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【漫画】嘘喰い8 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

至高の騙し合い

情報

作者:迫捻雄

試し読み:嘘喰い 8

ざっくりあらすじ

アイデアルと賭郎との戦いが本格化し始め、カラカルが屋形越えを考えている中、金を荒稼ぎしていた貘たち一行は元金0円でできて、勝てば数億稼ぐこともできるにも関わらず、負けても何も奪われないというギャンブルの話を聞き、梶は乗り込んで調査することに。

感想などなど

黒い耳からカラカルと呼称されたアイデアル所属の殺しから何まで請け負う最強の男。外務卿・泉江夕湖の戦闘力もかなり高いことは言うまでもないが、カラカルには他二人の攻撃をいなしつつ叩けるような余裕があり、どうにもその力量には差があるように思われた。

このままでは賭郎の示す暴力が、アイデアルには通用しないという実質的な負けになりかねない。そんな状況でやって来たのが、夜行丈一というお屋形様のお付きをしていた人物である。

「俺が掃除するのはこのゴミか?」

とカラカルを挑発する強気の姿勢に恥じぬ、カラカルと夜行丈一の拮抗した戦いを見せつけてくれる。決着は警察組織の介入――まぁ、アイデアル達が仕組んだことのようだが――という形ではあったが、今後のカラカルと夜行丈一の戦いが楽しみだったりする。

とにもかくにも。ここでの戦いは今後のアイデアルと賭郎の行動方針を決める上で重要なものだったに違いない。互いに単純な暴力でねじ伏せることはできない……ならば。

賭郎を乗っ取るならば、わざわざそのための方法を作ってくれているではないか。

屋形越えという手段を。

 

さて、そんな戦いが起きていることは知ってか知らずか、斑目貘一行は新たなギャンブルの匂いを嗅ぎつけた。それは元金もなく、勝てば数億、負けても何も奪われないという0円ギャンブルだった。

ギャンブルというのは勝てば大儲け、負ければ大損というゲームだ。そうでなくては、カジノ経営者などは続けることができなくなってしまうし、そのギリギリさが人を狂わせている。

だがこの0円ギャンブルはどうだ。挑戦者側は勝てば得をし、負けても何も失わない。これはギャンブルと呼べるのだろうか?

その話を聞いた梶達はその話に乗っかって、ギャンブルに挑戦してみることとなった。どうにもその話が信用できない梶は、自分が乗り込んで話の真意を暴いてやろうと乗り気だ。

だが話はそんな予想を裏切る形で展開していく。

ギャンブル相手との待ち合わせ場所にやって来たのは高級リムジン。車の中で一円も持っていないことを話すも、それでも何も問題なく賭けができるとして話は進んでいく。その車が向かった先はどこか分からぬ地下駐車場、その奥にある一室に男はいた。

その男の名は雪井出薫。このギャンブルを取り仕切っている、いわば対戦相手だ。

さて、0円ギャンブルとは言ったが、何も賭けないという意味ではない。どうやら今回のゲームでは「ある日の体験や思い出」を賭けるようだ。意味が分からないかもしれない。

通された部屋の壁には、日付が列挙されており、その中から思い出がある・記憶に残っている日というものを選んで貰う。その上でとあるゲームを行い、雪井出が勝った場合はその日の体験を回収される。逆に雪井出が負ければ、その日に設定された賭け金が支払われる……そういう仕組みだ。

そこで行われるゲームは『ラビリンス』。

6×6増すの表に入口と出口を配置し、20枚の壁を使って迷路を作る。相手に自分が作った迷路の入口と出口の場所を教えゲーム開始。先行から入口から進んでいく方向を1マスずつ移動し、壁にぶつかるまで続ける。これを交互に続けて出口に最初に着いた方が勝ちというシンプルな勝負だ。

分かりやすい。こういうゲームは読者としては有り難い。

だが、このゲームの裏にあるからくりはそう単純ではない。果たして梶はこの賭場から生きて帰れるのだろうか。梶の一世一代を賭けた勝負が始まった。

……と期待させるようで煽りを入れて申し訳ないが、彼は超あっさり負ける。ある意味期待通りだが。それでも彼の戦いはこの負けてからが本番だと言っても過言ではない。無料ほど恐いものはない。

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