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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第五話【感想・解説】

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まず最初に

乙女ゲームの主人公であるマリアと無難な出会いをはたし、互いに互いをおとしあうという展開を見せてくれた第四話。第五話ではいよいよ本格的にマリアを攻略しにかかります。まぁ、完全に無意識ではあるのですが。その辺りの過程において、アニメオリジナルの演出が差し込まれるなど、制作陣の原作に対する理解度の高さが伺える第五話の感想・解説に進んでいきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 商家の娘の格好をして、農民が作った農地を見学しに行く公爵家の娘。
  • 元々街にはお菓子などを食べるために、身分を隠して遊びに行くことが多かった。当然だが他の貴族はそのようなことはしない。
  • 学園内に畑を作っているということを隠しているつもりだが、全く隠すことができていないため、畑が作られているということは噂になっている。「貴族令嬢がそんなことをするはずがないから、平民の誰かが作っているのだろう」と語られているが、カタリナの母が実行犯に気付かないはずもない。
シリウス・ディーク

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 成績は学年一位にして、ファンクラブのメンバー数もニコルを超えるとまでされている生徒会長。
  • ニコルとは一応幼馴染みではあるが、十歳の頃に顔を合わせてから十五歳になり学園で一緒になるまで、言葉を交わすことは一切なかった。十歳の頃には物寂しそうにしている目を見て親近感を覚えていた、と後にシリウスは語る。
  • 侯爵家の子息ということもあり、婚約を求める女性はたくさんいるが、その誰とも関係性を持ったことはないらしい。
マリア・キャンベル

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 平民でありながら光の魔力を持った乙女ゲームの主人公。
  • 平民では持つことが稀である魔力をその身に宿し、しかもその魔力が世にも珍しい光の魔力であったことから、同級生達からは忌避され、大人達からは『特別な子』として扱われ、父は母の浮気を疑い家を飛び出した。
  • 元のようにみんなで仲良くしたい、私のことをちゃんと見て欲しいという願いから、お菓子作りに励むことになったが上手くいかなかった過去を持つ。そんな彼女の努力を見て、お菓子を美味しいと口いっぱいに頬張って、彼女のためにいじめっ子達の前に立ち塞がってくれるカタリナに恋心を抱いてしまうのも無理はないだろう。

注目すべいポイント

カタリナとシリウス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

マリアとカタリナがいちゃいちゃするシーンから第五話は始まっていく。マリアの努力をさり気なく褒める辺り、カタリナの人間タラシ度の高さが伺える。また、当然のようにお菓子を作ってくるマリアの行動もポイントが高い。こうして二人が互いに互いを落とし合うことになる。

そして生徒会長とも親睦を深めていく。元々物怖じせずに話しかけていくことができる程度の、徹夜で乙女ゲームに興じるオタクとは思えないようなコミュ力を備え持つ野猿なので、それなりに誰とでも仲良くなれる。原作もだが、あまりクラスメイトとの話は描かれないが、かなり慕われていると思われる描写は多数存在する。

アニメでもシリウスに紅茶を淹れて貰ったことに対して、

「会長の淹れてくれたお茶はとても優しい味がしますね」

と言っている。ただ「美味しい」と言うのではなく、「優しい」と表現する辺り、メタ的な読み方をすると、とても重要なキーワードであるような気がしてしまう。実際、シリウスがハッとするような表情を見せ、カタリナの背を追うような目線を向けているシーンが挟まれ、意味深な印象を想起させる演出がなされている。

マリアと仲良くしたい!

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナが辿る破滅フラグというものは、マリアの行動によるゲームのイベントによって変動していく。その破滅フラグの発生条件というものが、マリアの迎えるエンディングがハッピーエンドだろうがバットエンドだろうが関係ないという点が問題である。

またカタリナが虐めていないにも関わらず、マリアは裏で虐められていたというゲームとしての強制力があるということも解決すべき問題としてあげられるだろう。ゲームではマリアを虐めていた主犯格としてカタリナの名があがり、国外追放されたという背景がある。

もしかすると、(虐めいてないが)カタリナが虐めの主犯とされてしまうかもしれない。腹黒皇子であるジオルドはその程度のことしてしまいそうだし(実際はカタリナにベタ惚れだが)、その他どうようなことが起こるかは判別できない。

だったらマリアが虐められないようにしよう、という訳である。

しかし実際のカタリナはそんな難しい、ゲームの攻略のようなことは考えていないだろう。純粋にマリアを助けてあげたい、一緒にいたいという思いの表れが、マリアを虐めから守ってあげる手法を考えるに至り、しかし頭が足りないのでキースに相談する。キースの行動はある意味、ライバルを増やすということになるが、誰であろうと優しさを振りまく彼女のことを好きになったのだから、これはある種の宿命ということなのかもしれない。

イベントを奪うカタリナ

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

炎の魔力をまでぶつけてくるという悪意の塊のような虐めを受けるマリアを助けたのは、悪役令嬢カタリナ・クラエスだった。土ボコという「土をボコッとさせる」だけの魔法だが十分に役立ってくれた。元々はキースの役割だったということだが、まぁ、キースは別にマリアに惚れてないし。今のキースは誰かの教育によって女性には優しくするようになっているため、魔法を使わず笑顔で彼女達を黙らせて遠ざけあしらっているだろう。

そこでカタリナが口にした言葉の数々は、これまでマリアが求めてきた言葉そのものであった。

簡単に説明すると、『マリアの努力を見ていたということ』『特別な子扱いしなかったということ』『友達としてマリアと呼んでくれたこと』の三つだろうか。これらに関しては改めて後々描かれる回想シーンと交えて説明していく。

マリアの街へ

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

国外追放されても農民として生きていくために、農民が作った本格的な畑を見に行くカタリナ。公爵令嬢とはバレないように商家の娘として身分を隠しての行動である。しかし彼女は結構な有名人なので(侯爵家の娘、ジオルド皇子の婚約者、平民にも分け隔てなく接する etc)、バレている様な気もするが。

その過程でマリアの故郷を立ち寄ることになる。アポイントはなし(とりようもないのだが)の突撃訪問、家の場所すら知らないという状況だが、『特別な子』として有名なマリアの家は街の人は誰もが知っているらしかった。ひそひそと影で噂する様子を察するキースの有能さにも注目である。

ここでのポイントは『特別な子』として扱われるという意味である。マリアの場合には、愛されるという意味での『特別な子』扱いではなく、腫れ物を扱うかのような『特別な子』扱いであった。誰も彼女自身の性格や努力を評価しようとはせず、光の魔力を扱えるという彼女の努力とは関係のない場所しか見ようとしていないのだ。

学園でマリアを虐めていた女性達など分かりやすい。「光の魔力が扱えるから評価されてるんだ」「生徒会の人達も光の魔力が扱えるから仕方なく接しているんだ」というように常に光の魔力という言葉が、彼女の評価について回っていることが分かっていただけるだろう。おそらく街で言われ慣れている言葉の羅列、原作ではマリアがそういう言葉には慣れている、といった描写がある。

マリアの過去

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

木から落ちてしまった友人を、光の魔力を用いて治癒したことで、魔力を、しかも光の魔力という特別な力を持っているということが判明したマリア。治癒された友人の怯えたような表情からも、魔力を持った平民に対する平民からの評価というものが伺いしれる。

この事件からマリアの周辺の状況というものは一変する。

まずは街での孤立。貴族との隠し子という噂もその孤立を加速させ、唯一の救いの場であるべき家庭ですら父親がいなくなったことにより崩壊。母親は娘に対してすら心を閉ざしてしまう。

光の魔力による『特別な子』としてではなく、自分というものを評価して欲しい、『努力を見て欲しい』という彼女の思いをあざ笑うかのように、彼女の作ったお菓子から逃げていくクラスメイト達。彼女にソッと手を差し伸べてくれる『友達』が一人でもいれば、状況は変わっていたかもしれない。

そんな彼女の抱える心の闇を解消し、救ってくれた人物は十五歳になってから現れる。そう、悪役令嬢カタリナ・クラエスである。

アニメ独自

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナの母親周りの演出や心の声は、アニメで捕捉された独自の演出である。彼女が持ち出してきた型抜きや、カタリナが帰っていく中で娘と心を通わせて見せた笑顔など、原作を深く理解していなければできない演出が、違和感なく散りばめられており、アニメ制作陣に恵まれた作品であるということを実感させられる。

それにしても母親も美人である。

最後に

ラノベ原作をアニメ化した場合、多かれ少なかれ批判が出てくるものですが、本作においては個人的にないに等しいですね。やはり原作に対する理解度が高さと成功率は比例するような気がします。今後の展開にも期待がもてます。

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【2020夏】アニメ化ラノベ一覧

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某感染症による影響を多大に受けた春アニメ。いつまでこの影響が続くのか分かりませんが、アニメ制作に携わる方々は健康第一に、毎秒放送して下さい。

 

 

ソードアート・オンライン アリシゼーション

公式サイト:TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」オフィシャルサイト

公式Twitter:アニメ ソードアート・オンライン 公式 (@sao_anime) | Twitter

本来は春アニメでしたが延期されて夏アニメにシフトしました。夏アニメとして無事に放送できればいいのですが。まぁ、これまでの内容をアニメで振り返ることができるだけの時間ができた、と前向きに考えましょうか。

 

魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~

公式サイト:TVアニメ「魔王学院の不適合者」公式サイト

公式Twitter:https://twitter.com/maohgakuin

解説記事  :第一話第二話第三話第四話第五話第六話第七話第八話

タイトルで既にあらすじは説明してくれているので、説明は不要かもしれませんが、一応簡単に説明すると、『史上最強の魔王が転生して学園に通う』というものだそうです。ファンタジー世界からファンタジー世界への転生……ということですね。どのように展開を作っていくのか楽しみです。

一巻の感想はこちら:魔王学院の不適合者

作者リストはこちら:秋作品まとめ【魔王学院】

 

やはり俺の青春ラブコメは間違っている。完

公式サイト:TVアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」公式ホームページ|TBSテレビ

公式Twitter:やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (@anime_oregairu) | Twitter

アニメも原作も完結ということで、春アニメを楽しみにしていたら延期。仕方ないことではありますが、原作ではバレンタインを終えて、小町の受験を終えてという春に向かってのエピソードとなっているので、春アニメには丁度いいと思っていたのですが。

一巻の感想はこちら:やはり俺の青春ラブコメは間違っている。

作者リストはこちら:渡航作品まとめ【俺ガイル】

 

Re:ゼロから始める異世界生活

公式サイト:TVアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』オフィシャルサイト

公式Twitter:『Re:ゼロから始める異世界生活』公式 (@Rezero_official) | Twitter

再編集版が配信されていましたが、いよいよ二期が始まっていきます……と前期の記事で書いていましたが本作も延期。再編集版を放送するという時点で、かなりの力の入れようだと分かりますが、個人的にかなり楽しみにしています。

 

配信サイト

AmazonPrimeVideo

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U-NEXT

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FOD

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Hulu

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AbemaTV

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ライブストリーミング形式のインターネットテレビ。

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動画や生放送の画面にコメントが流れることが特徴、日本最大級の動画サービス。

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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第四話【感想・解説】

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まず最初に

子供時代を経て、十五歳となり学園へと入学。そしていよいよゲーム本編の破滅フラグが牙を……たぶん、おそらく、きっと牙を向けてくるだろうと思います。ゲームでの主人公であるマリア=キャンベルとの出会いや、学園の設定など言及できればと思います。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • とりあえずお菓子をあげると言えば疑わずに付いてくる乙女。
  • ジオルド王子はゲームと同じく腹黒故にカタリナとの婚約を解消しないと思っているし、キースはカタリナに対して恋心を抱かないと信じて疑っていない。前世では恋愛経験が皆無(現状を見る限り、「ただ気付かなかっただけなのでは?」とも思うが)らしいので、男性から向けられる意識に対してあまりに無頓着。
  • メアリやキースや母親の説得や洗脳により、「自分なんかが王族に入るのは大変だからどうしよう」と思い悩むようになっているが、お菓子を食べたり、一晩寝ると悩んでいたことを忘れていることが多い。
マリア・キャンベル

