工大生のメモ帳

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ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(出版順で一巻の感想はこちら→ブギーポップは笑わない 感想 - 工大生のメモ帳

世界の敵になった。

情報

作者:上遠野浩平

イラスト:緒方剛志

ざっくりあらすじ

彼女の怒りは世界のありとあらゆる物を焼き尽くした。しかし、ただ一つ例外の少年がいた。

ブギーポップはそんな二人の前に容赦なく立ち塞がる。

感想などなど

さて、これまで ”世界の敵” とブギーポップの数多の戦いを見てきた。それぞれが何か目的を持っていて、ブギーポップと戦い散っていった。

目的は「世界を滅ぼしたい」という純粋な目的だったり、悪意も何もなくただ動くだけ、アイスを作っているだけ、だったりもした。

今回登場する ”世界の敵” は一体どのようにしてブギーポップに挑むのか。

 

では今回登場する ”世界の敵” をご紹介しよう。

杉乃浦春海。北陽学園(ブギーポップこと宮下藤花と同じ学園)に通うおとなしめな女子高生だ。彼女の能力は手も触れず、物体を発火させる能力だ。

これだけ聞くと世界を滅ぼすことはできないように思われる。しかし、彼女の能力の厄介なところは ”制御ができなかった” という点にある。彼女が最初に起こした事件は、無理矢理デートに誘われ、断ることもできず遊園地に連れて行かれ、唇を奪われた後、男を発火させてしまった。これにより統和機構にも、存在が知られ、もう逃げられない状況にまで追い込まれる訳だが、その辺りは読んで確認して貰おう。

彼女によって引き起こされた発火は唐突だった。明確な意識を持って、男を燃やしたという様子もない。

どうやら彼女が敵意を向けた対象が、自然と燃えてしまうようである。

ここで考えて貰いたい。もし彼女の敵意の対象が、全世界になってしまったとしたら……その時がきっと世界の終わりだ。

 

そんな彼女が唯一気にして、「この男だけには、この能力を知られたくない」「守りたい」と思えるような男がいた。

須磨貞夫。杉乃浦春海とは幼馴染みであり、学業優秀、株でお金を稼いでいるような男子高校生である。

そんな彼は、彼女に対して秘密を抱えていた。クレイム・クラブという会員制の怪しげなクラブに所属し、統和機構について調べていたのだ。

統和機構――ブギーポップシリーズを読んでいれば、幾度となく名前を聞くことになるこの機構の名前だ。まぁ、これまでを読んで下さった方ならば、機構はとてつもなく大きな機構であり、調べても誰一人としてその正体を知ることはできず、能力者に対してあ容赦もないということは知っているだろう。

そんな統和機構を調べるこの少年だって、統和機構にとって邪魔な存在であることは、火を見るよりも明らかだろう。

 

そんな二人が互いに真実を知り、ブギーポップと統和機構が二人の前に現れる。

物語は複雑に入り乱れ、多くの人の夢も希望もかっさらって、世界を滅ぼすことのできる世界の敵とブギーポップの戦いが勃発していくのだ。

さて、ここで少し考えたいのが「杉乃浦春海は本当に世界の敵なのか」という点である。

世界の敵の定義を「世界の敵を滅ぼすことのできる能力を持っている物や人」とすれば、彼女はまず間違いなく世界の敵だ。しかし、彼女は明確に世界を滅ぼしたいという意思がある訳ではない。事実、これまで高校生になるまで彼女は普通に生きて来れた。

……しかし、ここで第三者がいくら理屈をこね回そうと、世界の敵が現れたとき、自動的に出てくるのがブギーポップである。彼女に感情はない。ただ自身の明確な敵を殺すだけ。

そんなブギーポップに挑む杉乃浦春海と須磨貞夫。生きるため、逃げるための戦いが始まる。

世界の敵側の視点が中心的に描かれ、彼女たち世界の敵のために行動してきた周囲の存在が登場する。その彼ら・彼女らは世界を滅ぼそうという意思はない。ただ ”生きたい” という想いがあるだけだった。

”世界の敵” とは何かを改めて考えさせられる話でした。

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