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【漫画】寄宿学校のジュリエット4 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

禁断の恋

情報

作者:金田陽介

出版:講談社

試し読み:寄宿学校のジュリエット (4)

ざっくりあらすじ

ジュリエットの誕生日を祝うことができなかった露壬雄は、白猫の寮で開かれるジュリエットの誕生日に、黒犬の寮のメンバーを引き連れて”ジュリエットパイ当て祭”と称して突っ込んで行く。しかし、藍瑠は露壬雄とジュリエットの関係性を疑っているらしく……。

感想などなど

第三巻のラストにて涙を流したジュリエット。「俺たちは何も悪いことをしていない」という露壬雄の言葉と、ジュリエットのながした涙は、読んでいて心に来ましたね。そこから迎えた第四巻は……シリアスなはずなんだけどなぁ。

「自分が会いたいと願ったから」露壬雄が傷ついてしまったと、思い詰めるジュリエットは、露壬雄を徹底的に避けるという行動に出て、「会いたいから」と詰め寄るジュリエットに拒絶されてしまった露壬雄は意気消沈。

互いに思い合う強さ故に産まれるすれ違い。

そんな二人を助けるのは、蓮季やシャル姫という彼・彼女の友達であった。傷心の露壬雄とともに学校をサボって二人で仲良くデートし……あれ、浮気か? ジュリエットが先日の夜に渡すはずだった手製のクッキーを、ジュリエットの代わりに露壬雄に手渡したシャル姫。

二人によって覚悟を決めることができた露壬雄の行動が、まさかの”ジュリエットパイ当て祭”なのだから驚きである。どうやらパイを当てるためにジュリエットを見つけ出して、誕生日を祝おうという算段であるようだ。まぁ、元々表立って会うことのできない二人なのだから、こういう回りくどい手法しか取れない。

 

ギャグでごまかされてはいるが、露壬雄とジュリエットの間を阻む壁の大きさというものが、この第四巻でまざまざと突きつけられる。それこそ命を賭けなければ、隠し通すことなどできないような展開というものが待っている。

その具体的な障害は、露壬雄の兄である藍瑠だ。

切れ者である彼は、露壬雄がロザリオを大切にしていたこと、ブラジャーを持っていたこと、カレンダーのジュリエットの誕生日に丸印がつけられていたこと、一日待っていれば漢詩が外れるというのに無茶をしてでも外に出ようとしたこと、という情報から二人の関係性を疑った。

こうして列挙してみると、露壬雄に隠す気があまりになさすぎるような気がしないでもない。これは流石にブログ主でも気付く。

そうした証拠を列挙し、二人の関係性の疑惑というものを大々的に報じた藍瑠。露壬雄の部屋で見つけたというブラジャーを手に掲げ出したときは、あまりのシュールさに笑いそうになったが、本人としては重要な証拠であり、大真面目なのだろう。実際かなり追い詰められる。

そんな話を聞いていた白猫と黒犬の寮メンバー全員が、疑惑の目を向ける。「あ、私のあげたブラジャーだ」とか考えるシャル姫とか、必死に「そんなの嘘だゾ」と周囲をなだめようとする天使な蓮季もいるが、基本的には騙されていたということに対する負の感情が爆発し、大ブーイングの雨あられ。

このままでは、もう二度と二人でいることはできなくなる。女性貴族として認められたいジュリエットは、その目的を果たせなくなる。露壬雄だって世界を変えると息巻いていた過去は無に帰す。

そんな状況を打破するために、やはり命を賭けるしかなかった。二人の思いの強さに盛大な拍手を贈りたい。

 

そんな一騒動を経て得た学びとしては、監督性はやっぱり凄いということ。白猫の寮の監督生代表ケット・シィや、サイベルやレックスという面々は、圧倒的に露壬雄よりも強かった。

当然だが藍瑠も、露壬雄よりも強い。今後、学校を変えていくとして、学校の上に立つとすれば、彼・彼女達を越えるような実力を身につけなければいけない。そこで監督生・手李亞の雑務係として、監督生というものを学んでいこうと考えた。

なるほど、監督生の下について学べることは多いだろう。やはり人の上に優秀な者から学べることは多い……はずだったんだよなぁ。

結論だけ言うと、手李亞は超絶不器用であった。第三巻での有能オーラはどこへ消えた。彼女の得意技は、周囲の仕事を増やすことであった。

だが可愛いからよし。前半の重い話から打って変わって、サービスシーンの多い後半であった。ほんと可愛い女性しかいないな、この学校。

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