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【漫画】チェンソーマン10 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

悪魔を宿して悪魔を狩る

情報

作者:藤本タツキ

試し読み:チェンソーマン 10

ざっくりあらすじ

アキを殺してしまったデンジはマキマに助けを求めた。しかし、それは本当の地獄の始まりだった――マキマの真の思惑が明かされ、チェンソーマンとの戦いが始まる。

感想などなど

悪魔に恐れられる悪魔がいたそうな。何を隠そう、デンジの心臓になっている『チェンソーの悪魔』である。だが人に恐れられれば恐れられる程に強くなる悪魔が恐れるというからには、それなりの理由があるはずだ。

天使が語った地獄で聞いたチェンソーが吹かされる音……サメの悪魔がチェンソーを信仰していたこと……世界各国がデンジの心臓を狙った目的……それらが全て繋がっていくことで、『チェンソーの悪魔』が恐れられている理由が明かされていく。

さて、それはさておき。

読者はマキマさんにどんな印象を抱くだろうか。ネズミといった小動物を使役して、情報を収集する力や、死刑囚を生贄にして名前が分かる相手を殺すことができる力を有しており、銃で撃ち殺されても次のシーンでは平然と立ち上がっていたりする。それもこれも支配の悪魔の力で、何かを支配した上での能力であるということを読者は知っている。

だがデンジはそのことを知らない。

だからこそ、アキを殺してしまったデンジが癒やしを求めた相手は、パワーではなくマキマであった。夜の街にて打ちひしがれて公園のベンチでごろ寝していたデンジを、「ウチにおいで」と誘ってくるマキマさん。読者としては勘弁して欲しいが、デンジとしては断る理由もない。

マキマさんの家には何匹も飼われた犬がお出迎え。ふかふかの犬と戯れて笑顔になるマキマさんは天使である。犬好きには悪い奴はいなんだ……と信じたくなる。

だが、そんな幸せなシーンをぶち壊すのは簡単であった。

「私がパワーちゃんを殺すから」

有言実行。マキマさんはわざわざ自分で呼んだパワー――デンジの誕生日ケーキを持っている――をデンジの目の前で殺した。もう生き残っている者達を数える方が容易い。

希望の見えない絶望な戦いが始まりである。

 

改めて、 チェンソーマンにマキマが固執する理由はなにか?

「私は彼のファンです」

「私はチェンソーマンを使って よりよい世界を作りたいのです」

とマキマは理由を語った。それを聞いていたマキマを殺しに来た岸部は困惑させられることとなる。それもそうだろう、地獄の悪魔まで引きずり出して、多くの犠牲を出しつつマキマ討伐に臨んだにも関わらず、聞かされる話がそんな話なのだから。

だが、彼女の話には妙な説得力があった。チェンソーマンに執着するこれまでの言動、チェンソーマンに助けを求めた彼女の表情と、それに応えるべくただ力を振るうチェンソーマンの構図が恐ろしい。

マキマが語るチェンソーマンの力。

彼が喰った悪魔は名前を失う……というもの。これまでチェンソーマンは『核兵器』『ナチス』『エイズ』といった恐怖の対象を喰らい、そして消し去っていった。ナチスという言葉を聞いて、「そんな言葉聞いたことがない」といった風に疑問符を浮かべる岸部隊長の表情が印象に残る。

その力は恐れられ、しかし信仰の対象となるにふさわしい力なのではないだろうか?

そしてそんなチェンソーマンを使って、この世界から恐怖の対象を消し去っていくことで平和を実現したいマキマとの地獄のような戦闘が幕を開けていく。これまでの過去の全てが絡んでくる戦闘は見所に溢れ、グランドフィナーレにはふさわしい戦いであろう。

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