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異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術12 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

魔王(演技)

情報

作者:むらさきゆきや

イラスト:鶴崎貴大

試し読み:異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 12

ざっくりあらすじ

コボルト討伐を王に依頼されていたディアブロだったが、コボルトと仲良くなったことでリフェリア王国と対立してしまう。しかしゲルメド帝国の宣戦布告により状況は一変する。

感想などなど

コボルトとの仲を深めつつ、シェラの故郷でソラミの胸を揉みつつ輝光という新たな戦闘技術を習得し、順調に進んでいるかに見えた物語は、コボルト討伐を止めさせるために動いたディアブロが王国と敵対してしまったことで国から追われる波乱の逃亡劇へと変わってしまった。

コボルトと仲良くなってしまった時点で、ここまでの展開は予想できた。言葉を理解できないコボルトと人間が、友好関係を築くことは不可能。これまでの戦いで流れた血の多さもあって、これから先の展開は泥沼になることまでも、ありありと想像できる。それに魔王と名乗ってるし。このような追われる身となる展開は、遅かれ早かれ来ていたのだろう。

今はまだ何とかなっている。事を起こしてからまだ時は経っていない。聖騎士としての身分証明代わりになる銀の聖印がある。手配書が出回っていない限り、いきなり襲われるという心配もない。しかも大主神官であるルマキーナが、各地の神官達に「神様は魔王を名乗る冒険者として各地を旅している」と喧伝して回っているお陰で、妙に神官達に懐かれている。そしてディアブロの女装が意外にも似合うという事実も判明し、逃走に目立った障害は見受けられない。

……だが泥沼であるということに代わりはない。ディアブロを庇った者達に、王の剣が向けられることも考えなくてはいけない。これから先、解決すべき問題は数多くあった。

しかしその泥沼は、予想外の方向へと向かっていくことになる。

なんとゲルメド帝国が宣戦布告したのである。

 

帝国と王国の戦争が起きた。王国はかつて魔王軍と戦ったこともあるくらいに強い。その過去に負けないくらいに戦力を持って、帝国を叩いた。しかし帝国はそれ以上に強力な兵器を持ち、その戦力を返り討ちにした。

帝国の魔導機兵。

人が乗り込んで戦うロボット兵器だ。ディアブロがファンタジー世界の住民ならば、帝国の兵器はSF世界の存在である。魔法で銃弾が防げるか? 魔法で機動力のある鋼鉄の鎧を破壊できるか? その力の差は、王国を絶望させるには十分だった。

そしてルキマーナは王国が火の海になるという夢を見たと語る。彼女の余地は百発百中である。ディアブロ一人が王国に加わったとて、簡単にひっくり返る戦況ではない。それにディアブロの元素魔術と銃は相性が悪かった。しかも人殺しはしたくないという人としての矜恃が、戦争に加担しても戦えない要因にもなっている。

そして城が実際に攻められ、城が燃え落ちていく。アリシアが嬉しそうだが、この戦いで多くの人が死ぬことを、ただ見ているだけの魔王ディアブロではない。

魔王に匹敵するとディアブロが語るほど強固な装甲、魔法反射の指輪で反射できない魔導の銃弾、そんな厄介な敵が一体ならまだしも二体で攻めてきた。果たしてディアブロは勝てるのだろうか。

 

戦争は双方の血が流れる。たとえディアブロがこの二人を止めたとて、どこかで死人がいる。遠方射撃で城が燃えている。その攻撃で死んだ人もいるかもしれない。たとえ最強の魔王だとしても、その力は暴力であって、誰も死なない平穏など訪れない。

この戦争はどこに向かって行くのだろうか。

ディアブロはどのような選択をするのかで決まっていく。なにせ彼は魔王、最強なのだから。わりとギャグが続くかと思いきや、シリアスな展開に突入し、その寒暖差で風邪をひきそうになる作品であった。

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