※ネタバレをしないように書いています。
「呪い」を解く物語
情報
作者:荒木飛呂彦
出版:集英社
ざっくりあらすじ
ホリーの症状が悪化していることを知った定助は、ロカカカの実の入手を急ぐ。そのため震災の影響で場所が分からなくなった接ぎ木して育てたロカカカの枝を捜すことに。
感想などなど
定助はこれまで自身の正体を知るために戦って来た。これまで良く分からない岩人間に襲われ勝ってきたが、そのどれも「本当に正体に近づいているのか?」という不安が拭いきれなかったが、田最環との戦いはその不安に終止符を打ったと言っていいだろう。
それにより定助の目的がはっきりとした。
かつては吉良の母親・ホリーのことを救ために、ロカカカの枝を盗み接ぎ木していた。命を賭けた吉良と仗世文の思いを受け継いで、今度は定助が達成しなければいけない。
ということで震災により場所が分からなくなった接ぎ木したロカカカの枝を捜し始める……が、これまで岩人間が探し続けて見つけられなかった枝である。定助がすぐさま見つけられるとは思えない。
そんな定助に「常敏が岩人間と繋がっていたかもしれない」という話を聞いた憲助は、枝を探すための助っ人として、企業秘密とまでされる程に優秀な腕を持ち、信用のおける『植物鑑定人』を紹介してくれることとなった。
「決して常敏に感づかれるなよ」
「確かにあの枝は定助……お前のものだ」
「等価交換には……正しい道が必要だ」
最初は黒幕とか疑ってすいませんでした憲助さん。あんたは人格者だわ。
とはいっても常敏にすぐに感づかれてしまった。しかし、常敏が定助とやり合うのは分が悪い。彼はドミロテ(泥駒政次)というロカカカ販売には関わってこなかった岩人間に、人と人を等価交換させてしまう新しいロカカカの実を餌にして協力を取り付けた。
このドミロテの能力があまりにヤバい。絵面的にはゾンビホラーである。
スタンド名は「ブルー・ハワイ」、能力は「その体液に触れた者は、何があろうとも対象に向かって直線で突っ込んでいく」というもの。この『何があろうとも』というのがポイントだ。
始まりはドミロテの歯を渡されて、定助に渡しに来た少年から始まった。壁にぶつかろうとも、走る車にぶつかろうとも、血みどろになった少年は定助に向かって突っ込んできた。その血に触れた婆さんが、次は定助に向かって突っ込んでくる。壁を乗り越え、顔の皮膚が剥がれようとも突っ込んできた。その後も、次々に体液に触れた者達を操って、轢かれようがどうしようが追っかけてくる。
その様子はさながら痛みを感じず、猪突猛進のゾンビを想像させる。狙いは定助一人であるはずなのに、被害は街全体にまで広がっていく。きっとどこまで逃げても意味がないだろう。
定助としては本体を叩きたいが、如何せん敵の正体も場所も分からない。そこで久々の登場である康穂ちゃん。彼女の活躍が楽しみである。
やはり目的がはっきりしてからが面白い。ここからがジョジョリオンの始まりではないだろうか。