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賢者の弟子を名乗る賢者8 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

賢者の弟子=賢者

情報

作者:りゅうせんひろつぐ

イラスト:藤ちょこ

試し読み:賢者の弟子を名乗る賢者 8

ざっくりあらすじ

キメラクローゼンの持っていた精霊を無効化する武具の秘密を知った五十鈴連盟。その武具は鬼の力を利用しているのだった。さらにキメラクローゼンは国の政治を掌握していることまで判明。キメラクローゼンの奥深くまで足を踏み入れていくのだった。キメラクローゼンとの戦い、ついに決着。

感想などなど

この第八巻を読んで思ったことは、「キメラクローゼンは極少数の有能で構成されていた件」「ミラ(ダンブルフ)が強すぎる」「なんか死んだけれども……」の三本である。

上記三本について語る前に、少しばかりあらすじを語っていこう。

第七巻は静寂の精霊・ワーズランベールのチート能力で、普通にキメラクローゼンのアジトに潜入し、何事もなかったかのように人を攫い、錬金術で精霊の力を奪う武具(正確には黒霧石という石だが)を作っているヨハンという者の情報を入手。

アジトとは少し離れた屋敷で作業している彼の元に、静寂の精霊・ワーズランベールのチート能力で潜入。彼の家族が人質に取られており、従うしかなかったということが明かされた。彼の研究成果の一部を受け取り一時撤退。ヨハンの家族を救出しにアジトへと戻った。

アジトには子供パンツが干されていた。その場所が、ヨハンの家族が監禁されている場所だろうと推測したミラ達。その予感は見事的中し、妻と娘がそこにいた。二人と一緒に逃げ出そう……といったところ辺りから第八巻となる。

流石にチートすぎると判断されたのか、静寂の精霊・ワーズランベールのチート能力には時間制限が設けられ、その時間内に何とかして脱出する。まぁ、無限に使えるとするならば、背後から近づいてサクッで全員倒せることになってしまう。それでは面白くない。

ここから先、かなりの情報と展開が詰め込まれ、猛スピードでキメラクローゼンの攻略が進められていくことになる。

 

キメラクローゼンの情報は徹底して隠されていた。まず末端には情報が与えられていない。何をしているかすら知らない者が大半である。さらに、あらゆる道具に追跡の術がかけられており、仮に裏切りによって逃亡した者がいたとしても、キメラクローゼンから与えられている道具を一つでも持っていたら、その道具を追跡して、この世から裏切者を抹消することも容易い。

さらにさらに、ローズライン公国はキメラクローゼンの傀儡政治であることまで分かり、国営の施設などはおちおち使えないということが判明した。

これは……情報戦で苦戦すると予想した。しかし、五十鈴連盟の人間は、我々の想像するよりも遥かに有能であった。隠された裏の情報が、ページをめくるごとに解明されていき、敵の大本のアジトにある戦力から、場所までもが次々と明るみにされる。

もうあとは乗り込んでボコすだけ。向かうはミラと、五十鈴連盟のリーダーことカグラと、元プレイヤーの剣士セロの三人だけ。少数精鋭、他の者達は足手まといになるだけという判断である。

そして繰り広げられる敵との戦闘。

やはりこの作品における注目すべきポイントは戦闘である、そう確信させられた。

 

戦闘の面白さをここで伝えるのは難しい。敵の能力や正体などはネタバレになりかねないためだ。ただ一言いうならば、召喚術に物量で挑むのは愚策ということだけ書いておこう。

ミラ以外の面々の戦闘も面白い。カグラが扱う陰陽術、セロの放つ剣技……セロはともかく、カグラはミラと同格で、九賢者に名を連ねる強者である。この戦闘が面白くないはずがない。

ミラに背中を預け、自分だけがボスに向かって行く姿も、五十鈴連盟のリーダーとして、精霊たちを救いたいという気持ちの強さが現れており、個人的にはお気に入りのシーンだったりする。

キメラクローゼンとの因縁、ついに決着。長い長い戦いでした。

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