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【漫画】嘘喰い23 感想

【前:第二十二巻】【第一巻】【次:第二十四巻】
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※ネタバレをしないように書いています。

至高の騙し合い

情報

作者:迫捻雄

試し読み:嘘喰い 23

ざっくりあらすじ

タワー上部では鞍馬組とカラカル、タワー下部では密葬課と立会人の戦いが激化していた。最後に立っているのは誰か?

感想などなど

「嘘喰い」という漫画は、ゲームを通した頭脳戦を描いた漫画ではあるのだが、暴力のぶつかり合う格闘的要素も兼ね備えている。この第二十三巻まで追っかけている者ならば、そんなことは百も承知であろう。

この第二十三巻は、獏と捨隈の勝負よりも『鞍馬組とカラカル』『密葬課と立会人』の暴力のぶつかり合いに焦点が当てられて描かれていく。タワーというゲームが進んでいるのか分からなくなるが、ちゃんと進んでいるので安心して欲しい。

とくに『鞍馬組とカラカル』の戦いは注目すべき内容だ。

鞍馬組の組長・鞍馬蘭子は、タワー上層で出会った見るからに怪しいカラカル陣営の男・マーティンと戦っていた。蘭子はナイスプロポーションの女性だからといって舐めてはいけない。その凶暴さ、土壇場での冷静さは恐ろしいものがある。

暴力のぶつかり合いというように書いてはいるが、蘭子とマーティンの戦いは環境を利用した知能戦的な側面もあった。スプリンクラーで水を降らせ、破壊したAEDで相手を感電させるレベルの電撃をお見舞いしようという戦いとなり、暗闇の中、「どちらがAEDに辿り着けるか?」「どのうようにして水のある場所に立たせるか?」という勝負は見所がある。

一方、カラカル VS レオ&雹吾 は純粋な拳のぶつかり合い、そして誰が最初にナイフを手にし、相手に致命傷を与えるかの勝負になっていた。数的有利は鞍馬組であるが、カラカルの純粋な暴力を前にして、数的有利が生かせないという絶望的な状況にある。

しかもここに鞍馬蘭子とマーティンの戦いも少なからず関わってくる。AEDの電撃はカラカル達も襲っていたのだ。電撃を食らって即死ではないにせよ身体は一時的に動けなくなる。一時的にでも動きを止められてしまえば、それが致命傷となるのが暴力の戦いとなる。

誰が勝つのか分からない勝負が繰り広げられ、二転三転する展開は飽きが来ない。

 

一方その頃、タワーに突入したい警察と立会人達の勝負は、密葬課と立会人の戦争というような形に変貌を遂げていた。密葬課といえば、『ラビリンスゲーム』で戦った箕輪の印象が強い。

箕輪は筋肉の密度が異常という設定があり、その強さは化け物染みていた。マルコとやり合い、一応マルコの勝利ということになると思うのだが、それでも一切格落ちしなかった暴力は記憶に残っている方も多いのではないだろうか。

そんな箕輪よりもキャラが濃く、しかも強い密葬課の人間が現れる。

一人は真鍋匠。孵化直前の鳥の卵を食べるシーンは強烈である。卵を食べているようには見えないバリッ、ボリッという音が不穏さをかき立てる。賭郎をバッファローの群れに例えている辺り、妙な教養も感じられる。

もう一人は三鷹花。可愛らしい名前とは裏腹に滅茶苦茶強い婆さんである。漫画での背格好を見るに、それほど身長はなく、どちらかといえば小柄だ。その小さな体躯と、俊敏な動きから繰り出される一撃は強烈である。

そんな二人を迎え撃つ立会人は、夜行さんと切間さん。立会人が勝てば、密葬課の二人が立会人となる。一方、密葬課が勝てば警察がタワーに突入するという勝負。場所は狭い車の中で、四人が座席に座ったところから始まるというのも、読者としてはワクワクする。

狭い車内で飛び交う拳に蹴り。座った状態とは思えない激闘が描かれていく。

 

ここまでゲームの進展ゼロじゃないかい!

ごもっともなご指摘である。連載当時はあまりにも遅い展開に読まなくなった読者もいたのではないだろうか。単行本になって一気読みでもしない限り、理解が絶対にできないような内容になっている。

ただでさえこの第二十三巻において、獏と捨隈はちょっとしか出てこない。ただカラカルと鞍馬組がゲームで何を目的にしているかが明確に描かれ、番号を入力するために上階へと向かっているマルコが、鞍馬組とカラカルの戦闘に巻き込まれていくことで、状況はややこしくなっていく。

だがタワー勝負は終盤戦と言って良いだろう。これまでの内容を自分なりに整理しつつ、一気読みすることをおすすめしたい。

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