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【漫画】チェンソーマン11 感想

【前:第十巻】【第一巻】【次:な し】
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※ネタバレをしないように書いています。

悪魔を宿して悪魔を狩る

情報

作者:藤本タツキ

試し読み:チェンソーマン 11

ざっくりあらすじ

マキマに大切なものを奪い尽くされ、追い詰められていくデンジ。そんな彼の耳元に届くのは、これまで助けてきた人々が『チェンソーマン』を呼ぶ声……デンジとマキマは戦いの果てに何を得るのか

感想などなど

第一巻から第十巻までの長い長い時間をかけて、マキマはデンジに普通の生活を与え、そして奪った。目的は世界から恐怖されるものを消滅させるため。支配の悪魔の力により、これまでデンジが倒してきた悪魔達の力が集結して襲ってくる。

それを薙ぎ倒していくチェンソーの力は圧巻だが、それでも後一歩届かない。殺しても殺しても、日本国民の誰かの命が肩代わりするという実質の不死身なマキマから逃げる。

そんなデンジの力を奪ったのは、意外にもこれまで助けてきた多くの人間達だった。

悪魔の強さはどれほど恐れられているかで決まる。最早、恐れられることなくヒーローとして祭り上げられるチェンソーの悪魔の力は衰えつつあった。救えば救う程、多くの人に愛されれば愛されるほど弱くなるヒーローがいるだろうか。

何という皮肉だろう。ヒーローを想い愛すことが、そのヒーローを弱体化させようとは。

そんなデンジを助けたのは、予想外にも、もう死んだはずのパワーであった。

 

パワーは血の悪魔。デンジがパワーの血を吸ったことで、デンジの中で生きていたようだ。そんな彼女にチェンソーの悪魔であるポチタは、「私を食べて悪魔として復活するんだ」「……デンジを助けてくれるか?」と話しかける(悪魔が自身より強い悪魔の肉を喰うと力が強くなるようだ)。

それに対して「当たり前じゃ」と元気よく応えるパワーを見ていると、何だか懐かしい気持ちになれる。彼女のその無茶苦茶な破天荒さで、どうかデンジを救ってくれ……というように思わず力む。

そして幕開ける血の悪魔・パワーとマキマとの戦闘。これまでギャグキャラというか抜けているというか、そういった描写ばかり目立っていたが、血の悪魔の持っている力事態は滅茶苦茶強い。血液が武器となり、敵をばっさばっさと切り裂き、ガッツガッツと潰していく。

だがまぁ、マキマには届かない。何度も書くが、彼女は実質不死身だ。能力も複数を同時に仕える。第一巻にてデンジを殺したゾンビの悪魔、摂取した寿命に応じた武具を召喚する天使の悪魔、世界の抑止力の銃の悪魔に至るまでの力のフルコースがパワーを襲う。

気の変わりようの激しさが売りのパワー。最初は調子づいて戦うも、勝てないと分かるや否やデンジを差し……

出さない。

「勝てない」「勝てるわけない」と言いながらも、足を止めないパワーの涙と血は止まらない。内臓まき散らしているが、最高に燃えるシーンだと言えよう。だが、そんな熱量は、ここからさらに上がっていく。

 

この戦いは他でもないデンジにしか止められない。デンジかマキマ、どちらかの敗北……つまり死でしか決着が付けられない。そのためにデンジは考える。これまで以上にマキマさんのことを考え、これまでのアキやパワーとの生活を振り返る。

この漫画を締めくくる戦いは、デンジが第一巻から積み重ねてきた想いや経験が、あったからこそ成り立った集大成の物語だ。「もしもアキと出会っていなければ」「もしもパワーと出会っていなければ」そんな奇蹟の積み重ねで、決着はついた。

そんな積み重ねはこれから先も続いていくのだろう。第二部が楽しみである。

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