工大生のメモ帳

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ブギーポップ・オールマイティー ディジーがリジーを想うとき 感想

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※ネタバレをしないように書いています。

※これまで(出版順)のネタバレを含みます。

忘却の彼方で

情報

作者:上遠野浩平

イラスト:緒方剛志

ざっくりあらすじ

スプーキーEの死後、虚脱状態になっていた織機綺の元に、統和機構からの使者がやって来た。ポリモーグと名乗る彼女は、綺に責任を取ることを求めた。

感想などなど

『VSイマジネーター(ブギーポップ・リターンズ VSイマジネーター PART1 感想 - 工大生のメモ帳)』という物語を覚えているだろうか。

出版されたのは1998年8月10日。平成10年のことだ。

世界の敵――死を操るイマジネーターとブギーポップの戦いに、綺と正樹に代表される恋愛……様々な視点で描かれた物語は圧巻の一言です。

物語の結末としては、『スプーキーEは死亡』し、飛鳥井仁は作戦を失敗した末に逃亡。綺は統和機構の拘束から逃れられることとなり、凪の世話になることに。

本作では、謎の多い『スプーキーEが死亡』事件に関して調査を任されたポリモーグと呼ばれる合成人間、そしてイマジネーターとの因縁を描いた物語となっている。

本作を理解する上で、イマジネーターこと水乃星透子が行ってきたことが描かれる『錆びまみれのバビロン(ブギーポップ・ウィズイン さびまみれのバビロン 感想 - 工大生のメモ帳)』は読了必須だろう。

超簡単に内容をまとめると、『水乃星透子は周囲の人から自分の記憶を消し去っていた』というオチである。このオチだけ知っていたとしても、十分に楽しめる内容だと想うので是非読んで欲しい(……まぁ、本作からいきなり読み始める人はいない……よね?)。

 

今回巻き起こる ”世界の危機” の鍵を握っているのは、タイトルにもなっている『ディジー・ミス・リジー』の存在と能力、死を操る『水乃星透子』の存在、『スプーキーEと織機綺』の三つだろう。

『ディジー・ミス・リジー』とは電撃タイプの特殊戦用合成人間である。こうややこしく言ってしまうと分からなくなってしまうだろうが、スプーキーEの上位互換と言えば分かりやすいのではないだろうか。

つまり、電撃によって記憶操作もできるし、人格も操れるし、自分だけの人形とすることも可能となる。上位互換ということもあり、その能力により操る精度も範囲も桁違い。どうやら街全体の人間を操ることも場合によっては可能であるらしい。

そんな能力者が、どうやら統和機構を裏切ったらしい。

その裏切りと『スプーキーEの死亡』、一連の事件の調査を任されたのが、同様に電気操作系の能力を使い嘘発見器のようなことができる合成人間・ポリモーグだった。相当に優秀な人材らしいが、本人のやる気が著しく低い上、面倒くさがりな彼女が事件を捜査することとなる。

 

『水乃星透子』という名前を出すこと自体、ある意味ネタバレかもしれない。彼女が行ってきたことに関して忘れていた場合、事件の裏に水乃星透子が関係あることに気付けないからだ。

作中では度々、「こんなことができるのは……」「あの事件の後、彼女は……」という形で名前が出てこず、代名詞として婉曲的にしか登場しない。どれもこれも『錆びまみれのバビロン』や『VSイマジネーター』で描かれた事件であるため、知ってさえいれば特に推理するまでもなく彼女が関係していることは理解できる。

だが逆に言ってしまえば、それらの作品を読んでいなければ何も理解できない。だからこそ敢えて書かせて貰った。どのように事件に関わってくるのかに関しては、本作を読んで確認して欲しい。

 

『スプーキーEと織機綺』の関係性については、上司と部下、主人と奴隷……等々様々な言い方ができる。どれにも共通して言えるのは、決して仲は良くなかったということと、綺がスプーキーEに依存していたということだろう。

綺にとってスプーキーEの命令は絶対であったし、統和機構に所属している以上、裏切るということも絶望的だった……いや、裏切ろうということすら(正樹に出会うまでは)考えもしなかったはずだ。

しかし、彼女は正樹のために行動した。

そんな彼女が今、『スプーキーEの死亡』を調査しに来たポリモーグとの出会いによって、思い出したくもないであろうスプーキーEとの記憶と向き合うこととなる。そんな日常の中で違和感を覚えて、その違和感が事件の鍵を握っていると気付くとき、物語はクライマックスを迎える。

ブギーポップシリーズ――特に『VSイマジネーター』に思い入れがあればある程に、驚くことができる作品だったと思います。

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