工大生のメモ帳

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紅 ~醜悪祭~ 上 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→紅 感想 - 工大生のメモ帳

赤い手紙。

情報

作者:片山憲太郎

イラスト:山本ヤマト

ざっくりあらすじ

紅真九郎は、家に突然やって来た少女に「姉を探して欲しい」と依頼を受ける。調べていくうちに、巨大な闇が前に立ち塞がる。

感想などなど

第二巻(紅 ギロチン)では、全身の内臓という内臓を入れ替えられて、ギリギリの状態で生きている少女が、殺し屋に自分を殺すように依頼した話でした。死んだように生きているとは、彼女のことを指しているのでしょう。そんな彼女を必死に守ろうとした真九郎の行動は正しかったのか? きっと誰にも答えは分かりません。

そんな話を乗り越えて、ギロチンとの恋愛フラグが立ったのか立ってないのか良く分からない中迎えた第三巻。さて、今度はどんな狂った世界が待ち受けているのでしょう。

 

上巻ということで事件の真相などなど正直全て感想に書いてもネタバレにはならない気がしますが、今回も律儀にネタバレはしないように書いていきます。ご安心を。

今回の事件の概要は、あらすじに示した通り失踪事件です。失踪事件というのは厄介なもので、事件性があるのかどうかの境界線が曖昧です。例えば、親と喧嘩して、自分の意思で家を飛び出せばそれは事件とは呼べないでしょう。それは警察が捜査に乗り出す刑事事件とは残念ながら言えません。あくまで家庭で解決すべき問題です。

しかし、その家を飛び出したことにより、危ない何かに巻き込まれるという可能性もあります。その判断材料が「いい加減帰ってくるはずなのに帰ってこない!」という手遅れになっているだろう時期にならなければ判断できません。だからこそ失踪事件というやつは厄介なのです。警察が事件が起きなければ動けないことによる弊害というやつですね。

では今回は?

クライアントは幼い少女。失踪したのは彼女の姉であるらしい。親はいない。

……もう事件の匂いがプンプンします。まだ幼い妹がいながら、自分だけどこかに逃げいていく姉がいるのならば、「最低!」という言葉をお送りいたします。当然主人公はそこに事件性があると考えます。

そこで登場するのが、赤い手紙の存在。妹曰く、姉はその赤い手紙を見てからというもの様子がおかしくなり、数日後姿を消したのだそう。もう、これは事件に巻き込まれたと見て間違いありません。

しかし、姉が大家に残したという手紙には「駆け落ちした」という旨の記述。確かに、失踪する理由として駆け落ちは定番であります。しかし、やはり妹を置いて行くなぞあり得るのでしょうか。大体「駆け落ち」というのは叶わない恋を成就させるための最終手段であるはずです。妹から逃げなければ叶わない恋愛とは何なのでしょう?

……ふむ、分かりません。

銀子などの協力により情報を探っていく内にたどり着いたのは、闇カジノでした。

 

事件の話はひとまず置いておきます。ここらで少し、魅力的なヒロインについて文字数を裂きたいと思います。

まずは幼馴染みの情報屋・銀子。大抵の作品で登場する幼馴染みを応援することの多い自分ですが、大抵の場合当て馬で終わり、恋愛感情がないと一刀両断する主人公達面々に、軽い殺意を覚えたのは自分だけではないはずです。

本作の幼馴染みも残念なことに大差ないような、あるような……。まぁ、主人公が恋愛感情という男子高校生なら等しく持つべき感情が、著しく欠如している気がします。しかも一巻で命を賭けて守った九鳳院紫の存在が、どうしても頭をよぎります。

さてそんな負けヒロインの代名詞の情報屋・銀子もちょっと ”あれ” すぎます。奥手というか、感情表現が少ないというか。もっと顔を赤らめるくらいしてもいいと思うのですよ。

しかし、可愛い。エロハプニングに見舞われても、表情を変えず淡々としているのが可愛い。デートに誘われようと、ちょっと返答にためらいがでるくらいで押さえているのが可愛い。

……自分の文章を読み返してみると、これは酷い。もう重症かも知れません。

気を取り直してメインヒロインとしての地位を確固たる物にしている小学生・九鳳院紫に関して。本作で彼女に「ラブホテルに入ったら最初にテレビを点ける」ということを教えて貰いました。

そんな彼女は、まず間違いなく紅真九郎にとっての心の支えであり、大切な存在になっていることは明らかです。しかし、彼女はあくまで小学生。紅真九郎自信、「これは彼女の好意は一過性のもの」だと言っています。

まぁ、普通な発想です。思い浮かべてみれば小学生の頃の恋心なんて不確かなものでした。

しかし、彼女にその恋愛感情の常識が当てはまるのでしょうか。彼女の境遇を思い返して下さい。小学生にして恋愛という存在を知らず、ただ自分は子供を産む存在であるということを刷り込まれてきました。母親の恋をしなさいという言葉がなければ、その生活に疑問すら抱かなかっただろう彼女に、一般的な恋愛観を押しつけている真九郎。無理があると個人的に思いますがどうでしょう?

さて、事件の進行度はこの上巻でおおよそ半分程度。黒幕かな、という存在が顔を出して大暴れしたくらいです。他にも柔沢紅香が死んでいたり、彼女は過去にアメリカを救っていたりしたそうですが、まぁ、そこら辺は下巻の感想で書いたり書かなかったりする予定です。