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 成績優秀・眉目秀麗・家事万能という完璧主人公。世界で数えるほどしかいない光の魔力を扱える。カタリナ同様にスカートで木を上ったりするが、カタリナとは違って見られると恥ずかしがる。可愛い。
  • 趣味はお菓子作り。無人島に持っていくならば「お菓子作りの道具」と豪語するほど。学園のキッチンを借りて、時々作っていたりする。
  • カタリナの影響を受けてなのか、ゲームの主人公としての性なのか、彼女も天然タラシ的側面を持ち合わせることになる。
シリウス・ディーク

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 生徒会長を務める。元々生徒会には成績優秀者が所属するという決まりであることからも分かって貰える通り、彼の成績は学年でもトップクラス。
  • 侯爵家の子息。爵位に関しては第二話の感想・解説を参照。
  • 紅茶を淹れるのが上手い。
魔法学園

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 魔力が使えるようになった人は十五歳になった段階で、入学することが義務となる全寮制の学園。2年間もの間、みっちりと魔力の扱いなどをたたき込まれる。
  • 男女別の学生寮は当然として、教師の寮や、魔力の研究施設なども完備。国営ということでその設備は全てかなりのお金がかけられている。
  • この国では魔力を持って生まれるものが他国よりもかなり多く、それらを国の資産として考えているため大事に扱われているようだ。

注目すべきポイント

これまでの振り返り ジオルド王子

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

まず最初に八歳から十五歳までの間での変化などが説明されていく。しかし、勘違いしかしていないカタリナの言葉をそのまま受け取ってはならない。このブログではカタリナの言葉をガン無視して、淡々と現実だけを突き付けていこうと思う。

まずはジオルド様について。

八歳の頃にこけて額が割れたカタリナ様だったが、年月を経て額の傷は綺麗に治って消えてしまった。メイドのアンと共に喜んだ後、さっそくジオルド王子に報告して婚約を破棄させようとする。それを端から見るアンは、開いた口が塞がらなかったと語る。

その報告を良い笑顔で聞くジオルド王子。これまで散々彼なりのドストレートなアプローチ(ただしカタリナには届かない)が全く届いていなかったことを再確認し、額の傷は消えていないということにして、婚約は破棄しないとはっきりと告げた。

ゲームでは他の人の面倒なアプローチを避けるためにカタリナと婚約していたが、野猿がインストールされたカタリナに対しては本気で自分だけのものにしようとしている。そのためならば王位継承争いも本気でする覚悟を抱き、学園での勉学への力の入れ具合も尋常ではないほどだ。

また裏では、ジオルドと婚約しているカタリナに嫉妬して、彼女を陥れようとする人達を潰して回ったりしている。腹黒さは相変わらずであり、むしろ磨きがかかっているような気がする。守りたい人がいると、人は強くなるということなのかもしれない。

これまでの振り返り キース

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

男としての色気が増し、カタリナにより「女性には優しく接する」ように厳しい教育を受けたため、ある意味カタリナレベルのタラシとして成長した。

しかし、肝心要のカタリナに対しては、朝起きてすぐに抱きつかれたり、一緒に風呂に入るように誘われたり、夜を一緒のベットで寝たりしたために、自分から積極的に行くことができなくなってしまった。原作を読んでいると、彼の性癖が歪んでしまわないか心配になってしまう。

まぁ、おそらくもう手遅れだろう。

また、クラエス公爵家の跡取りとしての仕事の手伝いも積極的に参加するようになっている。これも全てカタリナの隣に立つふさわしい男になるための、彼なりの頑張りだろう。マリアやジオルドからの手出しを弾く防波弟としての役割も、経験と傾向と対策により専念されていく。

これまでの振り返り アランとメアリ

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

アランとメアリが婚約を結んでいるという関係性に関して、ゲームとの変更点はない。しかし、アランとメアリが共にカタリナ好き好きであるという状況になってしまっている。

メアリは、アランに対してカタリナに対する恋心を意識させないように洗脳を施し、カタリナに対して「王子との結婚生活は大変だ」という話を聞かせることでジオルドとの婚約を破棄させようと画策する。その果てにはカタリナと共に国外へ逃げることまでも計算しており、彼女の腹黒さに磨きがかかっていることが伺える。

また、ジオルドと共にカタリナの生活を脅かす危険性を排除するために暗躍もしている。世界各地の貴族達の秘密を掴み書き記したノートまであるのだという。

アラン王子はメアリの洗脳により、恋心を意識しないようになっているが、無意識の内に出る好意を示すような行動は出てしまうようだ。当然だが、カタリナはそのことに気がついていない。彼が自身が抱く好意に気がつくのは、一体いつになるだろうか……。

これまでの振り返り ニコルとソフィア

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

すっかり明るくなったソフィアと、その兄ニコル。共にカタリナ好き好き状態である。ニコルは現状、「友人である王子の婚約者に手を出すわけにはいかない」と言っているが、もうその発現自体が好意を認めていることに気がついていないのだろうか。親の家督を継ぐために婚約者を見つけるべく、お見合いなど参加するが、カタリナと比べてしまって上手くいかない苦悩が、原作では描かれていく。

妹のソフィアとしては、兄とカタリナが結婚してくれれば、よりカタリナと一緒に過ごせるとして画策する。その策略というものが、ジオルドやマリアとは違い可愛らしいものなのでとても癒やされる。

しかし、最近は略奪恋愛ものや女性同士の友情物語などまで幅広く読むようになったため、その可愛らしい策略が変化しないだろうかと、原作ファンとしては少しヒヤヒヤしている。

ジオルドとマリア

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

入学式を終えると、早速マリアとジオルドのイベントが発生する。スカートで木登りするマリアを見て、面白いと思って興味を持つジオルド王子。しかし額が割れても「大したことないですわ!」と元気に言ってのけ、ほっかむりで畑仕事に勤しみ、婚約者に蛇のおもちゃを投げつける貴族令嬢カタリナの面白さには敵わなかった。残念、マリアにはもう少し頑張りを見せて欲しかった。

カタリナの脳内では、「このままジオルドはマリアに惚れるんだわ……」という絶望に襲われていた。人は自分を客観的に見るということが苦手であるということを教えてくれる。

キースとマリア

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ゲームではカタリナをナンパして、いかがわしい行為(?)に誘おうとしていたキース。しかしカタリナの教育により、女性が落としたハンカチを餌にして言うことを聞かせようとするようなことはせず、普通にハンカチを返すだけの優しい男となった。

カタリナのフィルターを通すと、「ハンカチを拾って返した」という行為は、惚れてしまったという状況とイコールで繋がってしまうらしい。結論ありきで話を聞くと、正しい答えに辿り着けないということを教えてくれた。

また、「あなたに好きな人ができても邪魔しないから!」という悪意ゼロの言葉は、キースの心を深々と抉った。神は彼に男としての色気を授けたが、それは一番届いて欲しい相手には届かないものだったという訳だ。悲しい。

アランとマリア

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

成績の順位が掲示され、マリアに負けてしまったアラン。ゲームではその負けをきっかけにしてマリアとアランの絡みが生まれる。しかし、カタリナの隣にいたことで、成績の勝ち負けに拘らなくなっていたアラン。すっかりいい男になっている。

そんなことよりも、自分の得意分野である音楽の才能を伸ばし、演奏会など積極的に開くようになっていた。といってもカタリナに一度話しをする辺り、好意を自覚してないのかと疑いたくなるが、メアリの人心掌握術とアランの生真面目さが原因なのだろうか。

生徒会

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

成績上位者であるジオルド達(カタリナは除く)が生徒会に所属することになった。しかしカタリナが参加しないと入らないと駄々をこねたことにより、カタリナも顔を出していいことになっている。カタリナはそのことを知らないが、知らない方がいい気がする。

本来はもっとメンバーがいたのだが、ニコルを巡っての抗争により抜けていった。男女を問わず魅了する、ニコルの魔性の魅力は危険すぎるのかもしれない。ちなみにニコルが行ったお見合いでは、女性が魅了されて一言も話せないまま終わることが良くあったらしい。

またゲームではマリアが気にくわないという理由で虐めていくという形でコンタクトを果たすカタリナとマリアだが、ここでは生徒会に顔を出すという円満な形で出会いを果たす。そしてゲームでの知識を駆使し(無意識だったが)、マリアの手作りお菓子を作って欲しいというお願いをして、彼女との距離を縮めるための大きなきっかけを得た。

メイド長とのエピソード

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

メイド長に手作りお菓子を作って貰っていたエピソードがカタリナの口から語られる。これは原作第五巻にて、メイド長からの視点で短編の形で収録されている。あまり積極的になれずにいたメイド長が、人との距離を縮めることができるようになっていく、勝手に周囲に幸せをばらまくカタリナらしさ、とでも言うべき心温まるエピソードとなっている。

虐めの現場

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

お菓子の匂いに釣られて虐めの現場を目撃したカタリナ。迷いも躊躇いもせずに間に割って入ったのは流石である。

また、貴族社会では公爵家の娘であり、ジオルド王子との婚約者で、令嬢達の間で一目も二目も置かれるメアリと仲良しで、アラン王子とも懇意にしているというとてつもない影響力の持ち主であると思われており(事実そうなのだが)、彼女に嫌われる=死という等式が成立するほどにまで言われている。

事実、過去にカタリナを陥れようとした貴族は、ジオルドの手によって地方に飛ばされている。虐めていた犯人達が逃げ出したのは、彼女の悪役顔というよりは、そのような背景があったからこその逃亡という方が事実に即している。

三秒ルール

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

三秒以上経過しているし、芝生というのは決して綺麗ではないのだが、落ちてしまったお菓子を美味しそうにほおばるカタリナ様。マリアとしては、食べ過ぎたということではなく、地面に落ちたものを食べる令嬢という構図に突っ込みたかったのだろう。カタリナが気にしていないようなので突っ込まなかったが。

しかしこれ。実際はジオルド王子がするはずだったイベントである。

ゲームではカタリナがマリアを虐め、そこに颯爽と駆けつけるジオルド王子。彼女を励ますために、落ちてしまったお菓子をほおばり、美味しいと告げる。王子という地位の高さと、地面に落ちてしまった手作りお菓子をほおばるというギャップが女性を落とすのだろうか。

最後に

カタリナ様の人タラシの毒牙に晒されつつあるマリア・キャンベル。次回は彼女の過去や心に抱える問題について描かれていく。来週は予定があるため更新できないかもしれないが、頑張って更新できるように努めたい。

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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第三話【感想・解説】

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まず最初に

第三話になりまして、主人公以外のメインキャラは全員攻略してしまいました。恐ろしいタラシです。両親やメイドまで合わせると、そのタラシ率というものは百パーセントなのではないでしょうか。道筋はどうであれ、結果として相手の心にクリティカルヒットする台詞を選択し続けるというのは尊敬に値します。

そんな第三話を早速見ていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  •  公爵令嬢としてのマナーがなっていないというように両親からも心配される。
  • 十五歳の誕生日を迎えるということは同時に、社交界デビューするということを意味するため、その誕生日パーティには大きな意味がある。
  • ジオルド様と婚約をしているものの、メアリやキースにより、王子と結婚するということの不安などを植え付けられ、母親はカタリナの結婚に反対までするようになっている。
ソフィア・アスカルト

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 国の宰相であるアスカルト伯爵の娘。カタリナを深くお慕いしている。
  • アルビノという先天的に色素が欠損していることにより、髪は白く、瞳は血の色が透けた赤に染まっている。そんな白い髪と赤い瞳により、周囲から心ない言葉を掛けられて育ってきた。
  • 本が好きで、その範囲は幅広い。
ニコル・アスカルト

