※ネタバレをしないように書いています。
「呪い」を解く物語
情報
作者:荒木飛呂彦
出版:集英社
ざっくりあらすじ
謎の果実の鉢植えを持った男と常便がこっそりと会っていたことを知った康穂とつるぎ。男の正体を探るために調査を始めるが、スタンドによる攻撃を受けてしまい……。
感想などなど
常便が隠していたことというのは、病を治す力を持つ果実を持っている謎の男と会っているということであった。康穂のチート能力を用いた調査によると、名前は『大年寺山愛唱』といい、近くにある杜王スタジアム(八木山夜露の設計)の職員。毎日、同じ時間になると、実のなっている植木鉢を持ってとある交差点に立っているようだ。
そんな男を見張り、実を育てているであろう場所を突き止めようとする康穂とつるぎ。
しかし常便の息子であるつるぎの面は割れていると考えた方が自然であろう。そこで康穂のスタンド『ペイズリー・パーク』が取り憑いた携帯を、つるぎの『ペーパー・ムーン・キング』で折紙のように折って貰い、愛唱の追跡をさせることに。つるぎの折った折紙は思い通りに動かすことができ、『ペイズリー・パーク』が見ている光景を映像としてパソコンに写して見るという合わせ技である。
そこで、実が持っている力を目の当たりにすることとなる。
ついさっきまで車椅子に乗っていた老人が、実を食べるとなかったはずの右脚が生え始めた。比喩表現とかではなくマジに。そして歩き始め、妻が待っている車に乗り込み喜びの涙を流す。
しかし、代わりに両目が石となってこぼれ落ちて……。
老人は失っていた左脚を取り戻す代わりに両目を支払った。
これが、このどんな病も治すという実の力の正体――等価交換。ふと、息子の病を治すために死んでいった、ジョニー・ジョースターの最期を思い出してしまう。結局のところ何も犠牲なくして、欲しいものを得ることなどできないのだ。
状況を見る限り、愛唱は老人にそんな実を売りつけたようだ――つまり、男は実の売人。となると、常便も男から実を買おうとして近づいたのだろうか。しかし、実の値段は破格であるし、定助が夜露に殺されかけた件もある。慎重に調査しようとした矢先、二人の追跡が男に見つかってしまう。二コマ漫画かな?
実を栽培しているであろう場所まで追跡したいことを考えると、こちらの正体がバレないまま逃げ出したい。幸いなことに、二人の能力は逃げることに適している。『ペイズリー・パーク』は最善な道を教えてくれるし、『ペーパー・キング・ムーン』は錯乱させることにこれ以上ないほどに適している。
だがそれ以上に、愛唱のスタンド『ドゥービィー・ワゥ!』が追跡に適していた。
自動的に追跡するタイプのスタンドであり、どこからともなく二人の前に竜巻が現れ、二人の身体を傷つけていく。スピードや精度自体はあまり大したことがないが、特筆すべきはその射程距離。バスに乗り込み、どんなに遠くに離れようとしても追尾してくるスタンドの攻撃は絶望感がある。
こうなってしまうと直接スタンドの持ち主である愛唱を叩かなければいけない。だが二人とも攻撃力には乏しいスタンドであり、岩人間にはおそらくキズ一つ付けることができない。
そんな状況を機転と勇気で乗り越えていくのはジョジョの醍醐味である。いいバトルであった。