語ってくれた。他の面々も思い思い、次のレースに向けての準備を開始した。

ただそんな中、どこか暗い表情の者もいた。

まずオグリキャップ。ジャパンカップ三着はかなりの好成績であり、怪物としての格は全く落ちていない。ファン達の多くも、次のレースでの活躍に期待していることだろう。

ただ彼女自身はレースを通して、タマモクロスやオベイユアマスターとの間に、歴然とした差があると感じていた。その差がなんなのか? どうすれば埋まるのかが分からない。

この何かが分からない限りは勝つことはできない。これは彼女にとって大きな自信の喪失である。不抜けた表情で、六平に「私は……勝てないと思う」とはっきりと言ってのけるくらいには落ち込んでいた。全力は出せているのに勝てないというのは、周囲が思うよりも絶望的なのだろう。

次いでタマモクロスの表情も暗い。暗いというよりは、どこか思い詰めたような表情とでもいうべきだろうか。天皇賞(秋)を制覇し、ジャパンカップで二着という華々しい戦績を上げていながら、何を思い詰めることがあるのか。

その理由はすぐに判明する。

「ウチはこの有馬記念を トゥインクルシリーズでのラストランにする」というタマモクロスの台詞で。

 

有馬記念がタマモクロスのラストラン。オグリキャップからしてみれば考えもしなかった事態であろう。これからもライバルとして競い合うことができる相手として、立ち塞がってくれることを期待していた。

それに現状、オグリキャップはタマモクロスが掴んだ何かが分かっていない。タマモクロスのライバルと周囲には言われているが、このままでは絶対にタマモクロスには勝てない。

この何か、六平はゾーンという極限の集中状態に入ることができるか否かというように説明した。読者からしてみれば眼光が迸り、ゾーンに入るタマモクロスを二度ほど見ている。

このゾーンにオグリキャップが入れるだろうか。

それは理屈でどうこう出来る問題ではない。本人達にも分からない感覚の話である。トレーナーができることといえば、ゾーンなど関係ないくらい強くすれば良い。有馬までは残り一ヶ月、情報の重要性を学んだベルノと共に、特訓の日々が始まった。

 

練習の一環として、中央のトレーナーになるために勉強を続けている北原や、笠松でオグリの友達だったノルンやマーチ達も参加。すっかりオグリファンとなった笠松メンバー達の姿に感動しつつ、中央の試験に受けて落ちた北原を叱咤しつつ、時間は刻一刻と過ぎていく。

オグリキャップは結局、走ることが好きなのだろう。

たとえ苦汁をなめさせられ、高い壁があることを知ったとしても、諦めずに走り続けるからこそオグリキャップはかっこいいのである。プリティ要素もありつつ、かっこいいオグリが見られる第七巻であった。

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