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キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦10 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます。

平和を願う気持ちは同じ

情報

作者:細音啓

イラスト:猫鍋蒼

ざっくりあらすじ

突然、イスカ達の前に現れた璃酒と天帝ユンメルンゲン。帝国の頂点にいる彼は、燐を連れ去り、帝都へ来るようにシスベルに告げる。その言葉に従って、イスカ達とシスベルは帝都へと向かうが……

感想などなど

帝国にて、ケルヴィナという科学者がヴィソワーズとイリ-ティアを作ったことまでは分かった。だがそれでも依然として謎は多い。

ケルヴィナが身をもって示してくれた星霊と適合したことにより、星霊と一体化していけばしていくほど人知を越えた存在になるという事実……その適合率があまりに高すぎるというイリ-ティアは今、一体何に変わろうというのか?

天帝ユンメルンゲンが獣人の姿になっていることも、謎としてはあげられるだろう。

ただ推測はできる。サリンジャーは、自らが辿り着けていない高みに歴史上で辿り付くことができるとされる人物は天帝と始祖、たった二人だと語っている。となると、高みに辿り付いた者はそういった人ならざる姿になるというのが必然なのだろうか。

そんな天帝が、どうしてシスベル達の前に現れたのか?

彼はシスベルに帝都に来るように告げ、ついでに燐を攫っていった。戦闘による疲弊もあったことだろう、獣人を見たことによる驚きもあったことだろう、あっさりと連れて行かれてしまった。

シスベルは燐を助けに行く覚悟を決め、最愛のイスカと腕も絡めつつ帝都へと向かうのであった……。

 

一方その頃、皇庁も何やら騒がしい。始祖を目覚めさせる計画と、ゾア家が当主になろうという計画と、シスベルが帝国に戻って来たらゾア家の陰謀を暴き、始祖の目覚めを泊めるという計画が、複雑に入り乱れ状況は緊迫する。

しかもアリスの側近である燐が天帝に連れて行かれたという報告を受け(シスベルが奪還されたことは嬉しいけれど)、シスベルはイスカといちゃいちゃしている写真を受け取り、気が気でない。

仮面卿もゾア家も慌ただしく動き、ある種最悪の事態が発生する。

始祖の目覚めである。

第一巻にてイスカとアリスで共闘し、やっとの思い出沈めた怨敵。燐をあっさりと倒し、一つの国をあっさりと滅ぼしかけた力は衝撃的であった。流石は過去に帝国を追い詰めただけのことはある。

彼女は目覚めてすぐに、帝国を滅ぼしに向かおうとした。

それはアリスとしては見過ごせない。始祖の動きを止めるために立ち塞がった。そんな彼女の胸中には、次会うときに胸を張って会いたいと思うたった一人の男イスカのことを考えていたりする。健気や。

アスカと始祖、かつては隣にいたイスカはいない。世界を命運を分ける戦いが幕を開けた。

 

さて、帝国でも戦闘が起きていた。ネタバレをしたくないため明言を避けるが、百年もの時を経てもなお、自身の目的を達するために暗躍する輩がイスカ達の前に立ち塞がった。

その理由は至って単純。シスベルを天帝の元に来させては不味い、からだ。シスベルの星霊は現場の再現――もしも百年前の出来事を再現されたら……一体何が分かるというのだろう。

その答えは全て、百年前が関わってくる。壮大な歴史の真相が、星霊という未知のエネルギーの正体が、明かされるためのピースの一つが嵌まっていくような戦闘が多い第十巻であった。

終わりが近い、戦争と歴史の終わりが。

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