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 国の宰相であるアスカルト伯爵の娘。カタリナを深くお慕いしているが、王子の婚約者に手を出すわけにはいかないと自制している。
  • 心ない妹に向けられた誹謗中傷の同情から、不幸な兄としてのレッテルが貼られており、それを歯がゆく思っていた。
  • 魔力は風。
宰相

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 君主に命じられ、城で国政を補佐する者。つまりはかなり優秀。
  • アルビノというのは劣性遺伝子であり、両親から共にその遺伝子を受け継いでいないと発現しない。そのため両親ともに劣性遺伝子を持っていながら発現しておらず、ソフィアが劣性遺伝子をピンポイントで引き継いでしまったと考えられる。
  • 宰相の才能への嫉妬などから、娘への嫌がらせが加速したという背景もある。
エメラルド王女とソフィア

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • カタリナがはまっているロマンス小説の一つ。
  • 王女様と平民の女の子の美しい友情を描いている。ロマンス小説では王子や騎士との恋や、友情物語が多いためスタンダードな内容とも言える。
  • 物語のソフィアは美しい黒髪に黒い瞳の少女として描かれている。ソフィアと王女との出会いは、街中で突然「とても、綺麗な髪ね。少しだけ触っていいかしら」と王女がソフィアに話しかけるシーンとなっている。

注目すべきポイント

カタリナのロマンス小説趣味

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

もともと現世ではオタクだったということもあり、物語に飢えていたカタリナ。そこで彼女が出会ったのは、貴族達の間では下世話なものとして扱われており、趣味として公にはできないロマンス小説であった。

母親としては、そのような下世話なものに手を出して欲しくないのだが、外に出て木登りしたり、魚釣りしたり、畑仕事をしたりするよりは室内で大人しく本を読んでくれる方がマシだと判断したらしい。

小説の装丁を見る限り、かなり高価な本のように見えるが、この国では城下町でも販売されているような本である(というか元々貴族界ではあまり出回るような品ではない)。

王族主催のお茶会

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

王族主催のお茶会に招待されたカタリナ一行。ここでは『カタリナ達の背景と行動』と『ソフィア達の背景と行動』について説明していきたい。

  • カタリナ達の背景と行動

カタリナとメアリは、それぞれ王子の婚約者であるため当然招待され、キースも次期クラエス家当主として呼ばれている。王族主催というだけあって、用意されたお菓子や飾り付け、用意された食器までも豪華だ。

そしていつも通りに食べ過ぎるカタリナ様。今も過去も未来もこの調子なので安心して欲しい。一応、漏らすことなどないように学習したようだが、食べ過ぎないという方向に思考が向かわないのは流石と言うべきだろう。「太るのでは?」という心配があるかもしれないが、毎日のように畑仕事や木登りというハードスケジュールをこなしているため問題はない。

前世で犬猿の仲であった犬に追いかけ回され逃げた先の木の上から、虐めを受けるソフィアを発見。彼女自身、それを虐めとは全く認識せず、「なんか集まってきちゃった!」というように思う辺りカタリナらしい。しかしトイレに行きたいが為、正面突破でその場を乗り切る。ソフィアを救い出す格好いい登場のように見えるが、ただトイレに行きたかっただけだったことを、ソフィアは知らない。

  • ソフィア達の背景と行動

宰相の息子ということもあり、ニコルも招待を受けた。ソフィアも「今後社交界にデビューすること」を考えると、マナーや人に慣れておかないといけないということで参加することに。嫌々ではあったが、兄と一緒ということで何とか受け入れたようだ。

しかし、すぐに会場の外へ連れ出されて虐めの対象となるソフィア。原作では「やはり部屋を出るべきではなかった」というように心境を吐露している。そこで颯爽と現れ彼女を救ったのはカタリナ様であった。ここでソフィアは、カタリナ様とエメラルド王女を重ねて見ている。

会場に戻って、偶然にもカタリナを見つけることができたソフィア。ここでなけなしの勇気を振り絞って話しかけると、エメラルド王女と同じ台詞を言ってくれるカタリナ。まるで物語と同じような展開に、彼女が心を打たれるというのも仕方あるまい。

ロマンス小説仲間

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

家にソフィアを招待したカタリナ。それについてきたニコル。ここでニコルとのファーストコンタクトとなり、緊急の無脳内会議が開催される。結論として、『ソフィアと仲良くする分にはニコルのルートには入らない』となっているが、ニコルを攻略するためにソフィアから攻略するという正統な攻略手段を踏んでいるということに彼女が気付くことはない。

ちなみにニコルが来た理由は、以前にソフィアが同じように招待された際、ただ罵られるだけ罵られて帰ってきた過去があるためである。世の中、たいそうな暇人がいるものだ。

楽しい時間というものはあっという間に過ぎ去って、ソフィアの迎えの馬車がやって来る。そこで(無意識のうちに)ソフィア攻略のためのラストスパートを掛ける。

「私は、ソフィア様のその絹のような白い髪も、ルビーみたいに赤くキラキラした瞳もとても綺麗だと思います」

「ですから、また遊びに来て頂けると嬉しいです。そしてよければ、私のお友達になってくださいませんか?」

ソフィアの白い髪と赤い目が誹謗中傷の対象になっていたことは、これまでの話から分かっていただけるだろう。そのため自身の容姿に自信を持つことができず、家に閉じこもる日々を送っていた。

「エメラルド王女とソフィア」で描かれているような美しい友情物語などない、と思いながらも、想像を膨らませ期待し続けた日々。そんな彼女を救いだしてくれたカタリナ。彼女が流した涙の意味を理解して貰えただろうか。

あっちゃんとソフィア

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

あっちゃんとソフィアを重ね合わせるシーンというものは、原作にも度々描かれている。同じ長髪に、オタク仲間、ともにカタリナに救われた(あっちゃんが救われたエピソードは後々説明したい)という共通点がある。

カタリナの想像通り、ソフィアが前世の世界にいたとしても、きっと同じように友達になっていたことであろう。それほどに似ている二人だ。

ニコル攻略

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ソフィアを攻略した後にニコルを攻略するという正統な手順を踏んだカタリナ様。彼女にその自覚がないのは、いつも通りのこと。いい加減、アニメ視聴者も慣れたことだろう。

彼が抱える心の闇は、『幸せなのに、それを理解してくれない周囲に対する憤り』だ。ソフィアの容姿に向けられる誹謗中傷は、同時にニコルに対する同情へと変わっていく。

その同情を拒絶しても、周囲はニコルの優しさを褒めて、さらに同情を深めていく。まるで彼が不幸のドン底にいるような扱いで、彼自身「俺は不幸なのか」と心の片隅に抱くようになっていく。

その疑念を振り払ってくれたのは、「幸せですね」という屈託のないカタリナの笑顔だった。追い打ちを掛けるような「違うんですか?」というカタリナの問いに、ニコルは笑顔で答えることができた。今後も家族とともに、幸せな日々というものを歩んで欲しい。

ちなみにキースがニコルに対して抱く感情は恋愛感情などではなく、タラシこまれる人がさらに増えてしまったという驚きが大きいだろう。彼には胃を痛めない程度に、防波弟としての役割を全うして欲しい。

十五歳の誕生日

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

時間は飛んで、カタリナ様の十五歳の誕生日。社交界デビューとなる大きな節目だ。これまで盛大な誕生パーティは開かれなかったが(本人が面倒だと拒否していた)、ここだけはどうしても外せないということで敢行された。

皆、立派に成長し、美しく、かっこよく、ゲームと同じような容姿へとなっていた。しかし中身はゲームとは大きく異なっているということは説明するまでもないだろう。

ジオルドは持ち前の腹黒さでカタリナとの既成事実を作ろうとするし(といっても現時点では本人に合わせてゆっくりと攻略するつもりだった……だったんだよなぁ……)、アランは……メアリの策略により恋心を意識しないように洗脳されているが、カタリナを好きであるということに変わりはないし、ニコルは実際のところカタリナを溺愛してるし、メアリは二人で国外逃亡する準備までしている。ソフィアはニコルとカタリナをくっつけていちゃいちゃする計画という名の妄想をしている。

酷い状況だ。それでも皆に幸あれ……。

最後に

一巻の内容が終了。アンとのエピソードなど入れたかったのですが、これから先の解説記事のどこかにねじ込みたいと思います。次話からゲーム本編の部分へと入っていき、本格的に破滅フラグが襲い……襲って……たぶん来るので、破滅フラグ君の頑張りに期待しよう。

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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第二話【感想・解説】

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まず最初に

第一話の感想・解説記事が公開された時点で、第五話が放映されているというスルースタートな更新開始となってしまいましたが、それなりにアクセスを集めることができているようで……有り難い限りです。ペースとしては週一、ゆっくりとではありますが今後ともお付き合いいただければ幸いです。

第二話でも相変わらず、RTAばりに攻略を進めていくカタリナ様。彼女の活躍を見ていきましょう。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 「畑仕事は魔力向上に意味はありません」と魔法の先生に言われたが、趣味として、国外追放されても生きていけるようにするため、に畑仕事を続けていく。
  •  キースとジオルドは共にカタリナに惚れているが、腹黒ドS王子やチャラ男というゲーム内の印象が強すぎて気付くことができていない。まぁ、それを差し引いても鈍感すぎるが。
  • 剣術に関しては「勢いは凄い」と褒められた。
メアリ・ハント

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • ハント公爵家の四女。母親の身分が低かったため、母親の死後、三人の姉達に嫌がらせを受けるようになる。その生活の中で、中庭で植物達の世話をしている時が唯一の癒やしだった。
  • ゲームではアラン王子にベタ惚れで、カタリナのように嫌がらせをするような形ではなく、自分の魅力を高める形で主人公に対抗する。その結果、どのエンディングでも死ぬことはない。
  • 今後、ジオルドに最も警戒される程の腹黒に成長を遂げる。手段を選ばないとも言える。
アラン・スティアート

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 王国の第四王子。メアリとの婚約者。
  • 兄ジオルドとは双子で生まれた。しかし生まれて数年は身体が弱く、ほとんどをベットの上で過ごした。本格的に剣術や学問を学ぶことができるようになると、ジオルドとの距離と詰めようと必死に努力するが追いつけず、使用人達が「良いところをジオルド様に全てもっていかれた」と噂されているのを耳にする。それ以来、自分に全く自信を持てなくなり、他人を信用することもできなくなる。
  • メアリとの婚約は他の貴族達が躍起になってあてがっただけに過ぎない。ゲーム内でも恋愛感情というよりも、妹に向けるような感情という方が近い。
お茶会

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 同年代の貴族の子息と交流を深める目的で開かれる。
  • 九歳くらいから参加して、社交界デビューに備えるのが一般的。
  • アホの子だが、王子の婚約相手であり、公爵家の長女ということもあり人気者。もし彼女に嫌われたら生きていけないとまでされているレベル。
緑の手

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  • ゲームではアランが言うはずだったが、カタリナが奪ってしまった台詞。
  • 『緑の手を持つ女の子』という物語から、『植物を育てることが上手な人』のことを『緑の手を持つ人』と言うようになった。
  • アランもキースもこの物語のことを知っているため、この世界の住民にとっては慣れ親しんだ物語なのだろう。
爵位
  • 貴族という特権階級の位付けのこと。国や時代で微妙に異なるが、本作では一般的に爵位として扱われる五爵が当てはまる。
  • 位が上の方から順に、公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵というようになっている。
  • クラエス家は公爵、ハント家は侯爵、アン=シェリーの生まれは男爵家。

注目すべきポイント

ジオルドとキース

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ジオルドとキースを陥落させたカタリナ・クラエス。そんなことは露知らず、ジオルドとキースが互いに牽制し合う光景を、微笑ましい光景と捉えて顔をほころばせる。

あまりにも鈍感すぎるが、ゲームでの印象が強すぎるということ、前世での恋愛経験のなさが起因している。まぁ、前世の描写からして自動的に、無意識に人を救ってしまうことがあったため、彼女の鈍感は生まれ持った病気だろう。

