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異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術3 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

魔王(演技)

情報

作者:むらさきゆきや

イラスト:鶴崎貴大

試し読み:異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 (3)

ざっくりあらすじ

魔族エデルガルトに、「レムの中の魔王クレブスクルムを復活させないか」と話を持ちかけられたディアブロ。レムを不遇な運命から救い出すためにも、クレイブスクルムを復活させ倒すことを決意する。

感想などなど

魔王は大抵のゲームでラスボスとして君臨する。いわばゲームをプレイする上での最終目標といっても過言ではない。レベルを上げ倒した暁には、エンドロールが流れ、終わりをしみじみと感じ、噛みしめる時間へと突入する。

本ゲームにおけるボスとして君臨せし魔王は、レムという少女の身体に封印されていた。それにより一生逃れることのできない運命を背負うこととなった彼女の人生は、不運としか言い表しようがない。なにせそんなこと望んで生まれて来た訳ではないのだから。

もしも彼女が死ねば、その時は魔王が復活し、世界に混沌をもたらすであろう。

ディアブロはそんな彼女の運命を背負うと約束した。異世界の魔王として、その魔王も倒してやると高らかに宣言までしてしまった。そんな二人に、魔族エデルガルドは甘言を告げに来た。

「レムを殺すことなく、クレブルクルムを外に出すことができる」と。

そんなことをしたとしても、彼女を殺して魔王が出てくる場合と結果は同じ。世界は滅びてしまう……しかし、今は異世界の魔王ディアブロがいる。レムを救いつつ、魔王も倒せるハッピーエンドが待っているという期待が高まる。

 

第二巻ではディアブロ達を補助してくれた国家騎士アリシア・クリステラの協力もあり、エデルガルドと共に魔王を復活させる儀式を執り行う一行。物語としてはラストシーン一歩手前、ここから戦闘が始まり、結果がどうであれ、エンディングへ突入してもおかしくない場面。

魔王が復活。ここからディアブロとクレブスクルムの戦いが……とはならなかった。

なんと復活した魔王は幼女だったのだ(表紙の子)。

……幼女と一口に言ってもいろいろある。ラノベの場合は特にそうだ。やけに知識が深い偉ぶった幼女や、ガキ臭い幼女に、大人ぶった幼女。十人十色でそれぞれ記憶の中に当てはまる者がいたことだろう。

クレブスクルム(幼女)を一口で言うなれば、「お菓子大好き、我が儘放題の幼女」である。お菓子が貰えなければ滅ぼしかねない。逆にお菓子が貰えるならば、どんな話でも大抵受け入れてくれる。

お菓子をあげたら、「生かしてやる!」といってくれた。これで魔王と人類の和解が成立した。街のお菓子屋さんは是非とも頑張って菓子を作り続けて欲しい。

しかし、その状況を面白く思わない者がいた。

国家騎士アリシア・クリステラである。

 

人でありながら魔王を崇拝する。魔王という破壊の象徴に心酔し、世界が混沌に包まれることを望む者が、国家騎士という立場になっていたのだ。彼女にとって、魔王復活は願ってもない絶好のチャンス。

この腐りきった世界を、破壊し尽くして欲しかった。

その願いに反し、クレブスクルムが望んだのは菓子である。可愛い。

心酔し追い求めた魔王像を取り戻させるため、彼女の暗躍が始まった。

ディアブロはこの世界を守ることができるのか? 世界の命運は彼にかかっている。魔王が世界を救うファンタジーの幕開けである。

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