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【漫画】チェンソーマン12 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

悪魔を宿して悪魔を狩る

情報

作者:藤本タツキ

試し読み:チェンソーマン 12

ざっくりあらすじ

高校生活になじめず、友達もいない三鷹アサは、正義の悪魔と遭遇して死んでしまう。その時、とある悪魔と契約することで生きながらえるが、チェンソーの悪魔を殺すために奮闘することになってしまう。

感想などなど

悪魔は死んでも天国にはいかない。

ここまでのチェンソーマンを読んだ人ならば知っていると思う。だからこそデンジに生姜焼きにされて食べられたマキマさんは少女になって復活(記憶は残っていないだろうから、この言い方で正しいのか分からないが)、いつかはパワーもこっちの世界に戻ってきてくれる。

そんな中、鶏の悪魔を飼育し、三ヶ月後に食べるという授業が行われた。「皆に命の大切さを知って欲しいんだ!」と語る教師。悪魔とはいえ誰にも恐れられていない鶏の悪魔は雑魚である。教室で飼育する分には危険はないようだ。

コケピーと名付けられたその鶏を、誰もが興味津々といった様子で触れるなどして可愛がる中、ただ一人だけ嫌悪している者がいた。それが第二部からの主人公となる三鷹アサである。

周囲の全てを敵視して、友達を作ろうとしない彼女は「チェンソーマンもコケピーも早く死なないかな……」と愚痴を零している。彼女のそのひねくれ具合は少年漫画からかけ離れているように思うが、そもそもチェンソーマン一部の主人公・デンジは父親殺しだったことが思い出される(ジャンププラスに移籍になったし)。

そんなアサが主人公としての力を得るのは、かつてのデンジと同じように、悪魔に殺されてからであった。正義の悪魔に頭を潰されたアサの死体から、眼球が転がり落ちている。綺麗な顔はその原形がなくなって、十字の切れ込みが入っている。

そんな彼女はとある悪魔と契約した。

支配の悪魔と並び立つ『戦争の悪魔』である。

 

アサは『戦争の悪魔』と契約し、チェンソーマンを殺すために動き出すこととなる。戦争の悪魔の目的は、チェンソーマンに核兵器を吐き出させること。チェンソーマンに喰われた悪魔はこの世界から消滅するという設定だったが、吐き出させれば元に戻せるということらしい。

その目的を達成させるためには、まずはチェンソーマンを見つける必要がある。デンジは上手いことチェンソーマンという正体を隠して潜伏できているようだ。バカに見えて抜け目のない奴め。

そんなチェンソーマンの情報を追うために、アサとヨル(戦争の悪魔と呼ぶのは面倒なのでアサが付けた名前)は、学校にあったデビルハンター部へと加入することにした。そこではユウコという友達も出来たり、もしかしたらこのまま普通の学園生活を送れるかもしれない……! という淡い期待が出てきたりする。

ただこの世界は甘くない。

最悪な展開は起こるし、死なないと思ったキャラは普通に死ぬ。街を歩けば悪魔に殺される。作中にて、「悪魔との戦争」という言葉が出てくる。人類は悪魔と殺し殺されの関係性であり、安全とは程遠い社会が構築されている。

第十二巻の最後はアサとヨルに命を狙われているデンジ側の視点になるのだが、懐かしさもある反面、アサといつエンカウントしてもおかしくない距離感であるということを認識させられ、最悪な展開というものを想像してしまう。

サイコーな未来が待っていることを願うばかりの第十二巻であった。

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