ゲームでは全くもってカタリナに対して興味を抱いていなかったジオルドも、いつの間にか三日に一度ほど訪れ、畑仕事の手伝いをするようになっていた。ジオルドとカタリナが二人きりになることを嫌い、キースも一緒にいることが多い。

ハント侯爵家主催のお茶会

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ハント侯爵家のお茶会に招待されることとなったカタリナ・クラエス。マナーのまったくなっていないカタリナを送ることに抵抗のある両親だったが、実地で経験を積ませた方が良いだろうということで、前日までマナーを詰め込み小言を言って、(キースを)信じて送り出した。

ちなみにキースはカタリナの隣にふさわしい男になるために――元々それなりにできてはいたが――マナーの特訓に余念はない。カタリナは三秒ルールに則り床に落ちたお菓子を頬張り、スカートのまま木を登り、ジオルド王子にほっかむりで接するような女の子なのでマナーの出来不出来に関する説明は不要だろう。

ハント侯爵家には四人の娘がおり、長女は十四歳で、もうじき社交界デビューを控えている。次女と三女に関して明確な説明はないが、(メアリを除く)三人とも蜂蜜色の髪に瞳だと描写されているため、一人だけ髪色の違うメアリだけが浮いているような印象を受けた。

アニメで描写されているハント侯爵家の娘らしき三人の女性は、髪色も瞳もバラバラであるため、表だって挨拶をした子が長女で、後ろの二人は付き添いか友人なのかもしれない。となると自己紹介をするメアリ・ハントに冷たい視線を向ける描写と矛盾する気もするが。

中庭の花壇

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

お菓子を食べ過ぎて、トイレに駆け込むことになるカタリナ様。今後も学習することなく、限界一杯まで食べ物を口に詰め込み続ける。十五歳になって学園に入学してもなお、彼女のその性格はむしろ悪化の一途を辿る。カタリナの元気がなくなれば、友人達が「お腹が空いているのかしら」と食事を勝手に持ってくる程度には、彼女の食欲旺盛さは知れ渡ることになることを、カタリナは知らない。

さて、トイレに行ったはいいものの帰り道が分からなくなったカタリナは中庭へと辿り付く。そこには今後、腹黒乙女として成長を遂げることになるメアリ・ハントと、美しい庭園があった。

畑の野菜達の成長が芳しくないため、相談相手としての庭師の紹介をお願いするカタリナ様。メアリは、自分よりも位が上のカタリナが農作業をしていることや、自分のような下の人間に明るく話しかけてくれることに困惑しつつも、「自分が中庭の世話をしている」ことを語り、家に行って相談に乗ることを約束する。

このとき、カタリナは「迎えを出す」というように言っているが、メアリに断られた。些細ではあるが、公爵と侯爵の身分の違いを気にしていないカタリナの性格が表れている。

緑の手

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

公爵家の娘が畑仕事を本当にしているということに驚きつつ、事前に野菜の勉強をしてきた知識を駆使して畑の改革に乗り出す。数日ほど通い詰めていると、互いに魔力を持っていて学園に通うことになること、同年代であるということを知り、次第に仲良くなっていく。

そしてターニングポイントがやって来る。

「メアリの手は緑の手なんだわ」「メアリは特別で素晴らしい存在だわ」

この台詞を受けたメアリの心境を、『メアリの過去』と『ゲームにおける状況』の二点から説明していく。

  • メアリの過去

メアリは貧しい身分の母親から生まれ、髪色も他の姉達とは異なっていた。母親がいる間は大人しくしていた姉達も、母親の死後に彼女を虐めるようになった。ちなみに父親は仕事によりほぼ家におらず、使用人達も逆らうことなどできるはずがなかった。

その経験により人と接することが恐くなり、自分に自信もなくなっていく。自己嫌悪のサイクルと、ただひたすらに孤独に中庭で植物を育てる日々。

そんな彼女が公爵家であるカタリナにより、『緑の手を持つ特別な存在』として認めて貰うということは大きな意味を持つ。このとき、初めて自分という存在を認めて貰ったのだ。

  • ゲームにおける状況

さて、ゲームではこの台詞をアラン王子が告げるはずだった。それによりアラン王子のことが本気で好きになり、王子の隣にふさわしい女性になろうと努力し、主人公であるメアリの前に正々堂々と立ち塞がる敵役となる。

カタリナとは違い、マリアとアランが結ばれる『ハッピーエンド』では素直に身を引いて二人を祝福し、『バッドエンド』ではアランとメアリが当初の予定通りに付き合うというエンドである。ともにカタリナはあまり関わらず、メアリ自身も権力を振りかざすカタリナを良く思っていなかったようだ。

しかし、カタリナが農家になったことで状況は一変する。メアリがアラン王子に向けていた恋の矢印が、カタリナに向いてしまったのだ。これにより新たな破滅フラグが生まれてしまわないか心配するカタリナであった……。

アラン王子襲来

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

畑仕事をしていると、いきなりやってきたアラン王子。どうやらメアリを誘惑されたことにご立腹であるらしい。可哀想に、メアリも『アラン王子と婚約した』ことよりも『カタリナ様と同じように王子と婚約を結んだ』という事実を喜んでいる。アラン王子のことが眼中にないことが分かって貰えるだろう。

つまりはアラン王子の怒りもごもっともな訳だが、そこに追い打ちをかけるように「男としての魅力がない」と告げるカタリナ。一応言っておくが、彼は王子である。相手が相手、時代が時代ならば極刑に処されていても文句は言えまい。そこまで馬鹿にされたことを不問にし、暴言を挑戦状と言い換えてくれた彼の男気には拍手を贈りたい。

そして肝心の勝負内容は……

勝負内容

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナが選んだ勝負内容は木登りであった。当然だが、アラン王子は木登りをしたことがない。彼が想定していたのはボードゲームや魔法や楽器演奏であったことだろう。そんな常識が彼女には通用しないということを思い知らされることとなる。

ちなみに勝負の行われている大木周辺には、大きな猿が頻繁に出没するという噂が流れている。新手のホラーのようだ。

勝負の結果はカタリナの連戦連勝。前世では野猿として称えられた(?)彼女に勝つことは、大抵の人間にはできない。そうして連日通い詰めることになるアラン王子は、いつしかカタリナと仲良くなっていく。

そしてカタリナの婚約者で、三日に一度は欠かさずやって来るジオルドとかち合うのも時間の問題であった。

アランとジオルドの確執

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

カタリナと仲良くするアランが気にくわないジオルドと、いつも比べられ下に見られてきたアラン。二人が顔を見合わせ、険悪なムードの漂う中、珍しく空気を読むことに成功したカタリナは、木登りとはまた違った勝負としてピアノを選択する。

勝負の結果としてはアランの完勝。しかし、ジオルドからの心ない賞賛を受け、飛び出していくアラン。実際は長年ベットで寝ていたはずなのに自分に追いつこうとしてくるアランを、ジオルドはとても高く評価している。

逃げ出したアランを追いかけ向かった先は、これまで木登り勝負をしてきた大木。

そこでカタリナは「向き不向きがあるということ」を語って聞かせ、ジオルドは蛇が苦手であるということを、蛇のおもちゃを投げつけることでアランに示すことで、アランとジオルドの間にある確執は解消され、自分に自信を持つことができるようになっていった。

ゲームではマリアと恋に落ちることで解消されていく問題点だったため、カタリナが解決させてしまったということを意味する。破滅フラグとは違うが、一つマリアの役割を無自覚に奪ってしまうカタリナ様であった。

最後に

アニメオリジナルのシーンなどを見ていると、アニメ制作者の原作に対する理解度の高さが伺えます。アニメスタッフに恵まれ、原作ファンとしてはこれ以上ないという程に心強いことでしょう。

声優が行う畑仕事も、ブログ主は楽しく見ています。本当に愛されていますね……記事を書いていて楽しい作品で良かったです。

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まず最初に

川﨑沙希というヒロインの登場と、彼女と弟に関する依頼解決に励むエピソード。工大生ということもありバイトに勤しむ時期がブログ主にもあったのですが、夜勤とか滅茶苦茶きつかったですね……絶望の起床と共に目の前が真っ白になる感覚を何度味わったことか……。

用語・人物解説

比企谷八幡

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  •  目が死んだ魚の目のようだと形容される捻くれた性格の男。
  • 性格が捻くれたのは過去のトラウマが起因している。これまでアニメで描かれたエピソードは『告白して振られた』『俺のことが好きなんじゃないかと勘違いして恥ずかしい思いをした』『メールを送ったが真面な返信を貰えなかった』『体育でペアを組む相手がいなかった』……というように数多く挙げられる。原作ではもっと細々としたトラウマエピソードが描かれる。
  • あだ名も『ひきこもり』『ひきがや菌』『あ、いたの?』など多数。
雪ノ下雪乃

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雪ノ下
  • 成績優秀、眉目秀麗の奉仕部部長。
  • 雪乃を上回る完璧超人の姉がいる。姉との関係性を匂わせる描写が、アニメでも原作でもときおり挟まれる。
  • 猫が好き。家で暇なときは、ネットで猫画像や動画を漁っているらしい。また、ペットショップでときどき姿を見せるもよう。
由比ヶ浜結衣

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由比ヶ浜
  • 奉仕部部員にして雪ノ下雪乃の友人。空気を読むことに長けている。
  • 入学式の日に、比企谷に犬を助けて貰った張本人。菓子折を持って比企谷家へと挨拶に伺ったのも彼女。
  • 学校でぼっちとして日々を過ごしている比企谷に話しかけることができず二年生になってしまった。その踏ん切りを付けるためにも、比企谷に渡すクッキーを作る依頼を奉仕部にも持ち込んでいた。奉仕部に比企谷がいたことは予想外だったようだが、結果オーライである。
川﨑沙希

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川﨑
  • 川なんとかさん、というように名前を間違えられるネタが登場のたびにされることになる美人。
  • 仕事で忙しい両親の代わりに、弟二人と妹の世話をしており、そのためか家庭的なスキルは全てカンスト。制服の着崩しも自分で裁縫してデザインしたもので、シュシュも自作。
  • 風呂から出た後は下着一枚で出歩くらしい。
川﨑大志

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川﨑大志
  • 小町の同級生で、川﨑沙希の弟。
  • 比企谷八幡のことを『お兄さん』と呼び慕っている。ゲームでは立ち絵が用意されておらず、ブログ主は少し悲しい気持ちになった。まぁ、誰も困らないのだが。もっというと彼は第二巻で初登場なのだが、その肝心の第二巻にて彼のイラストが存在しない。とくに活躍するということもないので仕方がないか。
  • 八幡のメールアドレスや電話番号は、小町が勝手に教えた。毎回、「お兄さんと呼ばれる覚えはない」「誰?」と言って無視する一コマが入ってくる。
カマクラ

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カマクラ
  • 猫、雑種。
  • 餌の時だけ甘えてくる気ままな奴。まぁ、猫はそういう奴である。
  • 小町は『かーくん』と呼んで可愛がっている。八幡も気が向いたときに可愛がったり餌付けしたりする。ちなみに家庭内カーストは八幡や父より上に位置している。

注目すべきポイント

重役出勤

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重役出勤

遅刻の言い訳として、重役出勤の練習を持ち出す比企谷。重役出勤という言葉には、時間に遅れた人間に対する皮肉めいた意味を込めているので、決して褒めるような言葉ではない。また、専業主夫を志す比企谷八幡には重役という言葉は似合わない。

「重役と社長は何か違うのだろうか?」と疑問に感じて検索にかけたところ、重役というのは本来『責任の重い役職』『株式会社の役員』のことを指すらしい。つまり意味としては社長も含めているようだ。

ここで川﨑沙希も遅刻してきた。

ちょっぴり顔が恐くて、ちょっぴり口調が強くて、黒いレースの下着を身につけ(?)、ちょっぴり不器用故にヤンキーと勘違いされがちなぼっちをしているため、遅刻をしてきたところで気にしている人はいない。実際は鋳物煮っ転がしが得意料理の家庭的な乙女なのだが。

