工大生のメモ帳

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涼宮ハルヒの陰謀 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

語り継がれる伝説

情報

作者:谷川流

イラスト:いとうのいぢ

試し読み:涼宮ハルヒの陰謀

ざっくりあらすじ

もうすぐ二年生に進級するという時節、やけにハルヒが大人しいが、このまま何も怒らず平穏に過ごせればいいと思っていたキョン。しかし、その考えは甘かった。彼の前に八日後の未来から来たという朝比奈さんが現れたのだ。

感想などなど

バタフライエフェクトという言葉を御存知だろうか。蝶の羽ばたきが、巡り巡って竜巻を起こすように、小さな事が巡り巡って大きな事を起こすきっかけとなる喩えである。蝶の羽ばたきと竜巻には、何の因果関係もないように見える。しかし、どう繋がっているかは分からないものだ。

例えば、八日後の未来を想像して欲しい。

あなたは何をしているだろうか。もしくは、どうなっているだろうか。

今、このブログを読んだことで、「八日後に自分が何をするのか?」を意識するかもしれない。それによって、あなたの行動は少しばかり変化するかもしれない。このブログを読んだことで「涼宮ハルヒの陰謀」を買いに走るかもしれない。またこのブログを読みにくるかもしれない。

そんな少し先の未来――といっても何が起こるか分からない八日後の世界から来た朝比奈さんとキョンが出会うところから物語は始まる。これから始まる八日間は、キョンにとって『何が起こるか全て知っている状態』でありながら、『自分が何をしているか分からない』という奇天烈な体験をすることになる。

そんな不思議な日常の感想を、これから書き殴ろうと思う。

 

朝比奈みくるは未来人である。彼女は自由に時間を跳躍することができ、これまでもキョンを未来へ過去へと連れ回した。しかしそれは、「上から命令を受けたから」という枕詞が付くことになる。時間移動するにしても、上の許可を取り付けるなり、命令を受けるなりの条件があるのだ。

そんな彼女が今回は八日後の未来からやって来た。上から命令があったのだろう……と思いきや、彼女は『八日後のキョン』に八日前に時間移動するように依頼されたのだと語る。そこで何をすべきかは、キョンが全て知っている……と。

……ふむ。つまり八日後の自分は朝比奈みくるを過去(=今)へと送り出し、今の自分に何かをさせようとしているらしい。朝比奈さんが必要となるような何かが、これから起こるというのだろうか。

しかし、朝比奈さんが語るこれから先の八日間には、特に奇妙な出来事や変えるべき事象が起きているようには見えない。キョンはそんな彼女が未来で見たキョンの言動に沿いつつ、裏では朝比奈(大人)から届けられるミッションに挑んでいく。

そのミッションというのが奇妙なのだ。

例えば。

『〇〇町××番ー△△号にある交差点を南に進むと、近くに舗装されていない裏道があります。今日、午後六時十二分から十五分までの間、その裏道と市道が交差する地点に図の通りのものを置いてください。P. S. 必ず、朝比奈みくるとともに』

上記ミッションに記載された『図の通りのもの』は、地面に釘を突き立て空き缶を被せたものを設置したものだ。それを設置することで起きたことといえば、苛立った大人が巻を蹴り飛ばそうとして、地面に突き立てられた釘ごと思い切り蹴ったことで足を負傷したという事件程度なものだ。

「こんなことのために?」と首を傾げたくなるようなミッションの数々に、キョンも朝比奈さんも振り回されていく。そのどれも遂行すること自体は簡単だった。だがやはり、「どうしてこんなことを?」という疑問が渦巻く。

そんな中、いきなり朝比奈さんの誘拐事件が発生する。

 

未来はちょっとしたことで変わる。そしてそんな未来を変えるために、過去に送り込まれている人間は朝比奈さんだけではない。別の目的、別の組織で、数々の人間の陰謀が渦巻いているのが、この世界なのだ。

涼宮ハルヒはそんな陰謀なんて知らないというように、今日も滅茶苦茶な遊びを考えついては、団員をそれに引きずり込んでいる。キョンはその裏で、そんな陰謀たちの存在を知るのだ。

頑張れキョン。未来はキョンにかかっている。日常とSFの入り交じりつつ、朝比奈さんが可愛い一冊であった。

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