工大生のメモ帳

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ブギーポップ・バウンディング ロスト・メビウス 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまで(出版順)のネタバレを含みます。

ブギーポップを殺したい

情報

作者:上遠野浩平

イラスト:緒方剛志

ざっくりあらすじ

ブギーポップに復讐するという執念を持った少年が、織機綺と共に、”牙の痕”へと踏み込んだ時、奇妙な迷子が始まる。

感想などなど

前回(ブギーポップ・スタッカート ジンクスショップへようこそ)のお話はかなり重要な話だったように思います。この世界の観測者のようなオキシジェンさんの意味深な発言や、次の観測者候補が見つかったらしい発言……観測者とは? そして、ブギーポップとは?

これらの設定が回収されるのは一体いつになるのでしょうか。完結すればまず間違いなく伝説になるとおもうのですが。まぁ、もうライトノベルというジャンルを作り上げた作品としては伝説ですかね。

 

では早速本作の感想を書いていきましょう。物語は今回もかなり複雑な構成が取られています。大まかな重要キャラクターは三人といったところでしょうか。

まず一人目が「ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター PART1」で登場した織機綺。統和機構によって作られた人工人間であり、上記イマジネーターではスプーキーEによって使われ、今は料理学校に通いつつ谷口正樹と幸せな日々を過ごしています。

しかし、彼女が元は統和機構の合成人間であるという過去は消せません。そんな彼女に近づいてくる奴がいました。

それが二人目蒼衣秋良です。彼も統和機構の人間であり、織機綺とは違い能力を持った合成人間です。まぁ、もっと正確に説明するとすれば、彼の母親の両親が借金に首が回らなくなった際に統和機構に母親を売り渡し、人工的に作られた受精卵によって作られた存在です。これまで合成人間の作り方なんて描かれたことがなかったので、この話はかなり衝撃でしたね。

そんな父親のいない蒼衣秋吉は「ブギーポップに復讐する」という目的のために、ブギーポップによって殺されたスプーキーEの事件(この事件の詳細はVSイマジネーターにて)の時に生き残った彼女に近づき、ブギーポップという噂の存在を調べようとしたわけです。

ちなみにこの彼がブギーポップに復讐をするきっかけを与えたのが「夜明けのブギーポップ」にて登場した来生真希子です。彼女は「夜明けのブギーポップ」にて描かれる、脳髄を取り出すという連続猟奇殺人の犯人であり、ブギーポップによって殺された存在ですね。

そんな二人はただの通り道として、統和機構すらも避けるという ”牙の痕” を通りかかります。そう、最初はただの通り道で、 ”牙の痕” を通ろうという気はさらさらなかったのです。

残念なことに二人は、時間の流れがおかしい不思議な空間へと放り出されることとなりました。ここまでが物語の導入……まぁ、ここに至るまでの過程もかなり長いですが。

 

そして重要人物 ”ブリック” 。最初に説明した二人は ”牙の痕” のある場所へバスに乗ることで通過しました。すると目の前に『自分たちが乗っているバスが錆び付き、壊れかけた状態』で現れます。

……こうして感想を書きながら自分も困惑して参りました。しかし、決して嘘は書いていません。ちゃんと伝わっていますでしょうか。もう一度書きます。

『自分たちが乗っているバス』が『風化した状態』で前に現れたのです。

しかし自分たちはバスに乗っている……? ふーむ、よく分かりません。そんなバスを慌てて避けようとハンドルを切り道を逸れ木々に激突。そして、爆発。流石は人造人間の蒼衣秋良、織機綺を抱えつつ外に脱出。肝心の『自分たちが乗っていた風化したバス』へ向かってみると、赤茶けた赤ん坊の姿。

彼が ”ブリック” 。

果たして彼の正体とは? 言葉を一切喋らない彼の手を引く織機綺と、生きてこの場所を逃げ出すべく知略を巡らす蒼衣秋良。この三人で、時間の進みがおかしい奇妙な世界を歩き回ります。

すると出てくるわ、出てくるわ。変な追いかけてくる竜巻に、爆発する過去に出会った死んだはずの面々。歪曲王に出てくる世界とは違った不気味な世界が広がっています。

さて、本作における世界の敵は一体誰なのでしょうか。また、これ以外に登場する人物も数多くいます。多すぎてもあれなので省きましたが、この世界における観測者 “オキシジェン” の話が出てきたり、リセットの姉・リミットが出てきたりと、これまでの作品と関係が深いキャラクターが多数登場。毎回、一応一冊で完結していて、どれから読んでも良いということになっていますが、この「ロスト・メビウス」だけは止めた方がいいかと思いました。

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