受験を意識し始める季節

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テスト勉強

塾の掲示板を見つめる川崎沙希を横目に見つつ、夏期講習の資料集めの帰りに、テスト勉強をしていた由比ヶ浜結衣と戸塚彩加と雪ノ下雪乃の三人。この中で男は一人だけである。一見すると女子会のように見えなくもない。当たり前だが、比企谷八幡は呼ばれていない。

『風が吹けば桶屋は儲かる』という諺は、『ある事象が一見すると全く関係ないと思われる場所・物事に影響を及ぼすことの例え』である。この諺を説明しているWilipediaがけっこう面白かったのでお勧めしておきたい。

ソース:風が吹けば桶屋が儲かる - Wikipedia

千葉県は全国でも有数の農林水産物王国なので、ピーナッツだけの県ではない。野菜だけで『ねぎ、ほうれんそう、だいこん、にんじん、さやいんげん、えだまめ、かぶ、しゅんぎく、マッシュルーム、みつば、落花生』が第一位であるらしい。

ソース:ちばの農林水産物ランキング!(順位別)/千葉県

スカラシップというのは、一言で言うならば成績優秀者を対象に出される奨学金である。お金を出して貰える訳ではなく、授業料の免除という形ではあるが、あまりお金を出せないけれど勉強したいという学生に向けたシステムである。塾ごとに様々な形があるようなので、これから塾に通うという方は調べることをお勧めしたい。

比企谷八幡は、このスカラシップをとることを目指しているようである。理由は『その分浮いた金を自分の懐に入れるため』という不純なものであるが、息子が受験に向けた勉強が出来て親は安心、比企谷はちょっと多いお小遣いを貰えるということで懐が温まる。誰も損しない。

今回の依頼

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依頼人

小町は同級生の川﨑大志に相談を受けていた。その内容は『姉(=川﨑沙希)の帰宅が遅い』というもの。帰って来る時間はなんと午前五時。夜を越えて、もはや朝である。

そのまま学校へ向かうことになるが、川﨑家には弟が大志を含めて二人、妹が一人いる。彼・彼女達の世話というのも楽ではない。高校に重役出勤していまうのも無理はないだろう。

そんな姉のことが心配で小町に相談したということであるらしい。まぁ、忙しい両親には相談しにくいだろうし、中学の担任に相談したところでどうにかできるとは思えない。小町の兄が姉と同じ学校の生徒であるということは聞いていたようなので、その繋がりで解決していこうということらしい。

その話を聞いた奉仕部部長の雪ノ下雪乃。総武高校の生徒に関する依頼ということもあり、解決するだけの理由があると判断したようだ。

ここで小町が由比ヶ浜結衣に意味深な視線――「どっかで見覚えあるなぁ」という目――を向けていたことがポイントである。

作戦

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依頼対策会議

そんな川﨑沙希の問題を解決すべく編み出した作戦は三つ。

  • アニマルセラピー

動物との触れ合いを通した癒やしで、川﨑沙希が抱える問題を解消してあげることで依頼を遂行しようと考えた雪ノ下雪乃。そのために比企谷家のカマクラを持ってこさせ(実家の猫はこんなに大人しくない。少し羨ましい)、川﨑沙希に拾わせるようと考えたらしい。しかし、川﨑沙希が猫アレルギーということが判明し失敗。

  • 教師に相談

両親に相談しにくいことも、別の大人であれば相談しやすいのでは? ということで平塚先生に声をかけてもらうことにした奉仕部。「誰にも迷惑かけてないだろ」という川﨑の台詞に対して、「これからかけることになるかもしれない」と正論で返す先生。しかし、未だに結婚できていないことを突っ込まれて膝から崩れ落ちていく。

何も悪いこと言っていないのに可哀想な先生……こんなこと言われてもキレない先生は大人だな、と思うブログ主であった。

  • 恋は人を変える

「恋は人を変える」と頬を赤らめながら告げる由比ヶ浜結衣。その作戦遂行のため、頼られたのは葉山隼人。その甘いイケメンフェイスにかかれば彼女もイチコロ……ということもなく、呆気なく轟沈した葉山。

店の特定

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エンジェル

大志から『姉は名前にエンジェルがつく店で働いている』という情報を得た。その店の中で、朝五時まで働くことができる店は、千葉県内に二つしかない。その二店に潜入して調査することになった。

その内の一つはメイドカフェ。ちなみにブログ主はメイドカフェに行ったことはない。田舎過ぎて需要がないためである。常々、人生で一度位は行ってみたいと思っている。ご主人様と呼ばれてみたい。

ちなみにメイド服というのは、ピナフォア(エプロンドレスとも言う)という西洋の女性用エプロンの一形式の一つで、メイドの仕事着を模した衣装のことを指すらしい。メイド服とゴスロリを同一のものではない。

有能な雪ノ下の調査により、その店で川﨑沙希は働いていないということが分かった。もう一つの店は、ホテル・ロイヤルオークラの最上階に位置するバー『エンジェル・ラダー 天使の階(きざはし)』。

エンジェルラダーという水晶があり、光を当てると青い光の筋が出てくるということでパワーストーンとして有名(ちなみにブログ主は知らなかった)。

それなりのドレスコードが要求されるらしく、戸塚と材木座は入れないようだ。

川﨑沙希のバイト

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バー

お洒落なバーに来てみると、そこで働いていた川﨑沙希。

雪ノ下と由比ヶ浜はペリエを注文(ペリエとは天然炭酸水である)。八幡はMAXコーヒーを注文しようとしたが遮られ、ジンジャーエールを注文される。

十八歳未満は午後10時から午前5時までの間は働くことができない.これほどのバーがそのような基本的な法律を破るとも思えない.つまり川崎沙希が年齢を偽っているのでは? と推測する雪ノ下。

ただそのように言うのではなく、シンデレラの魔法に例える辺り頭の回転の高さがうかがえる。

そんな言葉に対して、「雪ノ下の父親が県議会議員なんでしょ」と家庭の事情を持ち出す川崎。雪ノ下達も、家庭の事情に首を突っ込んでいると言えるので、ある意味お互い様ということか。

空気が悪くなり、去っていく奉仕部。比企谷だけが、川崎に一言言い添えて。

真相と解決

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集合

川崎沙希がバイトをしていた理由を説明する比企谷八幡。どうやら自分が夏季講習に通うための費用を稼ごうとしていたらしい。前半で塾の掲示板を川崎沙希が見つめていたことや、進学校なので受験を意識しだすという話は伏線だったというわけだ。

家族に心配をかけたくないという優しさからの行動だったわけだが、弟がわざわざ小町伝手で奉仕部に依頼したように、結局のところ心配させてしまっている。小町が語る『兄は早く帰ってきてくれた』というエピソードは、心配させるという状況を、寂しいという想像しやすい言葉に言い換えている。

そんな川崎沙希の状況を解決するために、スカラシップの存在を教えてあげる比企谷八幡。真面目な彼女ならば、支援を受けるための条件を達成させることもできるだろう。

優しい女の子は嫌いだ

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やさしさ

比企谷の言うところの優しい女の子は、由比ヶ浜結衣のことだろう。勘違いしないために捻くれてしまった八幡は、自分と仲良くしてくれる彼女の心理を、『自分のせいで怪我させてしまったことからの同情』だと決めつけて距離を取る道を選んだ。

由比ヶ浜の小さな「馬鹿」は、そんな決めつけをする八幡に対してか、いつまでも助けてもらったことを伝えることができなかった自分に対してか、はたまたその両方か。こうして生じたすれ違いが、奉仕部の関係性にどのような影響を与えるのか。見ものである。

最後に

2020春アニメの「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」も同時進行で感想記事を書くことになってしまいました。もしよければ、そちらの記事も見ていただけたら幸いです。

今回で第二巻の内容も終了。細かなシーンは省かれていますが、物語の大筋は変わっていません。どこからどこまで情報を書けばいいかで難儀しながら書き進めております。また、これまでの記事と比較して画像は少なくしました。これまでの記事も、少し画像を削っております。

【前:第四話】【第一話】【次:第六話】
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【アニメ】「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」第一話【感想・解説】

【前:な し】【第一話】【次:第二話
2020春アニメ化リスト

 

まず最初に

「はめふら」という通称で愛され、元は『小説家になろう』にて連載されていた本作。正直言うと、全く目を付けていないアニメだったのですが、見てみるとこれが面白い。となると、これまで通り「感想・解説記事を書かねば」という誰も求めていない使命感に駆られ、アマゾン先生に原作を注文。読み込みと記事の作成を同時進行で進めていきます。

用語・人物解説

カタリナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • クラエス公爵の一人娘。きつめの容貌(悪役顔)の持ち主。前世の記憶を取り戻したことで、我が儘令嬢から野性味あふれる問題児こと野猿へと成長(?)を遂げた。天然のたらしとしても立派になってしまって……。
  • 前世では普通のサラリーマンとパート主婦の三番目の子として生まれた。女は一人だったのでそれなりに可愛がられたらしい。小学生の頃は、兄二人と野を駆け回り、中学にてオタクの友人ができオタク海道をまっしぐらに走ることになる。死ぬ前には友人に薦められた乙女ゲームにどっぷりはまっていた。
  • 操る魔力は土。実力は平均か、それ以下。 
ジオルド・スティアート

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 王国の第三王子。カタリナの婚約者。
  • 金髪碧眼の正統派王子だが、実際はドSの腹黒王子。なんでも簡単にできてしまう天才肌。何にも興味を持てずに退屈な日々を過ごしていた。
  • 操る魔力は火。
キース・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  •  カタリナの義理の弟。クラエス家の末端の分家にて、当主であった父親と娼婦であった母親との間に生まれる。しかし母親が娼婦であったことから蔑まれ、他の兄妹達からは虐められる。そんな中、彼の魔力の高さを聞きつけたクラエス公爵が養子として引き取る。
  • ゲーム内では義姉(カタリナ)や義母(カタリナの母)に冷たくあしらわれ孤独な幼少期を過ごす。その反動で愛情を求めるように、ふらふらとしたチャラ男に成長。しかしカタリナ(野猿モード)の場合には……。
  • 扱う魔力は土。そうとうに強い。
ルイジ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • クラエス公爵家当主。有能。
  • きつめの顔立ちが好みであるらしく、それは妻を見て貰えば分かるだろう。また、カタリナ・クラエスのことは世界一可愛い娘として溺愛している。お陰様で我が儘放題の悪役令嬢に育ってしまった。まぁ、野猿がインストールされたことで立派なたらしへと成長を遂げたが。
  • 昔はかなりの色男でモテモテだった。彼との結婚を希望する女性は星の数ほどいたのだという。
ミリディアナ・クラエス

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • クラエス公爵家当主の妻。
  • クラエス家と同等の身分があるアデス公爵家の次女だったが、釣り目ときつめな容姿に加え、人見知りだったことで縁談がなかなか決まらなかった。そんな彼女を引き取ったのがルイジだった。
  • ゲームでは、キースはルイジと愛人の間の子供だと誤解し、カタリナと同じようにキースを冷たくあしらっていた。カタリナ(問題児)と変わったことにより、夫婦間の問題も大きく解消されていくことになる。
アン・シェリー

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • アンが十五歳、カタリナが八歳の頃から仕えるメイド。野猿の行動にはたびたび振り回される。
  • シェリー男爵とその使用人であった母との子供であり、男爵家の離れにある小さな屋敷で育った。ある日、そんな離れで起こった火災が原因で背中に酷い火傷を負い、政略結婚の道具として使えないとして屋敷を追い出された。
  • 彼女もカタリナ(自動救済ウーマン)により救われた人間の一人。詳しくはどこかでまとめておきたい。
FORTUNE LOVER

