工大生のメモ帳

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異世界薬局4 感想

【前:第三巻】【第一巻】【次:第五巻】

※ネタバレをしないように書いています。

平均寿命を10年上げたい

情報

作者:高山理図

イラスト:keepout

試し読み:異世界薬局 4

ざっくりあらすじ

今日も異世界薬局で病気の人々を救っているファルマ。そんな中、帝国の神官長サロモンが行方不明となり、「神聖国」から国に来ないかと誘いを受けるが――。

感想などなど

この時代の医療では、そもそも白血病がどういった病気なのかすら分かっていなかった。必要な技術なども足りないなかで、兄・パッレの白血病を寛解させることに成功したファルマ。それには彼のチートがあればこそであろう。

しかし、これから先も白血病の患者はたくさん出てくる。彼らを救うためには、ファルマがパッレを治療するのに使った技術を、一般に落とし込む作業が必要になる。その第一歩が、ファルマの知識をまとめた書籍の編纂である。

これは人類が百年かけた内容を、伝わるように文章でまとめるというファルマの挑戦だ。とりあえず完成した初版本は、これから多くの人の研究で使われ、その実用性が証明されていくことだろう。

それには十年、二十年……いや百年近くかかることになるかもしれない。

ただこれだけは言える。ファルマの行いは多くの人の命を救うのだ。そんな正しい行いをしているからこそ、多くの人が彼に協力しているのだ。そんな彼の協力者の一人、神官長サロモンが行方不明になったという話が持ち上がった。

 

第三巻のラスト、薬神の出現を察した「神聖国」の神官達は、どうにかして薬神を連れてこれないか話し合いをしている。そこで招集されたサロモンが、薬神は「新聖国」に連れてくるべきではないと進言。それは神官達の怒りを買った。

おそらくサロモンは「神聖国」にいる。薬神を連行したい彼らにとって、サロモンは邪魔だったのだろう。

表向きには反逆行為を働いたとして、神脈(魔法を使うのに必要な器官のようなもの)を閉じられた上で幽閉されているということになっている。サロモンの反逆行為に関して、ファルマは「自分が薬神杖を貰ってしまったからなのでは?」と推察した。

この薬神杖は人間には持つことができず、薬神にしか持つことの叶わないとされてきた超貴重アイテムだ。「この杖を持ち出してしまったことでサロモンが厳罰に処されたのでは?」ならば返そうと、新たに派遣されてきた神官長コームに返却しようとした。

しかし、このコームという男がうさんくさい。

彼は杖を返却するならば、神聖国に自分で持って行って欲しいと言った。返却程度ならばコームが杖を持ち(鞘があれば人間でも持ち運び可能)、神聖国に帰れば良い。それなのにわざわざファルマ自身に持って行かせようとする。さらに、どうにもファルマの神聖国行きを急がせようという意図も垣間見えた。

そこでファルマは、自分の背後には世界最強の女帝エリザベート二世がいることをちらつかせ、自分が神聖国に行って帰ってこなかった場合、帝国が黙ってないですよと暗に知らせた。

これがかなり利いた。神聖国の上層部が面倒くさそうに、どうにかして力ずくにでも連れてこないかと画策する中、ファルマの大胆な作戦が行動に移された。サロモン奪還作戦である。

……サロモン奪還作戦と大仰な言い方をしてしまったが、単純なものだ。単身で神聖国に侵入しサロモンを見つけ出し、連れ出すというもの。この作戦遂行だけで一巻丸々使えそうなものだが、本作では数ページくらいで終わってしまう。

まずサロモンは自由に空を飛ぶことができる。そのため警備などあってないようなものである。さらに彼の扱う神術は、あらゆる元素を消したり作ったりするチートだということを思い出して欲しい。

サロモンのいる強固な壁も、彼を縛る腕輪も、鉄格子も全て消すことは可能なのだ。逃げることは容易い。という訳で、薬神のバックに皇帝がいることを知って手をこまねいていたら、交渉のカードに使えそうなサロモンが脱走――と散々な目に遭った神聖国。これでファルマを諦めてくれれば良いのだが、そういう訳にはいきそうにない。

 

この第四巻では男性には気づきにくい医療関連の問題解決に動いていく。

具体的には生理、だ。この第四巻で生理についての知識もついてしまった。さらに生理用品がない時代の予想外すぎる対策は、個人的に驚きだった。白血病やペスト、生理について学べる作品となっているという訳だ。

他にもパーキンソン病や、ロタウイルス感染症など名前だけは知っているけど、詳しくはよく知らない病も取り扱われていく。テンポ良く物語が進んでいく第四巻であった。

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