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【漫画】嘘喰い20 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

至高の騙し合い

情報

作者:迫捻雄

試し読み:嘘喰い 20

ざっくりあらすじ

500億円と搦め手の権利を賭けたタワーでの死闘が始まる。相手の手の内にある球の数を当てるというシンプルなゲームだが――。

感想などなど

いよいよ始まるゲーム「ドティの部屋」は、とてもシンプルなルールだ。

斑目貘と捨隈悟は、それぞれ幾つかの玉を持っている。その合計数が口座のパスワードとなっているため、数が分かった者はタワーの最上階へと行き数を入力することで、中に入っている500億円をゲットすることができる。そうして大金をゲットした者が勝者だ。

その数を当てるためには暴力行為は禁止だ(ただし1階以外の場所では暴力行為可)。ただ勘で当てるというのも芸がない。そこで数を当てるために用意されたのが、「ドティの部屋」だ。

部屋に入るには500mlの血液を抜かれ、部屋の中央で向かい合う。そこではまず先攻と後攻を決め、先攻になった方から『2人の玉の合計数』を10分以内に宣言する。その合計数が正しかった場合、部屋を出ることができる。正しくなかった場合には、宣言する権利が後攻へと移る。これを交互に繰り返していく。

この部屋の中で、相手に先に合計数を当てられてしまった――つまり敗者は、相手の血500mlが身体に全て入りきるまで外に出ることは許されない。待っているのは、紛れもない死だ。

ただ途中でドティの部屋を出ることもできる。その場合は玉の合計数を当てるヒントは得られないということになり、また入ろうという場合には更に血を抜かれることになる。

どちらにせよ、ドティの部屋に何度も入ることはすべきではないだろう。

このゲームのポイントは、「ドティの部屋内でのせめぎ合い」と「どんな手を使ってもパスワードを当てることができれば良い」というルールだろうか。極論言ってしまえば、勘で適当に数字を入れて当てることができるならばそれで良い。ただ総当たりは出来ないように、パスワードを入力できる回数は3回までと決まっているが。

 

「ドティの部屋内でのせめぎ合い」については、表にまとめた方が分かりやすい。手元に紙とペンを用意して欲しい。

まずルールとして斑目貘と捨隈悟はそれぞれ、1から10いずれかの個数の玉を持っている。つまり2人の玉の合計数の最小値は2、最大値は20だ。ドティの部屋では、この合計数を互いに宣言し合い、正解するまで繰り返す。

また細かなルールとして、「絶対にあり得ない合計数を宣言したら負け」というものがある。たとえば貘が玉を10個持っているのに、「合計数は1」というように宣言した場合は貘の負けとなる。

このルールを逆手に取れば、貘が「合計数は2」と宣言して負けとならない場合、悟視点では貘の持っている玉の数は1で確定される。なぜなら貘が玉を2個以上持っている場合、「合計数2」となることはあり得ないために負けとなるはずだからだ。

ここまで露骨なことはないだろうが、互いに数を宣言しあう過程で、うっかり数を確定させてしまう宣言をしてしまう可能性もある。焦らず冷静に、自分が宣言する数を選定し、相手の宣言した数を記憶して計算する必要がある。

まぁ、貘も悟もそのような簡単なミスをするような雑魚ではない。はてさて、どのように勝負が決まるのか……。

 

このタワーでの死闘が繰り広げられているのは、何も貘と悟の間だけではない。タワーの階下では、電波をジャックしたテロ集団を逮捕しようと動き出したSATと賭郎の衝突が勃発し、現お屋形様と警察庁トップは何やら会談をしている。夜行立会人は零號を得るための戦いに向かおうとしていた。

このゲームは様々な視点が交錯し、場所も入れ替わり立ち替わりしながら描かれていく。暴力の強い者が勝つ単純な世界で、最後まで立っている者は誰なのか。気になるところであるが、まだまだ戦いは序盤といったところで次巻へと続いていく。

迫力ある暴力のぶつかり合いと、非常に頭を駆使する頭脳戦が繰り広げられる第二十巻であった。

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