工大生のメモ帳

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黒の召喚士5 目覚めし魔王 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

バトルジャンキー召喚士

情報

作者:迷井豆腐

イラスト:黒銀

試し読み:黒の召喚士 5 目覚めし魔王

ざっくりあらすじ

軍国トライセンが周辺各国への侵攻を開始し、大した戦力もない(ことになっている)パーズには、将軍のアズグラッドが率いる竜騎兵団が迫っていた。それを迎え撃つのはS級冒険者になったばかりの黒衣の『死神』ことケルヴィンであった――。

感想などなど

第五巻のサブタイトルを見て欲しい――目覚めし魔王、である。

魔王とは、この世界においては定期的に現れる世界を滅ぼそうとする存在のことを指す。定期的というのがポイントであり、これまで世界を滅ぼす予兆を見せなかった者が、急に世界を幌墓参という意思を持ち、いつの間にか『天魔波旬』というチートスキルを得ているという世界のシステムが魔王なのだ。

『天魔波旬』というのは、あらゆる攻撃を無効化してしまうという絶対防御のスキルである。チートと言ったのも納得であろう。それでいてその他ステータスも大強化されるというのだから、まさしく魔王と呼ぶに相応しい存在が誕生するという訳だ。

さて、そんな魔王が復活したのではないか? という疑惑がささやかれつつあった。

その要因は数えていけばきりがないが、一つに『軍国トライセンの宣戦布告』が上げられる。軍国というくらいなので、血気盛んで獣人を人とは思わず、エルフを遊び感覚で狩って奴隷化するような国は遅かれ早かれ戦争が起きそうなものだが。

だからといって、この戦争はおかしい。早急過ぎる。宣戦布告の理由は将軍クライヴが、獣人の国に攫われたといった内容だが、それが嘘ということをケルヴィンはよくよく知っている。ケルヴィンは糞野郎クライヴをボコボコにして、マジで殺そうとしたが、それを止めたのはトライセンの軍人であり、クライヴを連れ去ったのもその軍人である。

何か急いで戦争をしたい理由があるのだろうか。もしかして……国王様が魔王化した……? 読者だってそう思うし、作中の人物達だってそう思う。

 

ある意味ネタバレかもしれないが、この戦争はこの一巻で完結する。恐ろしいスピードで戦況が動き、トライセンがボッコボコにされていく流れは、様式美と言って良いかもしれない。

それほどまでに戦争が素早く終結したのは、ひとえにケルヴィンというS級冒険者の存在が大きい。

戦争は多対多の戦いであり、数や戦力の差は戦術で埋められるものだと思っていた。しかしその戦力の差が大きすぎると、ここまで圧倒的な戦いになるということを思い知らされた。

ケルヴィンがパーズを守るために迎え撃つ刃、アズグラッドが率いる竜騎兵団。その名の通り、兵士が空飛ぶ竜に乗って進撃してくる。そんな彼らの前に現れたのが、三時間という短さで築かれた巨大な防壁と数百体のゴーレム、そしてケルヴィンという死神に、セラヤコレットにメフィルといった美女軍団。

この戦いで見られるのは、圧倒的な戦力差で押しつぶされていく竜騎兵団の面々である。アズグラッドは頑張ったと言って良い。ただその頑張りも、ケルヴィンにとっては楽しい死闘に過ぎなかった。

 

ケルヴィンがチートな強さということは言うまでもないが、それ以上に魔王の娘・セラの固有スキル『血染』をナーフすべきなのではと思ってしまうくらいに強かった。クライヴの『魅了眼』は、相手を自分の虜にしてアレコレするスキルだが、この『血染』は自分の血をつけた相手を自在に操ることができるスキルである。

作中にて、敵兵達にこの血をつけ、全員を洗脳して使役する作戦が決行される。血を出す必要があるため、少なからずダメージを受けたり、血が減ってふらふらしたりするのだが、自動回復のスキルによりそのようなデメリットもないに等しい。

セラ……恐ろしい女である。

その他女性陣も滅茶苦茶怖い。ケルヴィンのためならば、何だってする女性陣の活躍をとくとご覧あれ。圧倒的戦力でボコボコにするいつも通りの回であった。

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