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
  • 中世ヨーロッパ風の剣と魔法の国で、魔法の学園を舞台に魔法を学び、恋を育む王道の乙女ゲーム。
  • 貴族の身分を持つ者の中に、魔力を持つ者が生まれることがある。平民の中ではごく稀にしか生まれない。そして、魔力を持つ者は十五歳になると魔力を使えるようにするために学園へと集められる。主人公である少女マリア=キャンベルは平民であるにも関わらず、魔力をもつ希有な存在として学園に入学する。
  • 魔力は『水・火・土・風・光』に分けられている。一番多いものが土、続いて風、水、火、光と続く。なお、光の魔力が一番強く希少価値が高い。マリアは光の魔力の持ち主であった。実はもう一つ隠された魔力属性があるのだが……。

注目すべきポイント

前世の記憶が……

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

クラエス公爵家が、城に初めて娘を連れてくるということで、娘の相手を任されることになったジオルド王子。甘やかされて育った令嬢は他人の迷惑というものを考えず付きまとい、べったりし過ぎた挙げ句にずっこけ額が割れることとなる。

この怪我が原因で、前世の記憶を取り戻して天然タラシの野猿としてジョブチェンジを遂げた。ここでは『前世の記憶』と『カタリナ視点』と『ジオルド視点』の三つの観点で解説を行っていく。

  • 前世の記憶

原作はこの前世の記憶というものが1Pにも満たないシーンとして描かれていく。明け方近くまでゲームをしてしまったことにより寝坊、自転車で急いで学校に向かう途中、急ぎすぎたことにより停止させることができなくなっていた自転車は、そのまま交通量の多い大通りへと突っ込んでいった。これが死因である。

原作では事故死する数日前に、友人(=あっちゃん)に薦められて購入した『FORTUNE LOVER』を連日連夜プレイしていた。かくいう運命の日の夜も例外ではなく、ジオルド王子をとのハッピーエンドに向けて悪戦苦闘していたようだ。死の間接的原因となったゲームの世界に転生してきたということである。

  • カタリナ視点

額が割れたことにより前世の記憶を取り戻した彼女は、五日間ほど知恵熱でうなされることになる。そしてこれまでの我が儘放題の性格とは打って変わって、落ち着いた(?)性格へと変貌を遂げた。メイドも母親もその変貌に戸惑い心配しながらも、喜びを隠せずにいるらしい。

……まぁ、問題児っぷりには相当な磨きがかかることになるが。

ということで精神年齢は十七歳になったカタリナ。いつも重要な話を、脳内会議その他によって聞き逃すので、ジオルドが婚約の話をしているとも知らずに適当に承諾してしまう。この聞き逃しはテンプレなので、今後も度々同様の展開が引き起こされる。野猿は学習しない猿であった。

  • ジオルド視点

次期王位というものに興味なく、剣術や学問もそつなくこなす日々に退屈していたジオルド王子。彼の二人の兄が結婚や婚約をしたことにより、「次は第三王子にお相手を」ということで、近頃の娘が婚約者候補として多数名を連ねる。

適当に誰かと婚約することで面倒な婚約者候補の斡旋を逃れようと考える。しかし誰でもいいという訳ではない。貴族社会には第一王子派閥と、第二王子派閥ができあがりつつあり、どちらかに所属する貴族令嬢と婚約した場合、その派閥争いというものに巻き込まれ面倒なことになる。となると、可能ならばどちらの派閥にも所属しない中立派の貴族令嬢と婚約したい。

そこで都合良く現れたのが、勝手にずっこけて額に傷を作ったカタリナであった。クラエス公爵は、どちらの派閥に所属していない中立であるため都合が良い。また、額に傷ができてしまったことで無理矢理にでも婚約を迫ってくるかもしれない。頭も悪そうなので適当にあしらうこともできそう。

……と八歳にしてここまで色々なことを考えていたジオルド王子。流石は腹黒ドS王子と呼ばれるだけはある。

しかし予想外にもカタリナに野猿がインストールされてしまった。貴族令嬢でありながら額の傷を気にする様子もなく、自身の無礼をわびるということまでし出す始末。これでは婚約する気でいた出鼻が挫かれる形になる……ということで話を聞いていない様子のカタリナに婚約を承諾させた。どうやら変化を遂げたカタリナに対して興味を抱いたようだ。

ゲームの世界だった!?

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

ここでカタリナ気付く。もしや、この世界は『FORTUNE LOVER』の世界なのではないだろうか? と。

用語・人物解説に羅列したゲームの情報を、図書館に行って書物を読みあさったり、メイド達に問いただすことで確認。その行動の熱量や突飛のなさはメイドや両親を困惑させることになる。

またカタリナのゲームでの扱いから、自分が破滅エンドへと向かっている(実はもう回避しているが)ことを悟る。ここではジオルドルートの『ハッピーエンド』と『バッドエンド』の二つについて解説していく。

  • ハッピーエンド

主人公に対して犯罪紛いな嫌がらせをしていたことから犯罪者となり、身分剥奪の上、国外追放される。その後、主人公はジオルドと結婚する。

  • バッドエンド

嫉妬から主人公をナイフで襲おうとし、逆にジオルドに返り討ちにあって斬り殺される。主人公を守るためとはいえ、婚約者を手にかけたジオルドは国外へと旅立つ。

……つまりどう足掻こうと破滅。

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
対策会議

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

五等分の猿知恵、猿卓会議などと呼ばれるカタリナ脳内会議が開催され、破滅フラグを回避すべく作戦を立てる。三人寄れば文殊の知恵と言うのだし、五人寄ればさぞ素晴らしい案が出てくることだろう……という発想は捨てた方が良い。三人寄れば文殊の知恵というのは三人それぞれが違った視点で問題に対する意見を出すから意味があるのであって、無能が三人集まろうが無能であることに変わりはない。

この会議における議題は『ジオルドと婚約してしまったことにより生じる破滅フラグを回避するための作戦を考えること』である。しかし残念ながら、この議題からして間違いである。

ゲームではカタリナから無理矢理な形で(まぁ、ジオルドの計算通りだが)婚約を結ぶことになった。しかし、現実ではジオルドからカタリナに対して興味を持った上で婚約を迫った。もう既に状況は変化しているのだが、カタリナ(鈍感)がそのことに気付くはずもない。とりあえず議題に関して会議を進めていく。

破滅フラグ回避のため出た案は以下の三つ。

  • 婚約を破棄する

婚約することが破滅フラグなら、そんな婚約さっさと破棄してしまえという案である。しかし、両親はとても喜んでおり(パーティを開こうとしたが、カタリナが断った)、というか王子から申し込まれた婚約を一方的に破棄することなんてできるのだろうか。いや、できない。

  • 学園に行かない

そもそも学園に行かなければ破滅フラグなんて発生しようがないという案。しかし五歳にして『地面の土を二、三センチほどボコッと動かせる魔法』(略して土ボコ)という何に使えば良いのか良く分からない魔法を使えるようになってしまったため、学園に行くということは義務として課せられる。学園に行かないという選択肢は存在しない。

  • 剣術と魔力を鍛える

強くなっちゃえばジオルドに殺されることもなく、国外追放になっても上手く生きていけるのでは、という案である。ゲームではジオルドを追っかけてばかりで勉強なんてしておらず成績も悪かったため、これから努力すればそれなりに強くなるのでは? という期待もあって、この案をカタリナ(努力の方向性を間違える人)は採用した。

剣術と魔力の特訓

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

公爵家ということもあり、剣術と魔力の優秀な先生を頼めば付けて貰うことになったカタリナ。今後、「勢いだけは良い」という評価を受けることになる剣術に関しては、順調に特訓を重ねることになる。

問題は魔力。入門書を読むと『魔力を高めるためにはまず、己の魔力の源と対話が重要となる』と書かれていた。

カタリナの操る魔力は土。

つまり土と対話しなければいけない(ここが間違い。己の魔力の源=土という等式は成立しない)。

土と対話するということは畑作り(良く分からないが、間違っていることは分かる)。ということで畑作りに勤しむこととなる。

作業着を庭師から受け取り、土を耕すカタリナ。

ジオルド王子が改めて婚約の挨拶にやって来た時も、メイドや母親は『カタリナが真面目に魔力磨きの特訓をしている』と思っているため、ジオルド王子にもそのように説明。せっかくなので特訓を見たいというジオルド王子を連れてきたら、畑を耕している娘に遭遇した母親には同情しよう。

この変わり者ぶりがジオルド王子の心にクリティカルヒット(心の中では爆笑)。カタリナに対して興味を持ち、さらに熱心に家に通い詰めることになることを、このときのカタリナは知る由もない。

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
キースという名の破滅フラグ

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

キースという名の破滅フラグとの出会いである。ちなみに、この出会いシーンにて父は『キースは魔力を暴走させるので使わないように約束していること』をきっちり説明しているはずなのだが、カタリナは脳内で色々なことを考えてしまっているため聞こえていない。

ここでも『カタリナ視点』と『キース視点』の両面での解説を行っていきたい。

  • カタリナ視点

キースもゲームにおける攻略対象であり、ハッピーエンドとバッドエンドが存在する。ハッピーエンドでは『犯罪行為を咎められ国外追放』、バッドエンドでは『主人公を守りきることができなかったキースが絶望し、カタリナを殺害し姿を消す』という内容になっている。つまりはジオルドの時と同様、国外追放か死という破滅という結末が待っている。

それを回避するため、彼を孤独にしないことを考える。ゲームでは母親とカタリナに冷たくあしらわれ、その孤独を埋めるようにチャラ男となってしまい、主人公にも恋をすることとなるのだ。初めてまともな案が出た瞬間である。

キースに自分のことを姉様と呼ばせ、家を案内すると言って、カタリナが作った畑だったり、魚釣りをし過ぎて生態系を壊しかけた小川だったり、大きな猿が頻繁に目撃されることになる大木だったりを紹介する。

大木では木登りをしたことのないというキースに、木登りを教えてあげようとするカタリナ。しかし猿も木から落ちるという諺もあるように、カタリナは尻から落下。キースを殺害……ということはなかったが、少しばかり傷を負ってしまう。

普通、貴族の令嬢には常にメイドがついて回るのだが、カタリナの場合、普通じゃないのでついてこないで欲しいというようにお願いしている。そのため、わざわざ屋敷まで全速力で走ってメイドを呼びに行っていた。

  • キース視点

キースは娼婦の息子ということもあり、兄弟達には虐められてきた。そのためカタリナという義姉にも、最初は距離をとって関わらないようにするつもりであった。姉様と呼ぶことにも抵抗や恐怖心があったのだろう。

しかし、貴族とは思えないような行動――畑作りや釣り、木登り――に対して、そういった恐怖心というものは薄れていく。木登りからカタリナから落ちた際にも、彼女を受け止めるために下敷きになるような心優しき彼を、この世界で初めて受け入れてくれたのは悪役令嬢のカタリナであった。心配して涙を流し、彼を強く抱きしめてくれた彼女に心を許すのも時間の問題であった。

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
カタリナ家離婚騒動

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

アニメではざっくりとカットされたエピソードとして、カタリナ家離婚騒動というものがある。この騒動を説明するためには、ミリディアナとルイジの間にある誤解について説明しなければいけない。

まずミリディアナとルイジはそれぞれ、(相思相愛にも関わらず)互いに好きでもない相手と政略結婚させられたと思っている。つまり、ミリディアナは「ルイジのことは私のことなんで好きじゃないのに結婚してくれたのね……」と思っているし、ルイジは「好きでもない私のような男と結婚させてしまって申し訳ない」と思っている。

キースが養子として貰われた時、メイド達の間で「キース様はルイジ様と愛人の子供なのでは?」という噂が流れる。目の色や髪色から、そのように疑ってしまったようだ。その根も葉もない噂をミリディアナは信じてしまったのである。ゲーム内でミリディアナもキースに対して冷たくあたってた理由についても、これで説明がつく。

