※ネタバレをしないように書いています。
「呪い」を解く物語
情報
作者:荒木飛呂彦
出版:集英社
ざっくりあらすじ
東方家に代々伝わる病を治す果実について、何かを知っている常敏。その情報を探るために、彼が得意としているクワガタ対決を挑み、追い込んでいくことに。
感想などなど
最初に言わせて欲しい。最高のスタンドバトルだった。
これまでのスタンドバトルも面白かったことは言うまでもない。だが、個人的には定助と常敏が互いの腹の内を探り合いながら戦う本バトルが一番だと思う。詳しく見ていこう。
状況としては病を治すことができる果実の情報を、常敏が握っているということを知った定助が、常敏から情報を引き出そうとしている。そのために彼の息子であるつるぎに協力を仰いだ。
だが息子である彼も、父のスタンドは知らなかった。憲助が「スタンドを見せることは尻の穴を見せるようなもの」というように表現していたが、これはかなり適格な表現だったようだ。また、父の明確な弱点と呼べるようなものも知らないらしい。代わりに彼が甲虫を愛し、クワガタバトルを得意としていることを教えてくれた。
だからこそ、弱点を突くならば彼が得意だと思っているクワガタバトルでしかないと教えてくれた。ちょうどいいことに、お土産でパラワンオオヒラタという強そうなクワガタを貰っているし、常敏は定助がスタンドを持っているということを知らない。
そこで定助はクワガタバトルで賭け事を開始するように自然な流れ(?)で誘導。まず最初は負けた方が眉を剃るという、まぁ、比較的楽といえる賭けから始まる。クワガタのことを知り尽くしている常敏。バトルに勝つための手段も、『クワガタの刃を日ごろから磨いている』『日ごろから勝たせて勝ち癖をつけている』等、順当な手段で価値をもぎ取ろうとしてくる。
それに相対するは定助のスタンド「ソフト&ウィット」。シャボン玉を用いた策略で、無理やりにでも勝ちをもぎ取る。負けた常敏は眉を剃り、二回戦を挑んでいく。
この二回戦から本当のスタンドバトルが始まっていく。
ただ常敏は、定助がスタンドを使えるということを知らない。定助はスタンドを使っている常敏を負かし隙を作る。それがこの一連の闘いが目指すべき場所であった。理想としてはそんな定助の裏の策略がバレないこと。
クワガタバトルの結末は読んで確認して欲しいとして、その裏ではつるぎと康穂が行動を開始していた。つるぎとしては「父が情報を隠している理由を知るため」、康穂としては「定助を助けるため」という目的のために。
常敏が果実とどこかで手にしたとすると、その場所は海外から戻って来てからの日本国内だと考えるのが自然だ。無論、海外であるという可能性も捨てきれないが。そのため、日本に戻って来てからの常敏の移動場所を調べるために、車のナビの履歴を調べればいいという結論が出る。
その際に大活躍するのが、康穂のスタンド『ペイズリー・パーク』。人や物を最善な方向に導く能力を持ち、さらにネットの地図や電光掲示板に干渉することまでできるようだ。これまでは無意識化で動いていたため分からなかったが、こうしてみるとチート能力である。
定助、つるぎ、康穂は常敏の隠しているフルーツの情報にたどり着くことができるのだろうか? そしてその場所とは?