※ネタバレをしないように書いています。
「呪い」を解く物語
情報
作者:荒木飛呂彦
出版:集英社
ざっくりあらすじ
不審な行動を取るつるぎを問いただそうとする定助。東方家の面々は危なくて近づこうとしない壁の目がある塀の向こうに向かうも、そんな彼の前に現れたのは一家の主である憲助だった。
感想などなど
康穂と定助を近づけないために能力を行使したつるぎ。結果として彼の思惑通り、定助と康穂は出会うこともできずにすれ違う。最後は地下室にて、八木山夜露という謎の男に殺されかけた康穂……かなり急展開であった。
さて、何とかして康穂とコンタクトを取りたい定助は、家の塀の外で見かけたつるぎを問いただそうと考える。妨害してきた者を辿っていけばいいというのは、当たり前の発想と言えるだろう。
そんな彼の前に立ちふさがったのは予想外にも、東方家の主・憲助であった。まぁ、孫を守ろうとすると考えれば主の鑑とも呼ぶべきかもしれない。
しかし、さらに予想外な展開として、黒幕ですみたいな顔していたのに良い人ムーブを見せつけてくる。吉影の妹・虹村京が東方家を探っていた件も含め、彼を黒幕だとと思っていた人多いのではないのだろうか?
その予想は残念だが外れである。いや、まぁ、この第七巻で描かれる行動の全てが演技です、とか言われてしまえば困りものだが。憲助が語る「定助の敵ではない」理屈というのは筋が通っている。
まず彼は壁の目の不思議な力『二つを融合させる』の存在を知っていた。それでいて吉良吉影が死に、誰か別の男と融合されたことで定助が生まれたという流れも把握しているらしかった。
それでありながら定助を招き入れた理由……それは吉良吉影が、東方家の長男が代々、十歳になると石のようになって死ぬ病気を治す方法を知っていたため、半分が吉良である定助が治す方法を知っているかもしれないという期待があったためだというのだ。
それはまた、東方家が吉良を殺すはずがないということにも繋がる。喉から手が出るほど欲しいであろう呪いを解く方法を知っている者を、わざわざ殺すだろうか?
とにかく、定助は憲助のことは信用できると判断した。だが、だからといってつるぎのことを見過ごせるはずもない。
とりあえず誤解が解けて一緒につるぎの元へ向かう定助と憲助。しかし、そんな二人の前に姿の見えないスタンド使いが現れた。どうやらその何者かに触れられると、身体の中心に向かって物体がとことん集合してくるようになるらしい。
例えば。
一番最初に触れられた定助は、気づいたときには周囲を植木鉢に取り囲まれていた。スタンド攻撃を受けていると知った時にはもう遅い。身体に張り付いて離れない植木鉢の破片が、肌に食い込み心臓に到達しようとしてくる。スタンドの射程外に逃げ出そうにも植木鉢の重さで動きが鈍る。
それから何とか逃げ出したとしても、敵の姿が見えないというのが厄介すぎる。いつの間にか接近され触れられてしまう。植木鉢の次は見るからに痛い栗が転がってきて、棘が肌に目に食い込んでくる画の痛さったらない。
本来、一人が持つスタントは一つ。それに伴い能力だって一つだ。それなのに姿を見つけることができないこの敵はなんだ? 追い詰められつつ、何とか現状を打開する策を考える二人。
その際に活躍するのが憲助のスタンド『キング・ナッシング』。能力は匂いを視覚で見えるようにして追跡できるというもの。それにより暴き出される敵の姿は、全く持って予想外の姿であった。
果たして、こいつを殺す方法があるのだろうか……?