そんな疑惑や苛立ちが、キースを尻で怪我を負わせてしまった騒動で爆発。ルイジにこれ以上迷惑は掛けられないとして家を飛び出そうとする。そこでルイジも気付く、「あぁ、ミリディアナは私のことが好きで結婚してくれたのだな」と。これまで二人の間に足りなかったのは会話だったのだろう。

こうして離婚の危機は回避され、夫婦の仲がこれまで以上に円満となった。意識せず破滅フラグを遠ざけていた。

キースの過去

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

畑仕事は土の魔力を高めることに繋がりませんよ、と魔術の先生に言われたカタリナ。趣味として畑仕事は続けるとして、キースに土の魔力を少しばかりみせてもらうことに。

どうやらキースは土の人形を作り出し自在に操ることができるようだ。ちなみに、この世界の魔法は繊細な技術が要求されるらしく、前世で野猿と称えられ、未だに魔力の源と対話することができていないカタリナには少しばかり難しい。

しかしキースの土人形の魔法を使えるようになれば、国外追放されても仕事はいくらでもできそう。そこで畑作業を行えそうなくらい大きな土人形の魔法を見せてもらうことにした。ここでのポイントは、魔法を使うことに抵抗があるキースである。

心優しきキースが姉の屈託のない笑みに逆らえるはずもなく、三メートルほどの土人形を操ってみせる。そしてそれに突っ込んでいくカタリナ。そのままの流れでぶっ飛ばされていくカタリナ……。

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会
キースの過去

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

娼婦の息子ということで兄弟達に虐められていたキース。そんな兄弟が木の上に巣を作った鳥を虐めていた。怒りは暴走した魔法として現れ、兄弟達に深い傷を負わせる。

この事件がトラウマとしてキースの心に残っていた。だからこそ、父とは魔法を使わないというように約束していたし、カタリナには魔法を暴走させないために使わないようにしていることは説明されていた(聞いているとは言っていない)。

今回のカタリナが負傷した件についてもキースは責任を感じていた。全ては自分の責任です、と深い反省の色を示した。それで納得いかないのがカタリナである。

眠らされていた布団を飛び出し(原作では次の日、朝食になっても来ないキースの部屋へと向かった)キースの部屋へと向かった。部屋に閉じこもり、自ら孤独の道を辿ろうとする。これもゲームとしての破滅フラグへ向かわせようとする強制力なのだろうか。

カタリナとしては命が懸かっている。キースを何とかして部屋から出して謝ろうとするが、合鍵は彼が部屋に持ち込んでしまっているらしく、入る手段がない。そこでカタリナが持ち出したのが、ホラゲ-ではお馴染みのマスターキーこと斧である。

シャイニングを彷彿とさせる扉こじ開けにより、中に入ることに成功したカタリナ。見事な土下座、「恐くなんてない」「ずっと一緒よ」という台詞がキースの心にクリティカルヒット。ものの見事にキースを孤独から救い出し、無事に立派なシスコンへとジョブチェンジさせてしまった。鬼のような形相の母親に怒られるというオチもつけ、第一話は終了である。

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

最後に

過去最長の文章量になってしまいました。お陰様で休日丸一日を費やしました。まぁ、楽しかったんでいいんですけどね。割の良い趣味だと思っているのですが……ふむ、どうなのでしょう?

【前:な し】【第一話】【次:第二話
2020春アニメ化リスト

ブログ主が書いた一巻の感想はこちら

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【アニメ】「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」第四話【感想・解説】

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まず最初に

八幡の妹である比企谷小町が登場し、葉山隼人の人となりが何となく分かっていく第四話。取り扱っていく事件内容はかなりリアリティのあるものでしたが。詳しくは記事内にて。

千葉の兄妹といえば、こう、いろいろと脳裏をよぎる作品がありますね……ブログ主だけでしょうか……。

用語・人物解説

比企谷八幡

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  • 希望する職業は『専業主夫』。彼曰く、幼女が「お嫁さんになりたい」と願うのと理屈は同じであるらしい。頑張って『ハイパー専業主婦』を目指して欲しい。
  • 入学式の日、楽しみ過ぎて一時間前に学校に向かう途中で、犬を助けるために道路に飛び出し事故にあう。お陰様でぼっち確定である。
  • 入院中に犬の飼い主がお礼を言いに来たらしいが……さて、誰やったんやろうなぁ……。
雪ノ下雪乃

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  • ディズニーキャラではパンさんが一番好き。パンさんの最新映画はちゃんと見ておりblu-rayも購入済。知識量も尋常ではない。
  • ディズニーの年間パスポートを持っている。千葉県民として持っているのは当たり前であるらしい。
  • 八幡曰く『例えるならばデザイン性も機能性も高いハイスペックPCだが、キーボードとマウスがない』 女性であるらしい。
由比ヶ浜結衣

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  • 夏休みに旅行するならオーストラリアに行きたいらしい。ちなみに日本が夏だとオーストラリアは冬であるが、彼女はそのことを認識しているのだろうか。ちなみに「(海外旅行に行きたいなら)パスポートは持ってるの?」と訊ねられ、「ディズニーの年間パスポートなら持ってるよ」と元気よく答えてくれた。
  • ディズニーキャラで一番好きなキャラはパンさんであるらしい。映画もかかさずに見ている模様。
  • メールの名前はまるでスパムのように☆★で装飾されている*1本文にも句点の代わりのように絵文字が多数使われていた(´,,•ω•,,`)
比企谷小町

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  • 八幡の妹、中学生。生徒会に所属。八幡の通っている総武高校を受験予定。
  • 誕生日3月3日。友人に祝われたことのない八幡とは違い、普通に友人達に祝われているらしい。兄のような死んだ魚の目は引き継がず、可愛らしくなってしまった。また、怠惰な兄の世話や、ほぼ家にいない両親のために家事スキルは高い。
  • 八重歯好き。
葉山隼人

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  •  八幡のクラスメイト。人気者。サッカー部。
  • 比企谷八幡のことを、「ひきたに君」と呼ぶ。ちなみに比企谷は「ひきがや」と読む。
  • 成績はずっと二位。ちなみにずっと一位は雪ノ下雪乃である。
海老名姫菜

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  • 腐女子、つまりはBL好き。隠す気はない。
  • 顔が良く、距離感も近いため男子からはそこそこ人気。たびたび三浦の元に「紹介して欲しい」というお願いが来るほど。
  • クラスの男子の関係からも妄想を膨らませることができ、たびたび葉山や戸塚や八幡が被害に遭う。

注目すべきポイント

妹を乗せての通学

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

比企谷八幡の妹である比企谷小町の登場である。ちなみに自転車の二人乗りは、道路交通法57条2項「公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、軽車両の乗車人員又は積載重量等の制限について定めることができる。」に基づいて、それぞれの都道府県の公安委員会が定める道路交通規則にて違反と定められている。念のため千葉県の道路交通法規則を調べたが、ちゃんと違反になっていた。良い子のみんなは二人乗りをしないようにしよう。

また平成二十年度から道路交通法の改正により、十三歳未満の子供にはヘルメット着用の努力義務があると定められた。大抵の中学は、自転車通学者にはヘルメットの購入が義務化されていたりする。ヘルメットを被らない辺り、小町はおそらく徒歩通学なのだろう。

また妹との話の中で、入学式で事故にあったことが語られる。

事件の内容としては『楽しみすぎて一時間前に家を出て、車道に飛び出した犬を庇って車に轢かれる』というもの。専門家ではないが、映像を見る限り自転車に乗っていた比企谷が信号も標識もない車道に飛び出して轢かれたというように見える。八幡の過失ということになるのではないだろうか。誰か専門家がいたら教えて欲しい。

犬を庇ったという都合もあるので、互いに話し合っての示談があったのかもしれない。

それにしてもお礼にお菓子を持ってきたという飼い主は一体誰なんやろなぁ……。

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
平塚先生による有り難い説教

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

職業体験の学習に合わせて、希望する職業と職場、その理由を尋ねられたらしい。捻くれ者である比企谷八幡が選択した職業は『専業主夫』で、職場は『自宅』。共働きが主流となりつつある昨今において、『専業主夫』という夢は相当に狭き門であるような気がしないでもない。しっかり家族を養えるレベルの給料を安定して稼いでくれる女性……平塚先生なんてどうでしょう?

「古人曰く、働いたら負け」であるらしい。古人というのは、その字面通りに「昔の人」という意味であり、有益な言葉を残した人に対して使われることが多い。「働いたら負け」という言葉が有益かどうかはさておいて、この言葉の元ネタは「とくダネ!」におけるニート特集のインタビューで飛び出した台詞である(ソース:働いたら負けかなと思ってるとは (ハタライタラマケカナトオモッテルとは) [単語記事] - ニコニコ大百科)。デレステの双葉杏が着ているシャツに書かれた台詞としても有名。

説教の最中、平塚先生により『撃滅のセカンドブリッド』を喰らう。この元ネタはスクライドの主人公カズマが扱う能力、第一形態時の二発目の掛け声である。現在はdアニメストアで視聴可能(2020/5/4現在)。

メアド交換

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

奉仕部に行くと由比ヶ浜結衣に詰め寄られメアドを交換することになる。由比ヶ浜結衣が使っている携帯はガラパゴス携帯である、スマホが登場してからというもの見かけることは少なくなってしまった。ちなみにブログ主が人生で初めて所持した携帯は、ガラパゴス携帯である。

というかメアドを親しくなって交換するということも、もう珍しいのではないだろうか。LINEで「ふるふるしよ」とか「QRコード見せて」とか言うのである。某感染症により在宅を余儀なくされた面々は、SlypeやZoomで連絡を取り合うということも多くなってきた。連絡先を交換するということ一つとっても時代の移り変わりを感じられる。

八幡は中学時代にも女子とメールをしていたことがあるらしい。エリートぼっちらしからぬ発言に驚きを隠せない由比ヶ浜結衣。思わずスマホを落としてしまう。スマホは角から落とすと液晶が割れることが多々あるので、液晶カバーを購入し貼ることをおすすめしたい(体験談)。

まさか八幡が自ら積極的に女性のメアドを聞きに行ったということがあるはずもなく、クラスメイトだから仕方がないね……というような諦観と共に得たメアドであるらしい。悲しい。

そして送ったメールは「ごめん、寝てた」という一言で無視される。もしかしたら返信を待たせることでドキドキさせるという高等技術……なはずもない。ただ「面倒くさいからこいつのメールは返さなくていいや」ということで、優先順位の最下位に追いやられただけである。泣きそう。

葉山からの依頼

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

人間を信じるということをギャングから学び、セリアAの選手に憧れるよりもギャングスタ-に憧れそうな(元ネタ:『ギャング・スター』にあこがれるようになったのだ! (ぎゃんぐすたーにあこがれるようになったのだ)とは【ピクシブ百科事典】)葉山隼人が一人で奉仕部に依頼しにやって来た。

その依頼内容は『チェーンメール事件を解決してほしい』というもの。

チェーンメールとは受信した相手に対して他者への転送を促すようなメールのことを指す。「このメールを四人以上に転送しなければ、あなたに不幸が訪れます」というような不幸の手紙を懐かしいと思う方もいるのではないだろうか。

今回の話はそう単純な内容ではない。どうやらチェーンメールによって、葉山の友人である戸部、大岡、大和の三人に関する悪い噂が広がるようになっていたのだ。

葉山曰く、ノリの良いムードメーカーである戸部(雪乃曰く、騒ぐだけしか能のないお調子者)は『稲毛のカラーギャングの仲間で、ゲーセンで西高刈りをしていた』という噂が流され。

葉山曰く、寡黙で慎重な性格の大岡(雪乃曰く、反応が鈍いうえ優柔不断)は『三股かけている最低の屑野郎』という噂が流され、

葉山曰く、上下関係にも気を配って優しい大和(雪乃曰く、人の顔色を伺う風見鶏)は『練習試合で相手校のエースを潰すためにラフプレーをした』という噂が流された。

どれもこれも結構にえげつない内容が書かれている。しかしきちんと学校に来ている辺り、庇ってくれる人がいるのか、根も葉もない噂だという証明が行われているのか……おそらく葉山が何とかしているのだろう。その葉山シールも無敵ではないだろうし、そろそろ根本的な解決というものを目指し、奉仕部に来たのだろう。

しかし、その解決法には少しばかりの齟齬がある。

雪ノ下雪乃は自身の経験上、班員を炙り出し再起不能に追いやろうとしているようだ。チェーンメールの犯人なんて、どのように炙り出したのか気になる所である。

葉山隼人はその優しさ故に、騒動を大きくせずに事態の収拾を図ろうとしているらしい。

原因と調査

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

原因は『職業体験のグループ分けによる仲間割れ』だろうという判断が下された。職業体験では三人でグループを組まされることが決定しているということらしい。このままでは、葉山と、大岡と大和と戸部の中の二人を合わせた計三人によるグループとなり誰かが仲間はずれになる。

それを避けるために、三人の内の誰かをドロップアウトさせるために、三人の内の誰かが悪い噂を流したのだ。自分の噂まで流す必要はないだろうと考える方もいるかもしれないが、それだと「私が犯人です」と名乗っているようなものなので逆に不利になるのだ。

さて問題は、三人の中で誰が犯人なのか?

