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転生したら剣でした8 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

剣として生きていく

情報

作者:棚架ユウ

イラスト:るろを

試し読み:転生したら剣でした 8

ざっくりあらすじ

獣人国にいるという獣王リグディスの師匠と会うため、王都へと向かうフランと師匠。その道中、魔物との戦闘や王女暗殺事件などに巻き込まれてしまう。

感想などなど

シードラン海国のいざこざに巻き込まれ、最強とされる艦隊・水竜艦と戦い、最後はミドガルズオルムの登場、そして奴を捕食するリヴァイアサンに遭遇という波乱の航海となった。

フランはこれまでの戦いでかなり強くなった。それでも世界には彼女よりも強い存在がたくさんいる。これからも精進していかなければと、兜の緒を締め直すこととなった。師匠とフラン、二人三脚で強くなっていってもらいたいものである。

そんなことはさておき。

獣人国にたどり着いた二人は、早速王都へと向かう。

目的はいくつかあるが、一番は獣王リグディスの師匠に会うことである。

獣王は黒猫族を狩って奴隷にして売買している青猫族を取り締まり、黒猫族の解放に尽力している。元々は黒猫族を見下しているその他大勢と同じだった彼が、そのような行動をしているのには理由があった。

それは彼の師匠であるキアラが、獣王よりも遙かに強い黒猫族だったから。黒猫族=雑魚だと思っていたリグディスにとって、それは考え方を変えるには十分すぎる事実だった。

そしてこのキアラに会うため、わざわざ海を越えてやって来た。他には黒猫族の住処があるので、そこに顔を出したいし。神級鍛冶師の情報も集めたいし。フランにはまだまだすべきことがたくさんあった。

しかし王都に向かう道中、様々な事件に巻き込まれていくことになる。

 

事件に巻き込まれるという話と繋がってくるのだが、どうやら現在の獣人国は隣国との緊張が高まっているらしい。その理由の一つは獣王不在だ。そのため屈強な兵士は国境沿いに集められ、それによる魔獣や盗賊の数が増え、巡り巡って事件遭遇率は上がってしまった。

それを証明するかのように、道中で魔獣に襲われ、王女を暗殺しようとする暗殺者と遭遇し、重要な手紙の運搬を任されたりと、ただ移動しているだけなのに次々と火の粉が降りかかってくる。それにまだまだフランの噂を知らない者達に絡まれたりという事案も発生。

まだまだ黒猫族の名誉を復活するには時間がかかりそうだ。

この第四巻では黒猫族の住む集落に足を運ぶことになる。無論、キアラと会って積もり積もった話をした後のことだ。キアラが50年前に果たせなかった進化の秘密を解き明かし、しかも進化まで果たした姿を見せることができた。なかなかに感動的なシーンとなっている。

そして訪れた黒猫族の集落で見せつけられるのは、黒猫族の弱さだ。これまで散々黒猫族は雑魚と言われ続けたが、読者や師匠は、フランを通してでしか黒猫族を知らない。しかし実際に黒猫族を見てみると……本当に弱かった。

進化できないというだけが、黒猫族を雑魚とたらしめているのではない。単純な戦闘能力の初期値が、タフネスさが、精神が弱者のそれだった。魔獣と戦う? もっての他だ。集落に住む黒猫族達は、守って貰わなければ生きていくこともままならないほどに弱い存在だったのだ。

しかし黒猫族が進化できない呪いから解放されるには、『黒猫族の力だけで脅威度S以上の邪人、もしくは邪心の眷属を倒すこと』が必要となる。これがかなり絶望感が出てきた。

 

そんな雑魚過ぎる黒猫族の集落に、もしも魔獣の集団が攻め込んできたらどうなるか。

答えは考えるまでもない。あっさりと滅亡である。まぁ、そもそもそんなことはあり得な……いや、待て。今の獣王国には獣王がいない。兵士は国境に置かれ、黒猫族の周辺の守りが薄い。隣国との緊張が高まっているという話も上がっている。

……あぁ、嫌な予感がする。

黒猫族のキアラとの話は面白かった。黒猫族の集落での話も幸せに満ちていた。これまで雑魚だった彼らにも、鍛錬を積めば強くなる可能性が示された。これは大きな希望だったはずだ。邪人を倒せば進化できるようになるという、黒猫族にとっての大きな目標も出来た。

そこから始まる大きな戦争は、黒猫族にとって、フランにとって大きな試練となった。大きく状況が動き出す第八巻であった。

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