調査のために由比ヶ浜結衣が奮闘する。方法はクラスの人間関係に敏感な女子の意見を聞くというもの。聞く相手は三浦優美子と海老名姫菜。ともに(特に海老名)はキャラが濃すぎる故に失敗。それにしても彼女が気になっているという男子はいったい誰なのだろうか。

そして比企谷八幡にバトンタッチされることになる。戸塚彩加との談笑を楽しみつつ、毎朝味噌汁を作って欲しいという告白を交えつつ、横目に葉山隼人達メンバーを観察したところ、解決方法に気付いてしまった。

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
解決方法

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

友人の友人との間にあるという独特な気まずさを、三人の間に感じ取った八幡。なるほど。これまで話を回してくれた中心人物たる葉山隼人がいたからこそ、三人は一見すると仲良くしていたように見えたということなのだ。

だからこそ三人の願いは共通して『葉山君とグループになりたい』というもの。グループからつまはじきにされたくないという心情の表れなのだろう。

それを解消する方法は簡単。葉山の方からグループには入らないと断言して貰えば良い。最初は驚く三人だったが、自然と距離を詰め仲良くなっていったようだ。誰も傷つくことのない最小の解決策であった。雪ノ下雪乃も葉山隼人もこれで満足したことだろう。

そうして一人つまはじきにされた葉山隼人は、八幡と戸塚と共にグループを組むことになる……が、世の中そう簡単に上手くいかないものである。ぼっちはどこまでいってもぼっちなのだ。

最後に

過去に一度見たことがあるアニメなのですが、当時見た時とはまた違った感想を抱きつつ、記事作成も楽しみつつ行えています。自分語りはしないように努めていますが、感想ということなのでどうしても入ってきてしまいますね。お許しを。

第二期の方も少しずつ準備していますが、もう少しお待ち下さい。三期が始まるまでには全て書き終えたいのですが……頑張ります。

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【2013春アニメ化リスト:作成中】

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ブログ主が書いた一巻の感想はこちら

*1:`・∀・´

【アニメ】「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」第三話【感想・解説】

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まず最初に

この第三話にて第一巻の内容は終了。特段省かれたエピソードもなく、きっちりアニメ化できたのではないでしょうか。キャラデザも癖があって好きです、賛否両論はあるでしょうが。

そして迎えるテニス回。こう聞くと派手なアクションシーンというものを期待する方が、この世界に一人くらいいるかもしれないが、残念ながらそんなものはない。頭が痛くなるような頭脳戦を期待するような方が、いる可能性がなきにしもあらずな訳だが、そんな展開も存在しない。

用語・人物解説

比企谷八幡

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  •  誕生日は8月8日。夏休みなので友達に祝われたことは一度もない。代わりに呪われたことはある。
  • 特技はクイズやなぞなぞといった一人できるもの、と独り言。ゲーム実況でもしたらウケるかもしれない。
  • 趣味は読書。休日はだらだら読書して、だらだらテレビを見て、だらだら寝ている。
雪ノ下雪乃

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  • 誕生日は1月3日。冬休みなので同級生に祝われた経験はない。
  • 特技は炊事洗濯掃除家事全般合気道。なんか詠唱でありそう。
  • 趣味は読書、八幡と一緒だ。休日は読書と映画鑑賞をして過ごす、ブログ主と一緒だ。
由比ヶ浜結衣

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  • 誕生日は6月18日。奉仕部の他の面々と違い、祝われないということはない。
  • 特技はメールとカラオケと人に合わせること。メールが得意とは……? 文章力的な意味……いや、それはないか。
  • 趣味はカラオケと料理(という名の炭作り)。休日は友達とカラオケ、友達と買い物、友達とプリクラ、友達とまったり。
戸塚彩加

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。
  • 卒業アルバムに書いた将来の夢は『看護師』。ナース服を着て欲しい。
  • 信条は『初志貫徹』。このまま看護師を目指して頑張って欲しい。
  • 将来のために努力していることは、『男らしく振る舞えるようにすること』。そう彼女……ではなく彼は男である。平塚先生には『ずっと可愛いままでいてください』と言われてしまっていた。

注目すべきポイント

ぼっち体育

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

体育の授業で発生する「はい、ペアつくってー」という悪魔のようなイベント。友達どころか知り合いすらいない八幡にとっては乗り越えるのも至難の技……かと思いきや、さすがはぼっち歴早数年のぼっちのプロ。しっかりとした策を持っている。

体育教師に「体調が悪いので、壁打ちしてます」と告げる八幡。適度に体育をサボりつつ、教師にやる気はあるというように見せかける。頭の使い方をコミュ力に振ればいいのにと思ったのは自分だけだろうか。

ちなみに教師は結構こういう学生のサボりは気付いているものであるらしい。教卓の前から見ると、眠っている学生は丸見えで、内職は動きで何となく分かるものだと、教職を取って教師になった友人が語っていた。

また、葉山隼人グループの男子達に名前を覚えて貰っていないということも判明。悲しい、でも話したことがない男子の扱いはこういうもの……いや、でも八幡は基本的に毎日学校に来ているしな……。

ぼっち飯

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

いつも孤独で駐輪場の近くで飯を食べる比企谷八幡。ブログ主も高校入学当初に、外で飯を食べていたが、風で冷えるし、ふりかけが吹っ飛んでいくし、虫がいるし、野良猫が飯を求めて近寄ってくるので辞めた。屋外弁当における場所選びの重要だという教訓話として受け取って欲しい。

八幡はこのベストプレイスを一体どれほどの時間を掛けて見つけたのだろうか。それとも、これもぼっちスキルなのだろうか。ぼっちも特殊技能がいるんやなって。

そんな一人飯に二人ほど割り込んでくる。

まず一人目は由比ヶ浜結衣。雪ノ下雪乃との勝負で敗北したため、ジュースを買いに行かされたらしい。ブログ主も由比ヶ浜結衣にポカポカ叩かれたいし、雪ノ下雪乃にパシリにされたい。

次に二人目は戸塚彩加。ぱっちりとした目に、白い肌に、整った顔立ち。つまり可愛い。しかし男である。ここでの注目ポイントは、八幡の名前を知っていて、その上「八幡」というように下の名前で呼んでいること。さらに八幡のテニスのフォームが綺麗であるということを知っているという程に彼のことを見ていたこと。

戸塚が女の子だったら勘違いして惚れてる(そして振られる)。

奉仕部への依頼

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

入部しているような顔をしていながら、入部しているつもりなだけだった由比ヶ浜結衣の『にゅうぶとどけ v(。・ω・。)v』を受け取りつつ、奉仕部への依頼として戸塚彩加ことサイちゃんがやって来る。画像だけ見ると、男一人と女二人のように見えるが、残念ながら男二人に女一人である。

戸塚彩加の依頼は簡単に言うと『部を救って欲しい』というもの。どうやら入っていたはずの部員が誰もやって来ず、一人で部活をしているらしい。もはやそれは部と呼べるのだろうか。いや、呼べない。

ということで。部員達が戻ってこれるように、自分が頑張ろうとしている訳だが、というか一人でテニスができないので、無意味なのであった。完。

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

それを救うために八幡と由比ヶ浜と雪ノ下も部活動に参加することに。八幡は蟻を眺めているだけで、雪ノ下も本を読んでいるだけに見えるが気にしてはいけない。何度も言うが、戸塚は男である。足が綺麗だが男である。

陽キャ襲来

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

陽キャだとか陰キャだとかを気にしている時点で陰キャであるという説を提唱したい。なのでブログ主も陰キャである。QED。

いつも通りテニスの練習に勤しんでいた戸塚達、そこに葉山隼人達がテニスをしにやって来た。テニス場を借りる手続きをしたのは戸塚なのだから、戸塚の意見が最重要だと考えるのは、この場でブログ主だけであるらしい。

何だかんだで、戸塚を除いた八幡チームと、葉山隼人チームから、それぞれ二人ずつ選抜しテニスのダブルスの試合を行い、勝った方が戸塚の練習に付き合うということになってしまっていた。依頼主である戸塚の意見は無視で進んでいく。まぁ、練習することが目的なのだから、相手は誰であろうと問題ではない……という葉山隼人の意見はもっともである。

葉山隼人チームからは、葉山隼人と三浦優美子が選抜。葉山隼人はサッカー部のエースということもあり、運動神経は申し分ない。体育ではテニス選択なので無経験という訳でもない。三浦優美子は元テニス部でめちゃくちゃ強い。

八幡チームからは、比企谷八幡と由比ヶ浜結衣が選抜。比企谷八幡は体育でテニス選択で、テニス部の戸塚彩加に「フォームが綺麗だね」と言われたが、実力は普通だろう。由比ヶ浜結衣の運動神経は良い意味でも悪い意味でも普通である。

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

そんなダブルス対決は圧倒的実力差により、隼人チームが順調に勝ち星を重ねていく。これは賭博ではない、ビギナーズラックというものは起こりえないのだ。 

雪ノ下登場

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

足を捻った由比ヶ浜に代わり、助っ人としてやって来た雪ノ下雪乃。こうして因縁の女王対決が開幕することになる。そして流石は雪ノ下雪乃。実力もさることながら、陰湿な攻め方をしてくる人間というものを熟知している。

比企谷八幡とは方向性が違うが、ぼっちとして一人で戦って来た彼女の特殊技能と言って良いのではないだろうか。最初は負けていた八幡チームも追い上げてくる。

しかし、その勢いはいつまでも続かないものである。盛者必衰の理がここでも発動されていく。どうやら雪ノ下雪乃は体力に自信がなかったらしい。

そうして何だか良い勝負になっていく。試合もこのように一進一退の戦いというものの方が見ていて面白いものだ。いつの間にか集まっていたギャラリーの熱も上がっていく。

そこで勝負を任されたのが、比企谷八幡であった。彼の打ち出す必殺技とは……

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

まずは風精悪戯。別に魔法ではない、ただ外でぼっち飯を続けたことにより周囲の風というものを熟知してしまった八幡が、風の影響を受けにくいように勢いを殺して打ち出したサーブである。

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©2013 渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。

次の技は隕鉄滅殺である。といっても隕石を落とす訳ではなく、ただひたすら高く打ち上げただけのサーブである。

それらの必殺技により試合には勝ったが、勝負には負けてしまった比企谷八幡。悲しい、それなりに有能な所を見せつけたにも関わらず、誰にも注目されなかった可哀想な八幡であった。

最後に

原作の感想記事もさっさと書いてかないとな、と思いながら書き進めていくアニメ記事。二期の感想・解説記事も書くと言ってしまったが、少しばかり後悔しながらアニメの視聴を進めています。

ちなみにゲームのプレイ記事も書いているので、もし良ければ見ていただければ幸いです。

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